【偉大なる日本車/歴代ランクル】驚くべき信頼性の高さでランドローバーを駆逐

ニッポンのクルマ界が生み出した名車を振り返る本企画。今回はその実力でクロカンの王様、ランドローバーを追い落とし、世界のトップとして君臨することになった「ランドクルーザー」を取り上げる。過酷な環境での酷使が、世界を驚かせる性能にランクルを鍛え上げた。


トヨタ歴代ランクル(1951年~現在)

文:鈴木直也/イラスト:稲垣謙治
ベストカープラス2016年10月17日号





過酷な状況で培った究極の信頼性

ランドクルーザーという車名が生まれたのは1954年のこととされるが、初期モデルのBJ系はトヨタ流にアレンジしたジープだった。実質的な初代は1960年にデビューしたFJ40系からだ。この時代にトヨタは「クロカン4WDの本質は何か?」ということを徹底して学んだ。

40系の開発と生産をとおしてトヨタが得た結論は1に信頼性、2に信頼性、なにがなんでも信頼性、というもの。それを象徴するように、40系は外観をほとんど変えないまま24年もの長きにわたって生産を続け、後継の70系にバトンタッチしたのは1984年。見てくれにかまうことなく中身を磨き続けることに専念したのだ。

その実力を世界が知ることになるのが1984年デビューの70系だ。この頃には海外への輸出比率が生産の過半数を超えたが、日本では考えられない過酷な条件で酷使されることで、ランクルの驚くべき信頼性の高さが海外で話題になり始める。

ランクル以前には、アフリカやオーストラリアなど極限の環境下で使われるクロカン4WDはランドローバーと相場が決まっていたが、ランクルは実力でチャンピオンの座を奪い取ったのだ。

この頃の有名なジョークが「ローバー(海賊)がクルーザー(巡洋艦)に駆逐された」というもの。クロカン4WDの王様というポジションは、これ以降ずっとランクルのものといっていい。

そのいっぽう、クロカン4WDにも居住性が重要というニーズにこたえて、1967年からランクルにも50系というロングボディが登場するが、この世代ではまだ貨物用バンというレベル。陸の王者の座を追われたランドローバーは1970年から方針を変えて高級SUVレンジローバーを作りは始め、ランクルはこのジャンルではまったく歯が立たない時代が続いた。

ランクルのラグジュアリー性やプレステージが認知され、高級SUVとしてのブランドを確立するのは、1998年登場の100系からだ。フロントサスにダブルウィッシュボーンを採用し、4.7LのV8を搭載、海外ではレクサス版のLX470も登場する。

この世代になると新たに重要なマーケットとなった中東でも人気が爆発。オイルマネーで潤ったお金持ちがこぞってランクル100に乗ることで、信頼性だけでなく高級SUVとしてのプレステージ性も獲得。名実ともに世界を代表するハイエンドオフロード4WDの地位を不動のものとする。

今や高級車となったランクルだが、究極の信頼性という基本理念は不変だ。どんな過酷な条件で酷使しても最後に残るのはランクル。ここで絶対に妥協しないのがランクルのDNAなのである。

日本では考えられない過酷な状況下での酷使が世界に誇れるランクルならではの究極の信頼性を育んでいった