【スタッドレスタイヤは乗らなくても4年が期限】 雪用タイヤの寿命と長持ちの秘訣は?

 通常の年であれば深雪に悩まされている季節だが、今年は暖冬の影響で雪不足が続いている。そんななか、首都圏の平野部でも1月27日の夜から雪が降った。

 雪国ではアスファルトの路面ばかりで、スタッドレスタイヤの本来の性能が発揮できず、その反面、首都圏ではスタッドレスタイヤが久しぶりに使える状況で急いではき替えた人も多いはず。また愛車のスタッドレスタイヤが使えるのか、寿命も気になるところだろう。

 ここで改めて、スタッドレスタイヤの寿命と長持ちさせる秘訣を解説していこう。

文/高根英幸
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部

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愛車のスタッドレスタイヤが寿命かどうかチェックする方法

プラットホームという冬用タイヤとしての使用限度を示すサインがスタッドレスタイヤにはついている。溝の深さが50%以上摩耗しているとプラットホームが図のように露出する。もしプラットホームが露出していたら、冬タイヤとしては使用できない(出典/ヨコハマタイヤ)

 スタッドレスタイヤは、冬季の雪道や凍結路面での安全性を確保するためには欠かせないクルマの装備品になった。

 新たにチェーン規制によってスタッドレスタイヤでも通行できないケースも出てきたが、スタッドレスを履いていれば、日本の冬道なら大抵のシーンを安心して走ることができる。

 スタッドレスタイヤは、夏タイヤと比べてカバーする領域が限定されている。ざっくりと言えば高速性能を犠牲にして、冬道の走行性能を高めているのだ。

 そのため真夏でも使えないことはないが、残り溝が深く残っている状態で通常の舗装路を走った時に雑な運転操作をすると、細かいサイプの変形量が大きくなりすぎてトレッドを傷めてしまう。

 したがって普通の舗装路を走る際には据え切りを控えたり、Uターン時の舵角や加速などには気を使ってやることが、本来の性能を長く維持することにつながる。

 スタッドレスタイヤを履いている間は、ドライの舗装路では夏タイヤよりゆっくり丁寧な運転を心がけよう。

 そしてプラットフォームと呼ばれる残り溝が50%になった際にトレッド表面に現れるサインが出るまでは冬用タイヤとして使い、50%以下となったらそのまま夏まで使用して使い切って廃棄するのが、スタッドレスタイヤの正しい使い方だ。

 法規的には残り溝1.6mmまでは使用できるので、サマータイヤとして使うことはできる。使用限界は通常のサマータイヤでおなじみの「スリップサイン」が露出するまでだ。

スタッドレスタイヤの寿命は4年!

スタッドレスタイヤの寿命は何シーズンくらいなのだろうか?

 スタッドレスタイヤを購入する際には、コストパフォーマンスが気になるだろうが、自分の目的に合った性能のタイヤを選ぶことが何よりも大事だ。

 氷上性能を特に重視したタイプや雪上と氷上をバランスさせたタイプ、SUV用など想定される路面と車格によって細分化が進みつつある。

 特にアジアンタイヤメーカーなど格安スタッドレスタイヤは、低温域でのゴムの柔軟性を確保するためにオイルを多く配合しているメーカーもある。

 これは新品時にはゴムを柔らかくしてくれるが、高速走行などで温度が上昇するとオイルが抜けていき硬化してしまう。

 しかし日本のタイヤメーカーのスタッドレスを研究して開発に活かしているので、3Dサイプなど高度な金型技術が必要な技術を採用しているスタッドレスも開発されてきた。新品時の性能はかなり向上している印象だが、メーカーによって品質にも差がある。

 一概に安物はダメと言い切ることはできないが、タイヤはクルマにとって一番大事なモノだけに、安心を含めて満足感の高い買い物をすることをお薦めする。

 ブリヂストンのスタッドレスタイヤは発泡ゴムを採用しているが、これはスポンジのように氷の表面にある水膜を吸い込んで除去できる上に、ゴム表面の微細なディンプルが氷に貼り付くようにグリップを引き出す効果がある。

 さらにスポンジのように素材本来のゴム硬度より柔軟にできるほか、ゴムが硬化してきてもしなやかさを失いにくいのも特徴だ。ゴムの劣化に対する耐久性はスタッドレスタイヤでは最も高いと言っていいだろう。

 横浜ゴムはエボ吸水ホワイトゲル、トーヨータイヤもクルミやオーガニックパウダーなどをトレッドゴムに練り込んでいるが、これはタイヤ表面で剥がれることにより、発泡ゴムと同じ吸水効果やエッジ効果を発揮する意味合いも大きい。

 ダンロップはこうした異素材を練り込まず、オイルではなくゴムと軟化剤を分子結合させることで、走行によってオイルが抜け出して硬化することを防いでいる。ゴムの比率が高い分、摩耗に強いのも特徴だ。

 国産タイヤメーカーのスタッドレスタイヤは、4年はスタッドレスとしての性能を維持すると言われており、そうした信頼性の高さと初期性能も高いのが特徴と言える。

溝があっても製造年月をチェックする習慣を心掛けるべし!

