スイフトスポーツ対GRヤリス 国産コンパクトスポーツ頂上決戦

スイフトスポーツ対GRヤリス 国産コンパクトスポーツ頂上決戦

 カタログモデルとなるトヨタ「GRヤリス」がついに2020年9月4日に発売された。トヨタとしてもWRC参戦のために開発してきたこともあり、PRには力が入っている。

 しかし、国内のコンパクトスポーツモデルにはスズキ「スイフトスポーツ」という強力ライバルが存在する。

 価格面では265万円スタートのGRヤリスは敵わないところだが、それ以外の走り、安全装備などをひっくるめて比較すると、スイフトスポーツの牙城を崩すだけのポテンシャルがあるのだろうか? 考察していきたい。

文/渡辺陽一郎
写真/編集部

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■販売好調のヤリスから生まれた トヨタ本気のスポーツモデル

 目下のところ絶好調に売れているのがコンパクトカーのトヨタ「ヤリス」だ。2020年2月に発売され、4/5/7/8月には、小型/普通車の登録台数1位になった。8月31日には、ヤリスとエンジンやプラットフォームを共通化したコンパクトSUVのヤリスクロスも加わり、シリーズ全体でさらに売れ行きを伸ばしそうだ。

車名を「ヴィッツ」から改めた「ヤリス」。シャープでスポーティなフロントマスクを採用

 そしてもうひとつ、クルマ好きにとって気になる存在が「GRヤリス」だろう。ヤリスのスポーツモデルで、ボディはベース車の5ドアではなく3ドアになる。3ドアボディは後席の乗降性が悪化する代わりに、ボディ剛性が高まり、車両重量を軽減する効果もある。

 GRヤリスはボディサイズも異なり、全長3995×全幅1805×全高1455mmとなる。全幅はノーマルボディのヤリスに比べて110mmワイド化され、3ナンバー車になった。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も数値上は10mm長い。

 最も大きく異なるのはエンジンだ。「RS」はベース車と同じ1.5L直列3気筒だが、「RZ」「RZハイパフォーマンス」「RC」は、1.6L直列3気筒ターボを搭載する。最高出力は272ps(6500rpm)、最大トルクは37.7kgm(3000~4600rpm)だから、1.5Lノーマルエンジンの2.3~2.5倍に強化された。

RS 265万円。1.5LNA、FFモデル。225/40R18のアルミホイールも装着され、カーボンルーフやアルミ製エンジンフード、バックドア、左右のドアパネルなどボディは共通。トランスミッションはCVTを搭載
RZ 396万円。アルミホールがエンケイ製の鍛造となり、タイヤはダンロップのSPスポーツマックス050+になる。ブレーキキャリパーは黒になるがフロント18インチの対向4ポッド、リア16インチの対向2ポッドは共通
RZハイパフォーマンス 456万円。BBS製鍛造アルミホイールとミシュランパイロットスポーツ4S、前後トルセンLSD、冷却スプレー機能付き空冷インタークーラーの装着がRZとの違い

トランスミッションは、1.5LのRSはCVT(無段変速AT)だが、1.6LターボのRZやRCには6速MT(マニュアルトランスミッション)を組み合わせる。駆動方式は、RSは前輪駆動の2WDだが、RZとRCは電子制御式多板クラッチを使った4WDだ。

 GRヤリスは売り方が複雑で、2020年1月10日に「RZファーストエディション」と、「RZハイパフォーマンス・ファーストエディション」の先行予約を開始した。このあと、同年9月になって正式にGRヤリスが発売されている。受注期間がきわめて長い。

 そこでGRヤリスの納期などについて販売店に尋ねると、以下の返答であった。「GRヤリスは1.5L(RS)と1.6Lターボ(RZとRC)の2種類に大別され、人気が高いのは1.6Lターボです。そのために納期も長いですが、今はまだ正確な日程がわかりません。2020年9月中旬に契約された場合で、納車は2021年4月以降です。ただし1.5Lであれば2020年12月には納車できます」

 RZとRCについては、納期が半年以上に遅延しているようだ。

 どのようなユーザーが購入しているかも尋ねた。「1.5Lはヤリスの1.5Zを検討したあと、上級移行して選ぶお客様が多いです。1.6Lターボは4WDのスポーツモデルなど、高性能な車種からの乗り替えが目立ちます」

 同じGRヤリスでも、RSとRC/RZではユーザー層が違う。

 価格は1.5LのRSが265万円、1.6Lターボは、ディスプレイオーディオなどの各種装備を省いた競技車両向けのRCは330万円、装備を充実させたRZは396万円だ。RZハイパフォーマンスには、トルセンLSD、専用チューニングされたサスペンション、プレミアムスポーツシートなども加わって456万円になる。

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