【モトを取るのに12年強!!?】「ストロング」より「マイルドHV」が得な理由

【モトを取るのに12年強!!?】「ストロング」より「マイルドHV」が得な理由

 最近、プリウスやアクアなどのフルハイブリッド車と違う、低出力のモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド車が登場してきています。

 そこで、気になるのはフルハイブリッド車と、マイルドハイブリッド車と何が違うのでしょうか? 燃費や価格、走りに差はあるのでしょうか?

 その差があまりなければフルハイブリッド車を選びたいところですが、実際のところ、フルハイブリッド車と比べて、マイルドハイブリッド車の費用対効果はどれくらい違うのでしょうか? モータージャーナリストの諸星陽一さんに解説してもらいましょう。

文/諸星陽一
写真/ベストカーWEB編集部

【画像ギャラリー】マイルドハイブリッド搭載車/セレナ、スバルXV、デイズ&ekワゴン詳細


フルハイブリッド車とマイルドハイブリッド車との違い

■スイフトのフルハイブリッド車

スイフトのフルハイブリッド車はコンパクトながら瞬時に力を発揮する駆動用モーターを採用。駆動用モーターのみでのEV走行に加え、加速時にアクセルを強く踏み込むとエンジン出力にモーター出力を上乗せして力強くアシスト。伝達効率の良いAGSとの相乗効果により、低燃費と力強い走りを両立。また、充電や電力供給のためのパワーパックを荷室の下に収めることで、ゆとりある室内空間も確保
スイフトのフルハイブリッド車はコンパクトながら瞬時に力を発揮する駆動用モーターを採用。駆動用モーターのみでのEV走行に加え、加速時にアクセルを強く踏み込むとエンジン出力にモーター出力を上乗せして力強くアシスト。伝達効率の良いAGSとの相乗効果により、低燃費と力強い走りを両立。また、充電や電力供給のためのパワーパックを荷室の下に収めることで、ゆとりある室内空間も確保

 クルマのパワートレインが変化するなか、1997年にトヨタがハイブリッド車のプリウスを発表して以来、日本ではハイブリッドモデルが数多く発売されてきました。

 そうした歴史のなかで、ハイブリッドのバリエーションのひとつとして「マイルドハイブリッド」なるものが登場しました。

 現在、マイルドハイブリッドと一般的なハイブリッドを明確に区分けするため、プリウスなどに採用されている普通のハイブリッドを「ストロングハイブリッド」と呼ぶことも増えてきました。

 ストロングハイブリッドの魅力は以下のようになります。

1:エンジンが不得意とする発進時などはモーターで行うことで力強い発進が可能になる
2:減速時に回生ブレーキを使うことでエネルギーの回収ができる
3:追い越し時などで強い加速が必要なときにモーターがアシストする
4:電気自動車と違い充電の手間がない
5:エンジンを始動しないEV走行が可能

 このうち、5のEV走行以外については、程度の違いはあるもののマイルドハイブリッド、ストロングハイブリッドの共通のことです。

 さらに言うなら、ワゴンRなどでは低速で短時間という条件を付ければEV走行も可能となっています。

マイルドハイブリッドは必要か?

■スバルのマイルドハイブリッド e-BOXER

スバルのマイルドハイブリッド、e-BOXERはフォレスターとXVに設定されている。両車種ともにFB20型2L直噴エンジン(145ps/19.2kgm)に13.6ps/6.6kgmを発揮するモーターを組み合わせている。e-BOXERのシステム制御は、発進や低速走行時などエンジン効率が悪い場合にはEV走行となり、加速時や中速走行時にはエンジンを駆動させ、モーターはその働きをアシストするモーターアシスト走行になる。エンジン効率のいい高速走行時にはエンジンのみで走行し、必要に応じてモーターを回して充電してバッテリーに充電する。減速時にはその減速エネルギーを電気に変換して充電し、停車時にはアイドリングストップを行う
スバルのマイルドハイブリッド、e-BOXERはフォレスターとXVに設定されている。両車種ともにFB20型2L直噴エンジン(145ps/19.2kgm)に13.6ps/6.6kgmを発揮するモーターを組み合わせている。e-BOXERのシステム制御は、発進や低速走行時などエンジン効率が悪い場合にはEV走行となり、加速時や中速走行時にはエンジンを駆動させ、モーターはその働きをアシストするモーターアシスト走行になる。エンジン効率のいい高速走行時にはエンジンのみで走行し、必要に応じてモーターを回して充電してバッテリーに充電する。減速時にはその減速エネルギーを電気に変換して充電し、停車時にはアイドリングストップを行う

■スイフトのマイルドハイブリッド

スイフトのマイルドハイブリッドシステム。発電効率に優れたISG(モーター機能付発電機)により、減速時のエネルギーを利用して発電し、アイドリングストップ車専用鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーに充電。加速時には、その電力を活かしてモーターでエンジンをアシストすることで、さらなる燃費の向上を実現するハイブリッドシステム
スイフトのマイルドハイブリッドシステム。発電効率に優れたISG(モーター機能付発電機)により、減速時のエネルギーを利用して発電し、アイドリングストップ車専用鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーに充電。加速時には、その電力を活かしてモーターでエンジンをアシストすることで、さらなる燃費の向上を実現するハイブリッドシステム

 こうなると、なにもマイルドハイブリッドではなくて、ストロングハイブリッドがあればいいじゃないか、と思う人もいるでしょう。

 はたしてマイルドハイブリッドは必要なものなのでしょうか?

 ハイブリッドやEVで強い力や電動での長い走行距離が欲しい場合は、現在の技術ではバッテリーを大きくする以外に方法はありません。

 そしてバッテリーを大きくすれば当然のように重量が増します。バッテリーの重量が増えれば、各種の性能に悪影響を及ぼします。

 それを克服するにはさらにバッテリーを大きくして……という悪循環に陥ります。そこで、適当なところでバランスを取るわけです。

 そのバランスの取り方でバッテリーがかなり小さい状態、モーターもそれにともなって小さなものとしたのがマイルドハイブリッドと考えればいいでしょう。

 ストロングハイブリッドにするためにバッテリーを大きくすれば、当然のように室内空間を圧迫します。

 しかし、マイルドハイブリッドならバッテリーもモーターも小さくて済みますので、室内空間への圧迫は少なくて済みます。ですので軽自動車やコンパクトカーではマイルドハイブリッドが使われる傾向があります。

■主なマイルドハイブリッド搭載車
●スズキ:スイフト、イグニス、クロスビー、ソリオ、ソリオバンデット、スペーシア、スペーシアカスタム、スペーシアギア、ワゴンR、ワゴンR スティングレー
※スイフト、ソリオ、ソリオバンデッドはマイルドハイブリッドとフルハイブリッドを両方とも設定
●日産:セレナ、デイズ
●スバル:XV/フォレスター
●三菱:ekワゴン&ekクロス

次ページは : マイルドハイブリッドはどんなメリットがあるのか?

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