ドッカンターボという言葉を聞かなくなって久しく感じます。このドッカンターボという言葉、聞いたことがあっても、その意味や、どんなクルマがそれに当てはまったのか、知らない方も多いかと思います。
このドッカンターボとは、どんなクルマのことを指していたのでしょうか。
文:立花義人/吉川賢一、写真:日産、BMW、ホンダ、ベストカー編集部
ドッカンターボとは?
排気量の小さなクルマに大きなタービンを付けると、パワーは稼げるのですが、アクセルを踏み込んでからターボによる爆発的な加速が発生するまでのタイムラグ、ターボラグも大きくなります。
緩やかな(むしろ遅く感じる)加速から、過給が始まったとたん、急激にエンジントルクが増え、体がシートに押し付けられるような加速へと変化しますが、
この爆発的な体感上の変化が味わえるエンジンの特性を、ドッカンターボと表現していました。
ターボラグを解消する技術がまだ進んでいなかった時代に、ドッカンターボと言われたクルマをいくつかをご紹介していきます。
日産シーマ(Y31)
ドッカンターボ代表として名を挙げる方も多いのがこのY31型シーマです。
Y31セドリック/グロリアとプラットフォームを同じものを使い、より上級思考のお客様へ向けた作り込みを行い、1988年に発売された高級セダンでした。
当時の好景気も手伝って販売が絶好調となり、“シーマ現象”という言葉も生まれたほどでした。
Y31型シーマは、電子制御エアサスペンションを装備しており、極上にソフトな乗り心地を提供しながらも、255psを発生する排気量3.0リットルVG30DET型V6ターボエンジンを搭載していました。
このV6ターボエンジンの加速は、アクセルを踏みこんだとたんにリアサスペンションがグッと沈みこむほどで、クルマが前上がりの姿勢で怒涛の加速をする姿が、当時のメディアにて話題となり、これが爆発的なヒットにつながったとも言われています。
昨今のクルマでは、たとえフル加速をしても、リアサスペンションのアンチスカット角(リアの沈み込みを防ぐジオメトリの考え方)が織り込まれているため、クルマのリアが沈み込むことはありません。
いかにも速そうに見せる演出としては、面白いかもしれませんね。
日産スカイライン2000ターボRS
1981年に登場した6代目スカイラン(R30)に、ターボが装着されたモデルが追加されたのは1983年のこと。
当時呼ばれていた、史上最強のスカイラインの名に恥じない190psのエンジンフィールは、まさにドッカンターボそのものでした。
1984年には、ターボに空冷式インタークーラーを装着し、最高出力が205psまで高められた2000ターボ、インタークーラーRS(通称ターボC)を追加。
その荒々しいエンジンフィーリングに、さらに磨きがかかりました。
ちなみに、現行型スカイラインの400Rに搭載したV型6気筒3.0リッターツインターボエンジンの最大出力は405PS。当時のエンジン出力の約2倍にもなっており、技術の進化を感じます。
BMW2002Turbo
1966年から1977年にかけて製造されたBMWの小型2ドアセダン、日本では通称マルニと呼ばれたモデルです。
この2002シリーズで最上級モデルとなる2002Turboは、1973年に追加されました。
航空機のエンジンメーカーでもあったBMWは、航空機にすでに採用されていたターボの技術を、世界で初めて乗用車に応用。
1990cc直列4気筒SOHCにターボチャージャーを装着したエンジンは最大出力170psを誇ります。電子制御ではなく機械式燃料噴射装置、かつインタークーラーも装備されなかったため、燃費が悪く、第一次オイルショックの影響もあって、1672台で生産中止となりました。
ちなみに、BMW2002ターボのボディサイズは全長4220mm×全幅1620mm×全高1410mm。
小さなスポーツカーの代表マツダ ユーノス・ロードスター(1989年-1997年)は、全長3970mm×全幅1675mm×全高1235mm。小振りに見える初代ロードスターよりも、車幅が50ミリも狭いというのはちょっと驚きですね。
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