記念ナンバープレートはダサい そのデザインどうにかなりませんか?

ラグビーワールドカップに端を発した自動車の記念ナンバープレート。2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて、9月4日から東京オリンピック/パラリンピックナンバーの受付がスタートした。1000円以上の寄付金で「図柄入り」、寄付金なしで「エンブレム入り」という2種類。もちろんいま乗っているクルマのナンバーを陸運局で切り替えることもできる。またラグビーワールドカップナンバーと同様に軽自動車は白ナンバーに変更できるの特徴。でもこのデザイン、少しばかりダサくないか? という意見もあり、今回は清水草一さんにズバッとデザイン分析をしてもらいました。

文:清水草一、ベストカーWEB編集部(前文/キャプション)/写真:国土交通省、Shutterstock





■このデザインが「仕方なし」の理由とは

ナンバープレートの目的は、ナンバーを表示すること。その目的から大きく逸脱するデザインは、できなくて当然だ。それを前提に、東京オリンピック特別仕様ナンバープレートはどうなのか、考えてみようじゃないですか!

ナンバープレートの目的から考えて、ノーマルとは別のデザインを考えるなら、インパクト大な順に期すと、(1)サイズと形状、(2)背景の色、(3)文字の書体、(5)背景に書き込む図柄ということになるのではないか? ただ、同じ国内でノーマルと異なるサイズと形状にするのは非常に困難。書体の変更は、これまたかなりの費用がかかることから難しい。

となればもう、背景の色を変えるか、図柄等を挿入するかしかない。背景の色を全面変更すれば、サイズや形状を変えるのに次ぐインパクトがある。しかし正直なところ、白以外の色はボディカラーとのマッチングの問題も出てくるし、淡い色調でもインパクトが強すぎる面がある。個人的には、やはり白がいい。軽自動車オーナーの嘆きは当然ですね……。

海外のナンバープレートを見ても、白以外の色は自己主張が強すぎて、どこか不快に感じる。やはりナンバープレートは、できるだけ黒子(白子)に徹して欲しいものである。そういう意味で、今回のナンバープレートデザインは、正しいというか「仕方ない」とはいえるのではないか?

よく見るとオリンピック/パラリンピックのエンブレムが左上につく。こちらは寄付金なしのタイプで、軽自動車も白ナンバーになる

■ナンバーの特性を活かしたデザインを求む

で、今回は2種類のデザインがあるわけだが、「寄付金なし」の方、向かって右上隅に東京オリンピックのエンブレムがあしらわれただけのヤツは、遠くから見たらわからないほど控え目。正直違うんだか違わないんだか……というレベルで、超絶当たり障りがない。

「これじゃわざわざ付け変える意味が薄い」と思う方もいるでしょうが、「軽自動車の黄色いプレートを白にしたい!」という、記念プレートの大部分を占める需要に対してはドンピシャ。文句のつけようがないベストデザインである! まぁ、ラグビーワールドカップ特別仕様ナンバープレートの寄付金ナシの方とほとんど同じですが。

問題はもう一枚の方、プレートの中心から放射的に広がる七色? の帯が描かれた方だ。色というものはすべてを混ぜると無彩色になるわけで、そういう意味ではこれまた当たり障りがなく、かつほのかにカラフル。デザインの狙いはそんなところだろう。わかる。わかりますよその気持ち!しかし中心から放射状に広がる帯というデザインは、陳腐で子供みたいという気もします。

というのもですね、不肖ワタクシ、小学6年生の図工の時間に「”流れ”というテーマで、それを感じさせるデザインをせよ」という課題を出されまして、その時に描いた絵にソックリなのです! 不肖ワタクシが小6の時に描いた絵に似てる。これでは「レベルが低い」と言われても仕方ありますまい。ちなみに先生には褒められましたが……。

まあ、背景に薄くエンブレムが入っているラグビーワールドカップの「寄付金あり」の方より、何か描いてあるようで描いてないみたいな感じで違和感は薄いですが、なら白の方がいいわけでして、いっそのこと、東京オリンピックのエンブレムを拡大し、格子の部分をいろんな色に薄く塗り分けて背景にするとかの方がよかったんじゃ、などと考えてしまいます。

あるいはライン。ナンバープレートみたいなものは、絵を入れるよりラインを1本入れる方が、遠くからも目立つしアクセントになる。フェラーリで言う「チャレストライン」とかそういうものです。オリンピックなので、ラインを入れるとしたら、エンブレムの紺か、日の丸を連想させる赤でしょうなぁ。上の部分(地名と数字)の部分を紺か赤にするとか、境目にラインを入れるとか。赤だとなんか速達みたいだけど。

とにかく、もう一歩ナンバープレートの特性を生かしたデザインにして欲しかったような気はします。今回は一般公募作品の中から選ばれたわけですが、ホントにこんなもんだったんでしょうかねぇ?

偉い芸術の先生が選出した「寄付金あり」のナンバーデザイン。「なんか描いてある」程度でそれがなにかはよくわからない。これならば白でもいい?

■記念ナンバーの実際はいかに(ベストカーWeb編集部)

今年春のラグビーワールドカップナンバーから始まった記念ナンバープレート。国土交通省によるとラグビーワールドカップナンバーの8月末時点での発行台数は約16万台。そのうち15万台は軽自動車用だという。ほとんどが黄色ナンバーを白くしたい、という軽自動車オーナーの需要が大きいようだ。

きっと東京オリンピック/パラリンピックナンバーに関しても同様の現象が起こると考えられるが、今回はラグビーワールドカップ以上に国民的行事ということもあり、ある種の特需も起こりそうだ。ちなみに9月4日から予約受付は始まっており、東京オリンピック/パラリンピックが終わる平成32年9月末まで受付を行うとのこと。東京地区の交付料金は7210円、そこに1000円以上の寄付金で図柄入りのナンバーが交付される。この際に希望ナンバーに替えてしまうなんてのもいいかもしれない。

ちなみに賛否を呼びそうなデザインは一般公募で96作品が選考対象で、そこからデザイン選考委員会(委員長:秋元雄史 東京藝術大学大学美術館館長・教授/金沢21世紀美術館特任館長)の選考でこの2枚に絞られたとのこと。いろいろと物議をかもしたオリンピックエンブレムの応募総数が1万5000件近かったことを考えるとあまりにも母数が少ない気もするが……。平成32年にはご当地の図柄入りナンバーの交付も発表されているだけに、今後はもう少しスタイリッシュなデザインになることを期待したい。

こちらがご当地ナンバーのサンプル。さすがにこのままでは登場しないはずだが……