イギリス発の持ち運べる塗装ブース「カークーン ワークステーション」

なんともユニークな「塗装ブース」が今年から販売開始されることになった。
その名も「カークーン ワークステーション」。下の写真を見てほしい。パッと見て、まるでエア遊具(空気で膨らませ、巨大なキャラクターなどの空気膜造形の中に子どもたちが入って遊ぶもの)を彷彿とさせるのだが、れっきとしたクルマ関連のアイテムなのだ。

実はこれ、イギリスに拠点を持つ「カークーンストレージシステムス社」が開発したもので、家庭用電源で利用可能、しかも持ち運ぶこともできるエアーテント型の塗装ブース。現在、欧米の出張自動車板金塗装業者の間で爆発的に広がっており、米国環境保護庁(EPA)からも「フィルターシステムを適切にメインテナンスすることで排出基準の98%以上の有害物質を抑制することができる」との認定を受けているのだという。

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Sサイズで全長4000×全幅4400×全高2000㎜で重さ約45㎏、スタンダードサイズで全長8000×全幅4400×全高2000㎜、重さは約65㎏。大きめの台車に載せることでひとりでも持ち運ぶことは可能だそう。

もともとカークーン社は、20年ほど前から独自のボディカバーを作ってきた。繭のように車体を包み込み、内蔵のファンを使ってカバー内部の空気を効率よく循環させる密封構造(同社が国際特許を取得ずみ)を採用し、塩分や埃、湿気による錆の発生を抑えるボディカバーが評判となっていた。その効果の高さからマクラーレンのF1マシンやロールスロイス、国立博物館の展示品、さらにはジェットエンジンや軍用機保管などに利用されてきたが、その技術を生かして開発されたのが今回のワークステーション。

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有害物質の流入を避けるために二重扉を採用する。米国環境保護庁の検査でも98%以上もの有害物質抑制を認定。

 

吸気と排気に活性炭素を含めた3重構造の巨大フィルターを採用している

吸気と排気に活性炭素を含めた3重構造の巨大フィルターを採用している

その特徴は、クルマの塗装時に懸念される有害物質の流入を避けるために二重扉構造が採用され、吸気と排気に活性炭素を含めた3重構造の巨大フィルターを装備する。こうした安全性に配慮した設計に加え、手軽に持ち運びが可能なことから塗装ブースとしてはもとより、災害時の医療用テントとしても世界各国の自治体や空港、紛争地域などで利用されている。なにせ全米で最も環境に関する厳しい規制があることで知られるカリフォルニア州でも、このワークステーションを利用した屋外塗装が認められているほど。

さらに、室内空気の鮮度の高さやワークステーションの設置に必要な送風機2つ(ひとつはテントを膨らませるため、もうひとつは空気循環のために利用)のセットにかかる時間も送風開始からわずか2分と短く、家庭用100V電源を利用できる手軽さ、防水仕様になっていることなどもメリットとして挙げられる。

このワークステーションを 日本国内で販売するのは、カークーン社の日本販売元である「クフウ」(本社・静岡市)。同社の中西之文代表取締役に話を伺うと、「欧州ではクルマの移動修理工という職業が確立されていまして、ワークステーションはそういった塗装関係の業者の方々に大きく支持されています。マーケットとしては北米が大きいのですが、ぜひ日本のユーザーにも使っていただきたく、今回販売を開始することにしました」

実際の販売時期と、販売価格はどのくらいなのか?

「今年初頭からの販売開始を予定してまして、今のところ(※’14年12月23日現在)販売価格は未定ですが、国内の塗装業者数社と防衛省から引き合いが来ています」(中西代表取締役)

同社が販売するのはカークーン社のライセンス商品になるワケだが、オリジナル製品の販売予定はないのだろうか?

「ええ、実はフェラーリを所有するユーザーさんなどから『日本の需要に合わせたものにしてほしい』との声をいただいています。今後は国内市場に特化した特注品やカスタマイズの開発も考えています」(同)

今後は国内でも、このエア遊具のようなワークステーションが普及していくのかも!?

海外での実例

北米や欧州では設置の簡単さと塩分や埃、湿気などといったクルマや飛行機にダメージを与える外因リスクへの効果の高さから普及しているというカークーン社のワークステーションは、巨大な発電機のローター保護にも利用されている。ただの塗装ブースではなく、医療用テントとしての需要も高い。

クルマだけでなく、小型ヘリでの作業などにも利用されている。

クルマだけでなく、小型ヘリでの作業などにも利用されている。

こちらは巨大な発電機用のローターを内部におさめているワークステーションの様子。

こちらは巨大な発電機用のローターを内部におさめているワークステーションの様子。