無資格者完成検査問題で(これまで信頼性が高かっただけになおさら)不信感を払拭すべく、再発防止や体制の見直しが急務となるスバル。
これまで首尾一貫して「安心・安全」と「走りの愉しさ」を謳ってきたスバルだけに、ファンの失望は大きい。
もちろん信頼回復のための体制作りをしっかりしてほしい。そしてそんな今だからこそ、これまでよりいっそう魅力的で信頼性の高い商品を出してほしいとも思う。
信頼回復のカギは、いつだって「商品」、どれだけいいクルマを作れるかあるはずだ。そう願いつつ、本企画ではこれまで公表されてきた情報や関係者への取材を元に、「スバルの今後の新車戦略」を紐解いていきたい。
文:ベストカー編集部
2017年11月10日号「スバルの光と闇」特集より
■モーターショーで見えた「次期WRX」の姿
第45回東京モーターショー(2017年10月28日〜11月5日)でスバルは「ヴィジヴパフォーマンスコンセプト」を世界初披露した。
事前に配布された発表資料によれば「スバルのクルマづくりの将来ビジョンを具現化したスポーツセダンタイプのコンセプトモデル」とスバル自身が説明しているように、これが次期型WRX STIの姿であることは明らかだ。
ボンネット上に設けられた歴代WRX STIに脈々と受け継がれている象徴的なアイコンのエアスケープ、そして現在のスバル車共通のアイデンティティである“DYNAMIC×SOLID”がデザインに盛り込まれている。
また、開口部が現行型よりもかなり拡大されたフロントバンパーもインパクト抜群。
次期型WRX STIはかなりアグレッシブなエクステリアを身に纏って、商品計画(後述)どおり2019年に登場することになるだろう。
■「ヴィジヴ」から始まるSUBARUスポーツ戦略
そしてこのヴィジヴパフォーマンスコンセプトが今後のスバルのスポーツモデル戦略の第一歩となる。
ご記憶の読者も多いだろうが、現行型WRX STI&S4のコンセプトとなったのが、2013年のニューヨークショーに出展された「WRXコンセプト」だった。
ワイド&ローを強調したスポーティなデザインのクーペライクな小さいキャビンで、実際に市販された量産モデルとは一線を画す格好よさが評判になった。
このWRXコンセプトが現在のWRX STI&S4だけでなく、事実上の姉妹車で共同開発となったワゴンモデル、レヴォーグの方向性をも指し示していた。
実際、現行型WRX STI&S4とレヴォーグのフロントマスクはバンパー造形に多少の違いはあるものの、ボンネットとヘッドライトなどは差がなかった。
ということは今回のヴィジヴパフォーマンスコンセプトのデザインテイストが次期型WRX STI&S4のみならず、次期型レヴォーグにも生かされるのは想像に難くない。
■2019年、スバルはパワーユニット大変革の分岐点を迎える
次期型WRX STI&S4、レヴォーグといえばすでにインプレッサ、XVで採用された新世代のスバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用することになるのだが、それ以上に気になるのがパワートレーン。
なぜなら2019年はスバルパワートレーンの大転換期となるからだ。現行型WRX STIが伝統のEJ20ターボ、WRX S4&レヴォーグは直噴DITのFA20ターボ(レヴォーグはFA16ターボもあり)を搭載しているが、次期型レヴォーグから新型エンジンが搭載される。
というのも2014年に発表されたスバルの中期経営計画「際立とう2020」の商品戦略を見ると、2019年から新設計となるダウンサイジングターボの投入が明記されている、という事実がある。
一部報道では、2021年にはスバル車のターボ比率は現在の1割から8割に引き上げられることが伝えられており、その尖兵となるのが2019年登場予定の次期型レヴォーグのようなのだ。
現在、2Lと1.6Lという2種類の直噴ターボを設定しているレヴォーグだが、次期型ではデビュー当初、新開発の1.8Lターボのみとなる可能性が高い。
この1.8Lターボエンジンが現在のFA20ターボから置き換わっていくことになり、現在の販売メインモデルとなっているFA16ターボの後継エンジンは1年後の2020年に追加される新型1.5Lターボが引き継ぐのだという。
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