【アクティトラック生産終了へ!】素晴らしき技術の塊! 軽トラックは日本の宝だ

■高い実用性を持ちつつも、低価格が魅力の軽トラック

 アクティトラックが生産を終える理由は、ホンダカーズのコメントにもあったとおり売れ行きの低下だ。2019年1~9月の届け出台数を見ると、アクティトラックの1カ月平均は1347台になる。ダイハツ「ハイゼットトラック」の7166台、スズキ「キャリイ」の5268台に比べて圧倒的に少ない。

左からスズキ「キャリイトラック」、ダイハツ「ハイゼットトラック」、ホンダ「アクティトラック」。アクティトラック以外は、他社へOEM供給されている

 しかもライバル2車は、OEM車でも売れ行きを伸ばす。キャリイは日産「NT100クリッパー」、マツダ「スクラムトラック」、三菱「ミニキャブトラック」としても販売され、キャリイを含めると乗用車8メーカーの4社が売る。

 その結果、キャリイ系4姉妹車の届け出台数を合計すると、1カ月平均で6662台に達する。ハイゼットトラックも、スバル「サンバートラック」とトヨタ「ピクシストラック」としてOEM供給され、合計すれば8064台だ。OEM関係のないアクティトラックに比べると、生産規模は5~6倍になる。

 このような売り方をする背景には、軽トラック特有の薄利多売がある。軽自動車でありながら、荷物を運搬するトラックの耐久性を備え、なおかつ価格は割安に抑えねばならないからだ。

 要は儲からない商品なので、ダイハツ/スズキ/ホンダ以外は開発をやめた。日産と三菱は、合弁会社のNMKVを立ち上げて軽乗用車の日産「デイズ」や三菱「eKワゴン&eKクロス」などを造るのに、軽商用車はスズキのOEM車に頼る。この点だけを見ても、軽商用車がいかに儲からない薄利多売か分かるだろう。OEM抜きには成り立たない。

 言い換えれば軽トラックは、価格の割に優れた機能を備える超絶的な買い得車だ。アクティトラックSTDの5速MT仕様は、電動パワーステアリングや4輪ABSなどを標準装着して、価格は83万6000円と安い。

 スズキ「アルト」は、バンの5速MT仕様は73万7000円とさらに下まわるが、乗用車で最廉価のFは86万3500円だ。軽トラックは、荷物の運搬に必要なエンジン、トランスミッション、シャシー、サスペンション、ブレーキなどを備えながら、価格を徹底的に安く抑えた。

■軽トラックは空間効率の究極形だ

 そして軽トラックは、前述のアクティトラック/キャリイ4姉妹車/ハイゼットトラック3姉妹車に限られるから、ライバル競争も激しい。ボディサイズは軽自動車の規格枠ギリギリで、全長が3395mm、全幅は1475mmで共通化される。

 荷物を積むクルマだから、荷台のサイズも重要だ。荷台の長さと幅が不足して、ライバル車に積める荷物が収まらなければ、売れ行きに影響を与える。そのためにアクティトラック/キャリイ4姉妹車/ハイゼットトラック3姉妹車の荷台長は、全車が1940mmで横並びだ。

 それでも差を付けるため、キャリイ4姉妹車とハイゼットトラック3姉妹車は、荷室の前側を少し掘り込んで荷台床面部分の長さを2030mmに拡大した。

アクティトラックの荷台。荷台長は1940mm、荷台幅は1410mm。荷台寸法はキャリイトラック、ハイゼットトラックも同じだ

 ちなみに全長が3395mmで荷室床面部分の長さが2030mmなら、残された部分は1365mmしかない。この短い空間に乗員を座らせ、インパネ、ペダル、ヘッドランプ、ラジエターなどを装着して衝撃を吸収するスペースも設けた。物凄い空間効率だ。

 荷台幅も1410mmで、3モデルともに共通化されている。このほか荷物の積みやすさでは、路面から荷台まで地上高も大切だ。荷台が高い位置にあると、荷物を積みにくい。この数値は、アクティトラックとハイゼットトラック3姉妹車が660mm、キャリイ4姉妹車は650mmで、これも横並びだ。

重量のある農機具や、農作物を積み下ろしすることが多い軽トラックでは、荷台の高さは非常に重要なポイント

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