なぜスバルのレヴォーグは車好きに愛されているのか? どこがいいのか? 欠点はないのか?

車好きのあいだで人気が高い車といえば、スバル車。それもレヴォーグの名前が上位に顔を出す。間違いなくいい車ではあるけれど、正直いって「そんなにいいの?」と思う部分もある。「すっげえカッコいい」とか「すっげえ燃費がいい」とか「すっげえ安い」というわけではない。なのに、いい。
じゃあどこがいいのか。どこかよくないところもあるんじゃないか。そんなことをじっくり調べてみました。
文:渡辺陽一郎


■スバルレヴォーグの「ここが◎」と「ここが×」

クルマ好きの間で人気の高い車種として、スバルのレヴォーグが挙げられる。レガシィツーリングワゴンの後継に位置するワゴンで、全長が4690mm、全幅は1780mmに収まる。最終型の5代目レガシィに比べると100mmほど短く、初めて3ナンバーサイズになった4代目に近い。日本の道路環境に適した運転のしやすいワゴンだ。

エンジンはスバルの伝統を受け継ぐ水平対向4気筒でターボを装着する。排気量は1.6Lと2Lの2種類。1.6Lでもターボの装着により、自然吸気の2.5Lに匹敵する動力性能を得たから、高速道路や峠道の登坂路でも十分にパワフルだ。2Lのターボになると、4L並みの性能を発揮して活発に走る。

駆動方式はスバル独自の電子制御式4WDを搭載する。1.6Lターボには油圧多板クラッチによって前後輪の駆動力を配分するアクティブトルクスプリットAWD、2Lターボには高出力に対応するセンターデフ式のVTD-AWDを使う。

両車ともに4WDとの相乗効果で走行安定性が優れ、過度に機敏ではない自然な感覚で曲がる。危険回避時でも後輪がしっかりと接地するから安心感が高い。

その上で2LターボとVTD-AWDを備えた2.0GT系は、カーブを曲がる時に少し強めにアクセルペダルを踏み込むことで、後輪を横滑りさせるスポーティな走り方も楽しめる。

乗り心地は少し硬めだが、優れた走行安定性とのバランスを考えれば納得できる。

内装の質感も満足できて、後席は特に広くないが、大人4名が快適に乗車できる。この居住性もボディサイズを考えれば納得できるだろう。

そしてアイサイトはツーリングアシストに進化した。以前のアイサイトバージョン3でも歩行者や自転車を検知できる緊急自動ブレーキ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、車線の中央を走れるように操舵を支援する機能などを備えていた。十分に先進的だが、アイサイトツーリングアシストであれば、操舵の支援が停車状態まで行われてドライバーの疲労をさらに軽減できる。

このようにレヴォーグはメリットの多いクルマだが、いくつか欠点も見受けられる。

■CVTのステップ変速は、意味がないし楽しくないし

まずはCVTだが、無段変速なのに、ステップ変速と呼ばれる有段式を真似するような制御をしている。Dレンジで加速しても、エンジン回転が高まるとシフトアップするかのように一度下がり、再び上昇する上下動を繰り返しながら速度を高めていく。

この制御はメリットがない。停車状態でフルにアクセルペダルを踏み込むと、ステップ変速を開始した時点で、速度は制限速度に近い領域まで高まっている。ステップ変速を満喫していたら速度違反になってしまう。

そして本物の有段ATではないから、ステップ変速といってもメリハリと切れの良さが乏しく、全然楽しくない。

さらに明確な欠点もある。CVTの加速性能におけるメリットは、アクセルペダルをフルに踏み込んだ時、最も高い性能を発揮できる回転域を維持しながら、速度を高めていけることだ(低燃費走行をする時も、燃費効率の優れた回転域を保てる)。しかしステップ変速をしたら、効率の良い高回転域を維持するメリットが損なわれてしまう。

レヴォーグにはパドルシフトが装着されて疑似的なステップ変速ができるのだから、Dレンジにまでこれ持ち込む必要はない。スバルは技術指向の強いメーカーで、デザインまで含めて理詰めのクルマ造りを行うが、ステップ変速はこれに反する。

■セットオプションが無闇に多い……

購入時に困るのはセットオプションが多いことだ。価格が最も安い1.6GTアイサイト(282万9600円)にアイサイトのセイフティプラス(運転支援/8万6400円)だけを加えようとしても、運転席の電動調節機能やシートヒーターなどがセットで備わり総額は298万800円になる。単品装着するのに比べて6万4800円高い。

そしてこの総額298万800円の1.6GTアイサイトを選ぶなら、1.6GTアイサイトSスタイルに同様のオプションを加えるべきだ。そうなると301万3200円(つまり約3万円の上乗せ)で、アルミホイールが18インチに拡大されてブレーキサイズもアップする。安全性を高められるアイサイトセイフティプラスのオプション装着を前提にすると、1.6GTアイサイトの存在価値は乏しい。

2Lターボの価格と燃費にも要注意点だ。装備の違いを補正して2Lターボ+VTD-AWDの価格を割り出すと、1.6Lターボ+アクティブトルクスプリットAWDよりも約50万円高い。

ちなみにフォレスターの2Lターボはレヴォーグに比べて動力性能が少し低く、4WDシステムはアクティブスプリットだが、2Lの自然吸気との価格差は16万円に収まる。これに比べるとレヴォーグは、4WDが上級化して動力性能も高まるとはいえ、1.6Lターボ(フォレスターの2L自然吸気よりも高コストだ)との差額が50万円に達するのは開きすぎだ。

しかも2Lターボは使用燃料がプレミアムガソリンで、アイドリングストップは付かない。そのためにレヴォーグの売れ行きを見ると80%以上を1.6Lターボが占める。

■「日本向けの車」という最大の長所

以上のような欠点はあるが、レヴォーグは総じてメリットの多いクルマだ。その理由は、レガシィツーリングワゴンの消滅に伴う後継車種として、日本を見据えて開発されたことにある。今は欧州とオーストラリアでも販売されるが、中心となる市場は日本だ。

今の日本車は、軽自動車とミニバン、一部のコンパクトカーを除くと、大半が海外向けに開発されている。そんな「日本はオマケ」のクルマ達が、日本で売れるわけはない。

逆に日本のユーザーと市場を見据えて開発すれば、レヴォーグのように堅調に売れるのだ。ほかの貴重な類似例としては、トヨタのハリアーもある。日本のユーザーを見据えて開発するか否か、それで国内の売れ行きが分かれるのは当たり前の話だろう。価格の安い実用的なクルマだから売れて、高価で趣味性の強いクルマだから伸び悩むという話ではないのだ。