タイヤのサイドウォールに刻まれた製造番号から製造年と何週目に製造されたか読み取れる(出典/ヨコハマタイヤ)

 何年スタッドレスタイヤを使っているのか、うろ覚えの人は、タイヤの側面にマーキングされている製造年月日をチェックする習慣をつけよう。

 国産タイヤメーカーではスタッドレスタイヤの寿命は4年とうたっているとはいっても、発泡ゴム以外のスタッドレスタイヤは、保管方法にもよるが、3シーズンまでが旬。4シーズン目以降、アイスバーンに出くわしたら慎重な走りをしたほうがいい。

 磨き込まれた夕方のミラーバーンなどは、鮮度の高い高性能スタッドレスタイヤと、 3シーズン使ったスタッドレスタイヤは溝が残っていてもゴムの柔軟性が劣化しており、そのような状況に出くわす積雪地方に住んでいる方は、交換を考えるべきタイミングを思ってもらいたい。

 タイヤは金型に入れて加熱(硫化)することで成形とゴムの弾性を実現しているが、金型とゴムの癒着を防ぐために離型剤などが使われており、それがタイヤの表面に残ってしまう。

 そのため夏タイヤでも一皮剥くまでグリップレベルが低いのだが、スタッドレスタイヤの場合、冬道しかも雪道で新品タイヤを使い始めるケースもあり、タイヤ表面の剥離が進みにくい。

 そんな場合も想定して表面に微細な刻みを入れたり、表面に微細な凹凸を施すことで初期性能を高めている。

 ミシュランやグッドイヤーといった欧米のタイヤメーカーも日本市場で販売しているスタッドレスタイヤは、日本で開発テストなどを行なっており、日本の道路環境や雪質などを確かめて最適な特性に仕上げている。

 安価なアジアンタイヤは、それだけで魅力的に見えるかもしれないが、初期性能と耐久性、信頼性の高さについては、国産タイヤメーカーや欧米タイヤメーカー製スタッドレスの優位性は、当分揺るがないだろう。

 また北海道と東北地方、そしてそれ以外の地域では冬道でも環境は大きく異なる。北海道は気温が低く、雪の量は多いが除雪も行き届いているので、スタッドレスタイヤで走るのに向いている。

 ただし札幌などの都市部では、スタッドレスによって磨かれてしまうことでツルツルのミラーバーンになりやすいなど、氷上性能も重視したいところだ。

 東北地方は雪が多いだけでなく、日中に雪が解けてガチガチの圧雪アイスバーンにもなりやすい。

 そんな路面は格安スタッドレス、しかも経年劣化しているといざという時に止まらなくて怖い思いをする可能性がある。

オールシーズンタイヤは便利だが、グリップ力はそれなり

グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクターフォーシーズンズ」。サイドウォールにはM+S(マッド&スノー)の表記があり、チェーン規制下でも原則的には走行可能だ。「M+S」、「SNOW」、「STUDLESS」といった表記のほか、スノーフレークマークという山に雪の結晶を組み合わせたマークが入っている。ただし、スノータイヤ、ましてやスタッドレスタイヤほど低温合わせたゴムを使っているワケではないので、氷雪上性能は明らかに劣る

 高速道路を走る機会が多くて、ハンドリングなどスタッドレス特有のトレッド剛性の低さからくる安定感の低さが気になるようなら、ウインタータイヤという選択肢もある。

 昔は国産タイヤでもハイウェイスタッドレスと呼んでラインナップしていたが、日本の雪道ユーザーはまず氷上性能を重視して、高速性能は二の次という選択をするためラインナップから外れてしまった。

 しかし欧州では高速性能を重視するユーザーは多く、ウインタータイヤの需要は高い。日本に比べ融雪剤を多く撒く地域では、冬季の高速道路でも夏季と変わらぬペースで走るドライバーが多いからだ。

