クルマとの”危険な関係”に拍車をかける自転車ナビマークの問題点【クルマの達人になる】

クルマとの”危険な関係”に拍車をかける自転車ナビマークの問題点【クルマの達人になる】

 2011年10月、警察庁が「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策」を推進することを発表。自転車は車道通行するという原則を徹底する方針を周知するものだった。

 それから約9年が経った現在、街中では車道端に自転車ナビマーク(または自転車ナビライン)と、進行方向を示す矢印が描かれているのをよく見かけるようになった。

 しかし、この自転車ナビマークが、昨今クルマと自転車のトラブルを引き起こす原因となっている。ニュースでも聞いたことがある人も知れないが、狭い道幅で自転車を追い越そうとするクルマと、マークがあるから自分が優先と考えている自転車によるトラブルだ。

 交通の実情を無視して増え続ける自転車ナビマークについて、その問題点を提起する。

文:国沢光宏/写真:Adobe Stock
ベストカー2020年3月26日号

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■交通の実情無視して増える自転車ナビマーク問題が深刻化

 ここにきて道路の左側に矢印+自転車のイラストを描いた「自転車ナビマーク」が増えてきた。というか、全国どこに行っても存在するので感心します。あのくらい頑張って”本当に自転車が走れるレーン”を作ってくれればいいのだけれど、大半は今までの道にペイントしたのみ。

 私の家の前の道なんか、路側帯なし狭い対向2車線なので、自転車ナビマークを書いたらクルマ走る場所が足りなくなっちゃう。今までは自転車も遠慮しながら走っていたのでトラブルなかったけど、最近状況違ってきた。

 自転車乗りからすれば「ココはオレの道」だということなのかもしれません。またまた私の家の前の道になるのだけれど、290cmある道路の端は側溝の上にコンクリート製のフタがかぶさっている。日本全国どこにでもある道路構造だと思う。フタは50cmあるため、総合的に考えると車幅340cmということになる。路線バスは車幅250cmなので、左右45cmずつの余裕を残す。最も難しい”大型二種免許所持者”なら困ることなく普通に走行できるだろう。

 この道路に突如自転車ナビマークがペイントされた! 驚くべきことに道路管理者はフタの部分、道路じゃないという判断をしたらしい。自転車ナビは50cmの側溝のフタの上じゃなく、290cmの道路の左端60cm分にペイントされているのだった! つまり左端からフタ50cm+自転車レーン60cm+車道230cmという状況! 前述のとおりバスの車幅は250cm、単純に考えたって自転車ナビラインを踏んづけて走らないとダメ。車幅200cmの車両だってすれ違いを考えたら厳しい。

よく見かける自転車ナビマーク。車道の幅に対して、自転車が走行する部分が食い込んでいるため、マイペースな自転車と追い抜けずイライラするクルマでトラブルになりやすい。ちなみに「自転車優先」など、法令上自転車を保護する意味はない

 自転車ナビマークが書かれるまで自転車はフタの上(デコボコなく道路と同じくらい滑らか)を通っていた。技量のないママチャリや高齢者の自転車についちゃ歩道です。自転車がフタの上を走ってくれていたら、290cmある車道を大型車も通行できる。お互い譲り合いの精神ですわな。ところが自転車ナビマーク書いたら、自転車乗りはその上を走るようになってきたのだった。こうなると対向車走ってくる間、バスはずっと自転車を追い越せない。

 だったらいつもフタの上を走っててくれればいいのに、そんな自転車乗りたちは、道路が渋滞すると今まで通りフタの上を走ってクルマを抜いていく〜(笑)。まぁ、自分も自転車乗っていたらそうすると思う。

 それだけじゃありません。速度の低いママチャリや高齢者の自転車も車道に追い出されたため、自転車同士での追い越しも頻発するようになった。こうなると乗用車すら走る余地なく、ブレーキかけて自転車の追い越しにお付き合いしなくちゃならん。

 いずれにしろクルマと自転車の「危険な関係」はまったく改善されていない。2011年秋に警察が突如「自転車は車道を走れ」と言いだし、歩道から自転車を追い出してから、9年近く経つ。その間にやったのは、今回紹介した狭い道にまで自転車ナビマークをペイントしたことくらい。

 自転車とクルマのトラブルも増えているし、事故になった場合、ドラレコの証拠なければクルマの責任が大きく問われてしまう。重大な問題だ。

こちらはバンコクのは自転車専用通行帯(自転車レーン)。日本でも新たに整備された道路や、広い幹線道路で自転車専用のレーンが設けられているが、いまだ大多数を占めるのはとってつけたような自転車ナビマークだ

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