なぜ日本車はDCTよりもATを採用するのか?

クルマを操るとき、その印象に大きな影響を与えるのがミッション。クルマ好きならMT派という人も多いかもしれないが、ATの進化も捨てたものではない。今回はATにまつわるちょっとした疑問についてまとめてみた。

ベストカー2016年5月10日号


日本車がDCTよりATにこだわるわけ

フォルクスワーゲン、ポルシェをはじめ、輸入車メーカーではDCT(デュアルクラッチトランスミッション)の採用が進む。ほぼタイムラグを感じることなく、かつダイレクトに変速できる感覚は、DCTならではの魅力。いっぽうで国産メーカーは、ずっとATを主力として搭載してきた。なぜなのだろうか?

トヨタは「DCTはダイレクトなフィールがあるいっぽう、低速域に不得意な面があります。日本の道路環境では、効率を含めCVTやATがベストと考えています」と回答。

自動車評論家の鈴木直也氏も同様の考えだ。

「近年、多段式ステップATが進化してきて、DCTと変わらないダイレクト感が出てきた。こうなると渋滞などでもスムーズなATが有利。CVTの進化はあまり感じられないけど、欧州をマネしてDCTにこだわらず、ATを鍛え続けてきた国産メーカーの判断は正しかったような気がしますね」

ATが再び見直されてきている!

多段化するAT6速、8速、9速どれがいいのか!?

さて、上記でも紹介したように、近年ATの進化が著しく、加えて多段化の流れが加速しているのだ。

10年前なら6速ATでも凄いと思っていたのに、今では8速なんて当たり前で、レネゲードやフィアット500X、ベンツC220dなどには9速ATが採用されている。さらにまだ市販されていないけれど、発表済みのレクサスLC500には10速ATが搭載されると明らかにされている。

「ATに限らず、ギア段数は燃費を重視するのであれば多ければ多いに越したことはない」というのが国沢光宏氏の意見。「ただし、多段化するとシフトダウンにタイムラグが生じるのがネック。この制御が進化すれば、段数は多ければ多いほどいい」とのこと。

鈴木直也氏の意見はというと「やっぱり燃費を考えれば多段化の流れになるだろう。究極はCVT。でも、ドライバーの感覚というか、ギア段を刻んで走らせるという感覚にマッチしているのは8速あたりが上限なのではないかな!? 無限に多段化していけばいいというものでもないと思っている」とのことだった。

マルチステージハイブリッドシステムを搭載する「レクサスLC500」