 スタッドレスタイヤを履いている時には高速道路でもゆっくり走る、というなら問題ないが、冬季は冬用タイヤを履いても雪道を走る機会はそれほど多くなく、高速走行時の安定性やステアリングの応答性を重視したいならウインタータイヤも試してみることをお薦めする。

 冬季であれば夏用スポーツラジアルより速いラップタイムを叩き出すウインタータイヤもあるほどグリップとハンドリングのレベルは高く、一昔前のスタッドレス並みの氷雪性能を確保している。

 高速道路メインで氷雪路では慎重に走るドライバーなら、冬季も高性能モデルの走りを楽しめる。

 一方、「いつ雪道を走るか分からないが、イザと言う時のために準備しておきたい」という環境のドライバーならオールシーズンタイヤを選ぶという方法もある。

 これは夏タイヤとしての性能(グリップレベル、静粛性など)は夏タイヤより若干劣り、冬タイヤとしての性能(氷雪性能)はスタッドレスほどではないが、1種類のホイールセットだけで1年中使え、不意に雪が降っても慌ててスタッドレスやタイヤチェーンを買い求めに走る必要がない。

 雪の降り始めや春先など微妙な時期に豪雪地帯にドライブに行くような場合にも安心して出発できるなど、メリットは意外と多い。

ボディタイプ別のスタッドレスタイヤ

ミニバンであればミニバン専用スタッドレスタイヤを選ぶのが安心だ

 そして夏タイヤ同様、最近はスタッドレスでもボディタイプ別に特化した専用の銘柄が用意されている。

 これはセダンやハッチバックに比べ、車体が大きく重く重心が高いミニバンやSUVのために、タイヤサイズだけでなくケーシング剛性やトレッドデザインを専用にチューニングすることで、乗り心地やグリップ性能を最適化しているものだ。

 SUV用のタイヤには雪道にも対応できるマッド&スノー規格を取得しているものも多い。つまりそのままでも雪道には対応できるので、4WDであればかなりの走破性を確保している。

 さすがに凍結した路面では、スタッドレスには大分グリップ力で劣るから、東北以北ではスタッドレスに履き替えた方が安心だ。

 SUVの場合、乗用車用スタッドレスでのサイズ対応と、そのSUV専用モデル、さらにはSUV専用タイヤのブランドにも専用のスタッドレスタイヤが用意されているので、選択に迷うユーザーもいるだろう。

 そうしたSUVやミニバン専用のスタッドレスは通常の乗用車用スタッドレスより少しタイヤ代は高くなるが、冬道での安心感や氷雪路での走りに満足感を得たいオーナーには選ぶ価値がある。

スタッドレスタイヤを長持ちさせる保管法

 夏タイヤを履いている間、スタッドレスタイヤは保管して次の冬季に備えることになるが、単純にカバーを被せて保管すれば安心、というものではない。クルマのボディカバー同様、被せていることがマイナスになるケースもある。

 ベランダなどに置いているユーザーも多いが、日中は直射日光が当たるような場所はできれば避けたい。カバーをしていれば紫外線は防げるが、カバー内の温度が上昇し、内部で結露してゴムを劣化させることになる。

 エアコンの室外機の近くも避けた方がいい。コンプレッサーやファンを駆動するモーターがオゾンを発生させるので、やはりゴムを劣化させる原因になるからだ。

 タイヤの空気圧を半分くらいに落とし、冷暗所にカバーをかけて寝かせて重ねるのが理想的。タイヤ専門店で預かってくれるところもあるから、そうしたサービスを利用するのも賢い手だ。

 また暖冬で使わなかった、というシーズンがあった場合も要注意だ。タイヤは一定以上走行させないままにしていても、ヒビ割れなどの経年劣化が進む原因になる。ゴムは荷重をかけて振動させることにより、柔軟性を保つことができるからだ。

 夏タイヤも同様で、乗らずに駐車しっ放しの状態が続くとゴムの厚みが違う部分などからヒビ割れが進行して、最終的には内部まで劣化が進みパンクしたりバーストする危険性もある。

 雪が降らなくても冬季には1度は履いて走行することが、むしろ劣化を遅らせることになると覚えておこう。

 年に1、2度程度、ウインタースポーツなどを楽しむ時だけレンタルサービスを利用するのも手だが、こういうものは自分が使いたいと思う時には他のドライバーも同じなので、需要が急激に跳ね上がり在庫切れで利用できないケースもある。首都圏で大雪が降った時などは利用するのが難しいと思っていた方がいいだろう。

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