新型ヤリスクロスは小型SUVで一番買いか? 大物続々登場で超激戦区へ

新型ヤリスクロスは小型SUVで一番買いか? 大物続々登場で超激戦区へ

 いま、世界中の自動車メーカーが注目しているカテゴリは、何といっても「コンパクトSUV」であろう。日本国内では、なかでも、ホンダ ヴェゼル、ダイハツ ロッキー/トヨタ ライズなどが活躍する、BセグメントのコンパクトSUVの競争が熾烈化している。

 もともとこのジャンルは、ヴェゼルやマツダ CX-3がパイオニアとして存在していたが、2016年にトヨタ C-HRが登場し、ヴェゼルとC-HRの販売競争が激化。

 さらにそこへ昨年2019年11月、ダイハツ ロッキー/トヨタ ライズが投入されると、瞬く間に王座にのぼり詰めた。さらに6月、日産 キックスが登場し、ヤリスクロスも今秋参戦、と、まさに混戦状態だ。

 果たして、後発となるヤリスクロスは、これらのライバルと比べて「買いの一台」といえるのだろうか。今回は、他社車である「CX-3」「ヴェゼル」「キックス」の3台と、「ヤリスクロス」を比較していく。

文:吉川賢一/写真:池之平昌信、ホンダ、日産自動車、MAZDA、TOYOTA

【画像ギャラリー】小型SUV市場がアツい!! キックス、ヤリスクロス、新型続々登場の激戦区を写真でチェック!!


■コンパクトSUV+ハイブリッドの老舗「ヴェゼル」

2019年もSUV販売台数ナンバー1に君臨するホンダ ヴェゼル。登場から7年目となるが勢いは衰えない

 ホンダ ヴェゼルがデビューしたのは、2013年12月のこと。デビュー直後から爆発的な人気を得ており、昨年(2019年)も、SUV販売台数でナンバー1に輝くなど、すでに7年目へと突入しているモデルにもかかわらず、いまだにその勢いは衰えていない。

 ヴェゼルのベースとなっている、フィットが2020年2月に新型へモデルチェンジしたことで、その動向に注目が集まっているが、現時点では、2021年初には新型がデビューする、との情報が出てきており、モデルチェンジを間近に控えている状況だ。

 1.5Lのi-VTECガソリンエンジン車、1.5Lのi-VTECハイブリッド車にはFFと4WD、そして1.5L VTEC ターボエンジン車にはFF、というバリエーションをそろえ、価格は211万円(「X」のFF)~362万円(「ハイブリッドモデューロX」 4WD)。

 ヴェゼルの魅力は、コンパクトなボディなのに「想像がつかないほど」車内が広く、また「想像した以上に」きびきび走る、そして「驚くほどに」燃費が良い、といった「他車がマネすることができないような、技術とパッケージング」であり、こうした魅力がユーザーに刺さっているのであろう。

e-POWERの圧倒的なパフォーマンスの「キックス」

2020年6月に登場した日産 キックス。パワーアップしたe-POWERを武器にどこまで切り込めるか

 2020年6月に登場したばかりの日産 キックス。最高出力129ps、最大トルク26.5kgmと、ノートe-POWER(同109ps、25.9kgm)に対して、+20ps/+0.6kgmほどパワーアップしたe-POWERは、新型キックスの強力な武器だ。

 e-POWERの低速域からのパワフルさは実に頼もしく、キックスの車重が1350kgと、ノート(1220kg)よりも130kgほど重量は増えてはいるが、モーター回転数500rpmから3008rpmで発生する26.5kgmの最大トルクによって、電動車ならではの「胸のすくような加速」を味わうことができる。

 「X(275万9900円)」と「Xツートーンインテリアエディション(286万9900円)」の2グレードでの展開となっており、パワートレインは1.2L・3気筒ガソリンエンジンを発電機としたモーター駆動のe-POWERのみで、ガソリン仕様はない。

 車両価格が安くなるガソリン仕様がない点と、走行安定性が飛躍的に高まる4WDの設定がない点は、キックスの弱みといえる。

新登場の1.5Lガソリンモデルが魅力!! CX-3

コンパクトSUVとしてはヴェゼルに次ぐ老舗のマツダ CX-3。5月に追加となった1.5Lガソリンモデルで手の届きやすい価格帯までおりてきた

 マツダのCX-3がデビューしたのは、2015年2月。コンパクトSUVとしては、ヴェゼルに続く老舗で、すでに5年目を超えているモデルだ。

 デビュー当初は1.5Lのディーゼルのみであったが、その後の改良で、2.0Lガソリンエンジン追加され、さらに1.5Lディーゼルが1.8Lディーゼルに置換、そして2020年5月に1.5Lガソリンエンジンが追加となり、現在のCX-3のパワートレイン構成となった。

 5月に追加となった、1.5Lガソリンモデル(15S/2WD:189万2000円)は、ディーゼルモデル(XD/2WD:249万2600円)に対し、約60万円も価格が下がり、一気に手が届きやすい価格帯までおりてきた。筆者はこの15Sこそ、CX-3でもっとも魅力的なモデルだ、と思っている。

 15Sの111ps/14.7kgmというエンジンパフォーマンスは、XD(1.8Lディーゼルエンジン・116ps/27.5kgm)や20S(2.0Lガソリンエンジン・150ps/19.9kgm)と比べると非力で、それなりにエンジンを回してやらないとならない。

 しかし、むしろそうした操作が、とても楽しく感じられたのだ。ひと昔前の「マツダらしさ」を体感できるモデルだと、筆者は感じている。

卓越したハンドリングの「ヤリスクロス」

8月31日発表予定、9月上旬発売予定のトヨタ ヤリスクロス。すでに年内生産分の予約は埋まり、今後の納期は2021年になるとの情報もある

 そして、トヨタのヤリスクロスだが、8月31日発表予定で、発売は9月上旬を予定している。すでに先行予約の受付を開始しているが、滑り出しは絶好調のようで、情報では、年内生産分の予約が埋まり、今後の納期は早くも2021年にずれ込みそうだ、という。

 グレードは、「X」、「G」、「Z」の3タイプで、それぞれ、1.5LのNAガソリンと1.5Lハイブリッドが用意されている。また、それぞれにFFと4WDが用意されており、4WDシステムは、ハイブリッドがE-Four、ガソリンモデルはダイナミックトルクコントロール4WDとなる。

 ヤリスクロスの価格は未発表(8/6時点)だが、ベストカーWEBの独自調査で、「189万6000~281万5000円」と判明している。想定していたよりも「安い!」というのが筆者の感想だ。

どのグレードも想定よりもお得感のある価格設定になると予想される(ベストカーWeb調べ)

 先日、ヤリスクロスのプロトタイプ試乗会が行われたが、走り始めてすぐ、ステアリングの剛性感が高いことに気づかされた。ヤリスクロスは、ダイレクト感が非常に高いハンドリングを有しており、このカテゴリで屈指のハンドリングカーといえるだろう。

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