300万円+αで手に入る! ベストディーゼルモデルを検証

いつの頃からか、国産モデルは燃費のいい軽自動車やハイブリッドばかりが注目されるようになってしまった。そんななか、マツダや欧州メーカーが魅力的なディーゼル車で攻勢に出ている。「次の愛車はディーゼル」と考えている人も増えていることだろう。最新ディーゼルモデルのベストバイを、国沢光宏氏に選んでもらった。

文:国沢光宏/写真:藤井元輔
ベストカー2016年10月10日号


今、ディーゼルが一番おもしろい!

数年前から「欲しいクルマがない!」と嘆いているベストカー読者が多いという。確かに国産車メーカーを見ると日本市場に注力しなくなった。もはや新型車といえばハイブリッドとミニバン、軽くらいしか出てこない状態。そんななか、欧州メーカーは続々と魅力的なディーゼル車を追加してきている。

国産車メーカーで唯一ディーゼル乗用車を販売しているマツダも、この戦いを受けて立つべく1500ccを投入してきた。こうなるとどれを買っていいのか大いに迷う。

ということで売れ筋ディーゼル車5車種を乗り比べてみることにした。300万円台の人気モデルではどのクルマがベストバイなのか、情け容赦なく順位を付けてみたい。果たしてベストバイは? 5位から1位へと紹介していこう。

今回比較するのは、ミニ クーパーD/シトロエンC4 ブルーHDi/マツダ アクセラ15XD/BMW 118d/ボルボ V40 D4の5車種だ

 

■5位
ミニ クーパーD
最初に書いておくが、今回試乗した5車種はすべて「いいね!」と言いたくなるような仕上がりだった。ミニクーパーDに搭載される116ps/27.5kgm㎏mの3気筒、1.5L新世代ディーゼル+6速ATは、動力性能もエンジンフィールも上々。このクルマのデザインや雰囲気が好きで買った人の満足度は極めて高いと思う。じゃ、なんで5位なのか?

ひとつは価格。ベースグレードで318万円と、ミニというクルマのイメージからすれば決して安くない。

また、ミニというクルマに対してユーザーはどうしても「軽快な走り」を期待してしまう。特に「ミニクーパーD」は、“クーパー”という伝統ある名を冠したスポーティグレードである。なのにハンドルを握るとドッシリした走りだったりして、普通のクルマみたいなのだ。期待ほどワクワクしない、と言い換えてもよかろう。

ミニ クーパーD 5ドア
価格:318万円

2014年のクロスオーバー、ペースマンに続き、2016年4月に設定されたディーゼルエンジン搭載モデル。クーパーDは1.5Lの直3エンジンを搭載するが、ハイパワー版のクーパーSDは170ps/36.7kgm発生の2L、直4ディーゼルを搭載する

ドイツ車らしい硬質感を感じさせつつも、円を基調としたデザインを採用することで個性的なインパネまわりに仕上げられた

 

■4位
BMW 118dスポーツ

クルマの仕上がりやバランスという観点で言えば、今回の5車種で一番よいかもしれない。パワフルなBMW320dと基本的に共通の2L、4気筒ディーゼルながら、少しパワーを落として150ps/32.6kgmとしている。8速ATと組み合わせているため、動力性能は充分! ディーゼル特有の騒音や振動、カラカラ音もなく快適快適。

118dのデザインや雰囲気を好むなら満足度は高いと思う。ただ相対比較すると、負ける点が多くなる。キャビンスペースなどが、ミニを除くすべてのライバルより狭い。リアシートなどプラス2と割り切ったほうがよいほど。普通の使い方だとファーストカーとするのには少し厳しい。それでいてベースグレードは365万円。ナビが標準装備されるものの、なんのかんので400万円を超えてしまう。割高なクルマなのだ。

BMW 118d Sport
価格:365万円

150ps/32.6kgmを発生する2Lの直4ディーゼルターボ搭載モデル。そのエンジンに8速ATやアイドリングストップ機能などが組み合わされ、JC08モード燃費は22.2㎞/Lを記録する。今回用意した5モデルのなかでは唯一のFR駆動

全体的にオーソドックスながら、黒を基調に、アクセント的に配された赤が鮮烈な印象を与える「Sport」のインパネまわり

 

■3位
シトロエン C4ブルーHDi

クルマ単体の魅力度で考えれば1位にしてもいいほど。ディーゼル車の歴史が長いシトロエンとあって、ノンビリしたクルマの雰囲気とディーゼルの特性が似合っている。Dレンジをセレクトし、流れに乗って走っていると楽チン至極。低い回転域からトルクを出すディーゼルと、C4の柔らかい乗り心地の相性がいい。シートなんか絶品です!

