ファミリユースからサーキットユースまで、幅広く愛されてきたトヨタのコンパクトカー、ヴィッツ。
昭和の名車スターレットの実質的な後継車であり、国内だけでなく、海外でも爆発的なヒットとなったヴィッツは、世界の小型車を変えた存在とも言われる。
そんなヴィッツであるが、2020年2月のフルモデルチェンジで、その名をヤリスへと変更、20年の歴史に幕を閉じることになる。
皆さんもご存知の通り、ヤリスという名前は、もともとヴィッツの海外仕向けに使われていた名前であり、今回グローバルで統一したという流れであるが、このように車名が変更されたクルマはほかにも多くある。
意外にも名車と呼ばれたクルマに多い改名。なぜ長年愛されてきた名前を捨て、改名することになったのだろうか。
文:吉川賢一、写真:奥隅圭之 、トヨタ、ホンダ、マツダ、日産
【画像ギャラリー】車名が変わったクルマたちをもっと見よう!!
トヨタコロナマークIIからマークII、そしてマークXから販売終了へ
クラウンとコロナの中間として誕生したコロナマークII。コロナに上級車の装備を付けて豪華版とし、コロナのマークIIとして、1968年に初代が登場したのがその始まりだ。
5代目にマークII(1984年)となったあと、10代目で初代マークX(2004年)となった。
1989年~1990年の6代目マークIIの時代が、このクルマが最も売れた時代。1990年代中頃を過ぎると、日本ではセダン離れが加速し、また、ミニバンやSUVの人気に火が付いたことも影響し、マークIIの販売台数は減少。
マークIIをマークXとすることで、イメージ刷新を狙ったが、2005年、レクサスブランドが立ち上がったことで、トヨタの中でのトヨタ製セダンへのプライオリティが徐々に下がっていくこととなり、
2019年、ついにマークXは、車種整理の対象となってしまった。
余談であるが、筆者は先般、トヨタ元町工場で行われたマークX生産終了イベントに参加させていただいた。
その際伺った工場長はじめ従業員の方々のマークXへの思いと、時代の流れについていくためには、変わらなければならないという強い思いには、同じくクルマ業界に生きるものとして、深い感銘を覚えた。
ホンダシティからロゴ、そしてフィットへ
1981年の登場とともに一躍大ヒットとなったシティ。
初代はトールボーイと呼ばれた背高なデザインが人気であったが、2代目は一転ワイド&ローのデザインとなったことが影響してか、販売が低迷。1994年にわずか2代でその歴史を終えることとなる。
その後1996年に実質的な後継車としてロゴが誕生、シティが見た目重視で失敗したことから、ロゴは徹底して実用性重視で作られた。
販売価格も安価であったが、実用性に振りすぎたことで人気は振るわず、僅か5年、たった一代で、その座をフィットに譲り渡すこととなった。
シティ、ロゴと迷走したホンダであったが、その経験があったからこそ、その後のフィットの大成功につながったのかもしれない。
ちなみに海外ではフィットベースのセダンがシティ名で現在でも販売されている。
また、初代フィットをベースに、コンパクトミニバンとして初の3列シート7人乗りを実現したモビリオも、現在フリードと、その名を変えている。
フィットの大成功により、モビリオもまた相乗効果でヒットしたクルマであるが、フリードとなり、さらなるヒットを遂げた。
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