質実さが仇に!? 佳作 ホンダ キャパが一代限りとなった理由【偉大な生産終了車】

質実さが仇に!? 佳作 ホンダ キャパが一代限りとなった理由【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はホンダ キャパ(1998-2002)をご紹介します。

【画像ギャラリー】ベースモデルとなったロゴとも比較! ホンダ キャパの画像をギャラリーでチェック!!!

文:伊達軍曹/写真:HONDA


■オデッセイ、ステップワゴンに続く新世代のマルチワゴンとして登場したキャパ

 扱いやすい5ナンバーサイズのトールワゴンとして質実剛健な作りを有していたが、その質実剛健さが市場には「地味」と受け取られ、実際、特に派手なポイントはなかったため人気薄となり、1代限りで消えていったコンパクトカー。それが、ホンダ キャパです。

ホンダ キャパ。オデッセイ、CR-V、ステップワゴン、S-MXなどを送り出した「クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)」の第二ステージ「「J・ムーバー」シリーズの第1号として登場

 1990年代半ばのホンダは「生活創造車」をテーマに、オデッセイやCR-Vなどを「クリエイティブ・ムーバー」シリーズと呼んでいました。

 そしてそこから派生したコンパクトクラスを「Jムーバー(ジョイント&ジョイフル・ムーバー)」と呼び、その第1弾として1998年に発売されたのがキャパでした。

 ベースとなったのは当時のホンダの主力コンパクトカーだった「ロゴ」で、全長と全幅は3775mm×1640mmと小ぶりですが、全高はロゴより160mm高い1650mm。

 そして室内寸法も長さ1750mm×幅1335mm×高さ1240mmと、ちょっとしたミニバン並みの広さです。

キャパのベースとなったロゴ(1996-2001年)

 この余裕ある室内サイズを生かしたキャパは、実用的な小型車でありながら座り心地の良い大ぶりなシートを採用し、足元のゆとりも十分。

 後席には、クラス最大級となる250mmのスライドが可能な「マルチモードリアシート」が採用されていました。

 キャパの車台は前述のとおりロゴがベースではあるのですが、厳密にいえば新設計。

 ロゴの車台の上にもう1枚のキャビンフロアを配置した新骨格の二重フロア構造「デュアルデッキパッケージ」を採用していたのです。

 補強材をフロア下に埋め込むことで高強度ボディとし、前席シートレールやリアヒーターダクトなどをフロア下に埋め込むことにより、いわゆるフラットフロアも実現。

キャパ開発にあたりホンダがめざしたのは乗る人のゆとりを最大限に広げる
「リラックス・コンパクト」の具現化だったという。なお「CAPA」は「才能」「包容力」「収容能力」などの意味をもつ英語「CAPACITY」からの造語

 さらにこの二重フロアは「室内の静粛性」にも大きく貢献していました。

 搭載エンジンは最高出力98psの1.5L直4SOHCのみで、トランスミッションは「ホンダマルチマチック」と命名されたCVT。

 駆動方式は当初FFのみでしたが、1999年のマイナーチェンジ時に4WDが追加されました。

 キャパは走りにおいてもまずまず優秀でした。

 ホンダ車としてはアンダーパワーといえる最高出力98psのエンジンでしたが、特に力不足であると感じることもなく、良好な視界としなやかな乗り心地、そして二重フロアならではの良好な静粛性により、長距離クルーズも苦としないコンパクトカーに仕上がっていたのです。

 そんなホンダ キャパではあったのですが、残念ながら販売は低迷。

 次世代コンパクトである「フィット」をベースに作られた「モビリオ」の登場後もしばらくは併売されていましたが、2002年1月、キャパはその生産と販売を終了しました。

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