多少ギクシャクする6速ATも、慣れれば個性のようなもの。それでいてアクセル踏めばさすがWRCの雄として知られるシトロエン。1.6L、4気筒の120ps/30.6kgmというスペックを持つため、1380㎏のボディを軽々と走らせる。尿素水の補給だって1万㎞毎でOK。今回試乗した5車種のなかで一番ディーゼルのよさを引き出しているかもしれない。

なんで3位かというと、今や絶対欲しい自動ブレーキなどの安全アイテムがないからだ。クルマ好きなら社会に対する攻撃性を小さくしてくれる自動ブレーキは必須(スバルのデータでは追突や歩行者の接触事故を80%も防げる)。シトロエンC4に標準的な性能を持つ自動ブレーキが付いて10万円高くらいで買えたなら、今回1位にしていただろう。

シトロエン C4 FEEL Blue HDi
価格:279万円

尿素水溶液式SCR(選択還元触媒)採用の1.6L、直4ディーゼルを搭載して、2016年7月に登場。出力は120ps/30.6kgmで、EAT6という名の6速ATが組み合わされる。1.2Lの直3ターボを積むガソリン車も継続販売される(259万円)

視認性の高いアナログ+デジタルメーターと、多くのスイッチが機能的に配置されたステアリングが目を引くインパネまわり

 

■2位
マツダアクセラ15XD

今回追加されたアクセラの1.5Lはスペック的に物足りない。せめてミニの3気筒と同じ116psくらいあればいいのに105ps。いっぽう車重は1360㎏と重い。平坦地を走るなら27.5kgmというトルクのため問題ないけど、登り坂で加速しようとしたら「あれ?」というくらい加速しない。これは大減点だ。

ただエンジンフィールはすばらしい! アクセラに搭載される1.5Lはマツダの最新技術を投入。黙っていればディーゼルだと気づかないほど。世界イチ滑らかなディーゼルと言ってよかろう。またパワーが必要なら2.2Lディーゼル搭載グレードも選べる。このエンジンを搭載したMT車は速いし楽しい。かといって2.2Lだったら1位を取れるかといえば、難しい。

現在、私はボルボのV40 D4に乗っているが、最後までアクセラの2.2Lディーゼルと迷った。最終的にV40を選んだ理由は、自動ブレーキとアダプティブクルーズの性能である。アクセラの自動ブレーキもマイナーチェンジで歩行者を検出できるようになったけれど、当時は性能で大幅な遅れを取っていた。

また、アクセラのアダプティブクルーズは停止まで制御できない。ディーゼルの得意分野であるロングドライブを想定すると、やはり停止まで制御できるアダプティブクルコンが欲しいと思う。

アクセラスポーツ 15XD PROACTIVE
価格:243万円

アクセラに追加された1.5Lディーゼル搭載モデル。ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させ、横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロール。自然で滑らかな車両挙動を実現する「G-ベクタリングコントロール」採用する

エンジンONでメーターフード前方に立ち上がり、走行情報を表示するアクティブ・ドライビング・ディスプレイが特徴的

 

■1位
ボルボ V40 D4系

このクルマのハンドルを握って驚くのが動力性能である。2L、4気筒から40.8kgmという、4Lガソリン車に匹敵するトルクを引き出す。最高出力も190psでダントツ。徹底的にパワフルなのだった。もはや「ディーゼルだから」というストレスはまったくなし。アクセル全開スタートするとホイールスピンするほど。ほとんどスポーツグレードだ。

価格も自動ブレーキから後方警戒レーダー、歩行者を守るための歩行者用エアバッグなど、すべて標準装備して364万円(今回撮影したクロスカントリーD4は379万円)。走る楽しさから安全まで、すべての要素が詰まっていることを考えれば、やはり総合評価では1位にするしかないと思う。

1年前の時点でV40 D4を選んだ私ながら、今日買うとしてもV40 D4を選ぶ。マイナーチェンジでボディ剛性がワンランク高くなったらしく、エンジンフィールや乗り心地が一段とよくなったからだ。

ボルボ V40クロスカントリー D4 Summum
価格:454万円

190ps/40.8kgmという高出力を発生する2Lの直4ディーゼルターボ搭載。2016年7月の一部改良でトールハンマー型LEDヘッドライトを採用するなど外観が一新され、歩行者エアバッグも全グレードに標準装備されるなど、さらに魅力アップ

60系にも見られる、シフト前方に多く並ぶスイッチ類が特徴的なインパネまわり。ドイツ車勢とは違う魅力を備えている