超高齢化社会に向けたマツダの取り組みが地味だけどすごい

■ポイントは「ペダルの踏み替えやすさ(づらさ)」にあった??

高齢者の場合、アクセルやブレーキの踏み間違いは膝を内側に向ける時の角度「内旋」が小さくなることが原因といわれる。つまりブレーキを踏むべきタイミングで間違えてアクセルを踏んでしまった時に、「あ、ヤバい!」と思ってアクセルペダルからブレーキペダルまで足を置き換えるタイミングが、高齢者の場合は苦労する、という点にマツダは着目した(今回の体験セットは高齢者の気持ちがよくわかるような忠実な仕上がりでした。確かにすげえ踏み替えづらい)。

なら踏み替えやすいようにペダルレイアウトを変更したら事故が減るのでは? という取り組みを、近年マツダは続けている。

で、実際にペダルレイアウトの違う新旧デミオとアクセラで体験すると、アクセルペダルが「吊り下げ式」の先代モデルよりも、「オルガン式」である現行モデルのほうが明らかにブレーキに踏み替えやすかった。

そのキモはアクセルからブレーキへの踏み替え時のヒール(かかと)部分にある。吊り下げ式だとどうしてもヒールが前に動くのに対し、オルガン式だとヒールを床に固定したままでパパッと踏み替えることが可能だからだ。

交通事故総合分析センター(ITARDA)によれば、アクセラとアテンザ、デミオの販売台数1万台あたりでのペダルの踏み間違いによる死傷事故件数は、旧型モデルより現行モデルは86%減少しているとのデータが出ている。

アクセルペダルの吊り下げ式からオルガン式への変更は、コストも増加するが「マツダは高齢者事故への対策としても取り組む」という。

〝老い〟を遅らせるスローエイジングの一歩として車の運転は有効であり、そのためには車自体の高齢化対策は欠かせない。そして、決して派手ではないが、こうした細かい技術の積み重ねこそが車社会の根底を支えてくれる。超高齢化社会を見据えた取材会だったと実感した。

高齢者事故ケースの実体験。駐車場でのチケット取り出しで、身体を右側に傾けてペダル操作をした場合を想定。足をねじった状態になるため、ペダルが操作しにくく、アクセルとブレーキの踏み間違えが起こりやすい