ホームセンターからフェラーリが生まれる!? 群馬のスーパーモデラー見参

カーモデリングにはフルスクラッチというかなり高度な技術がある。それはキットを使わず自分で設計図をひき、素材からクルマを創りだしていくというもの。なんと今回紹介するのはホームセンターのバルサ材からフェラーリを生み出してしまう達人。ベストカー取材班は群馬で、想像を絶する光景を見ることとなった。

文:ベストカー編集部/写真:渡辺信雄
ベストカー2017年7月10日号


バルサ材から生まれる驚愕の跳ね馬たち

英国のジェラルド・ウィングローブといえば知る人ぞ知るスケールモデル界の大巨匠。彼の作る1/15の全金属製の超絶スケールモデルは、1台500万~800万円とも言われるが(日本国内にも数台あり)、残念ながら最近は高齢のためモデル作りは行っていないようだ。しかし本誌は日本の凄いモデラーを先日発見。その人こそここで紹介する山田健二さん73歳だ。

この山田さん。なんとフルスクラッチビルドで6分の1のフェラーリを作り続ける。しかもその素材は金属ではなくホームセンターで売られているバルサ。バルサは工作好きなら知っているとおり、ラジコンの飛行機などに使われる素材。軽量で加工しやすいのが特徴だが、そのバルサを切った、貼ったしてご覧のようなフェラーリを作り出してしまう。

素材が素材だけに細かいことを言えば、細部ではうっすら木目が見える、表面が金属っぽくないなど、厳しい目で見るスケールモデル好きもいるかもしれないが、この表現こそ山田さんの真骨頂。ピカソにはピカソの、アンディ・ウォーホルにはアンディ・ウォーホルの表現方法があるように、バルサを使ったこのフェラーリの表現こそ山田流なのである。

メインの写真は1957年の250テスタロッサ。こちらはバックショットだ。実車は約41億円でオークションで落札されるなど、19台しか生産されなかった超希少モデル

山田さんは定年後にコツコツとフェラーリを作り始めた。年間2台のペースで制作中だ。1/6スケールはとっても大きい!!

250テスタロッサのエンジンのカムカバーにうっすらと木目が見える。精巧さのなかにもぬくもりが活きるこの表現こそ山田さんが目指したもの。ちなみにファンネルもバルサの削りだしだ!!

気になるその作り方とは!?

作り方を簡単に説明すると、まず図面を引き、それに合わせて側面のシルエットを紙にトレース。次にバルサを積層したブロックに書き写し、同時にボンネット、トランクとなるバルサを張り合わせ、後はガシガシ、カッターナイフやヤスリを使って形を作り上げる。塗装はこれも模型用の缶スプレーだが、下地を木工パテで整えてから塗装をする。

ドアやボンネットなど開口する部分はボディが完成してから慎重に切り離し、ヒンジをつけて可動するようにしているという。エンジンやシートなどは最初の図面の段階で寸法を決めておき、それに合わせて制作し合体させる。タイヤはこれまたバルサの積層で、トレッドパターンも実物に忠実に掘られている。

また内部のディティールもバルサということ。だから完成後の取り扱いは壊さないように慎重さが必要となる。取材班が撮影時に1台を持ち上げたところ、実に軽いことにビックリ。16分の1のダイキャスト製ミニカーのほうが重いんじゃないかと思うほどだった。

現在も山田さんはフェラーリを作り続けていて、間もなく完成するのは大阪万博に登場したピニンファリーナデザインのモデューロだ(1970年)。それでは驚異の作品をじっくり見てほしい!!

よく見るとバルサを少しずつ積み重ねていることがわかる。これを成形していくことで、フェラーリの流れるボディラインが完成する

タイヤはこんな感じにトレッドパターンを積み重ねていく。ちなみにこちらはF40のピレリP ZEROだ

エンジンだってご覧のとおり。ちなみにこのV8エンジンはどのモデル用かわかります?

工房は大きな工作機械などがあるわけではない。カッターとヤスリを駆使してフェラーリの絶妙なボディラインを削り出す

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