花粉も遮断?? 抗ウイルスタイプ続々!? 車のエアコンフィルター 高機能化と最前線

花粉も遮断?? 抗ウイルスタイプ続々!? 車のエアコンフィルター 高機能化と最前線

 クルマの空調にフィルターが装着され始めて、もう20年ほどが経過した。当初はフィルターが目詰まりするとファンの風量が上がらず、都市部では結構な頻度で交換させられるクルマもあったが、最近は安定した風量を維持してくれるようになっている。

 また当初は輸入車から導入され始めたことから、外気を取り入れる場合だけがフィルターを通過する構造になっていたが、国産車への採用が進んだこともあって最近は室内を循環する空気もフィルターを介して室内に送り出されるようになっている。

 新型コロナウイルスの流行はもちろん、花粉の季節にはいっそう気になるカーエアコンの最新事情とは?

文/高根英幸 写真/HONDA、AdobeStock

【画像ギャラリー】クルマのマスク?エアクリーンフィルター用抗ウイルス用品「くるますく」&マイナーチェンジしたN-BOXをみる


乗用車の大半が不織布のカーエアコンフィルターを装備

写真はN-BOXにオプション設定されるエアコンフィルター。抗ウイルス機能も併せ持つ
写真はN-BOXにオプション設定されるエアコンフィルター。抗ウイルス機能も併せ持つ

 このフィルター自体は、コロナ禍で入手困難になった使い捨ての不織布マスク同様、不織布を蛇腹状に折り畳んだものが素材として使われているのが一般的だ。

 日本はスギ花粉のアレルギーをもつ人が多いこともあって、今や乗用車のほとんどにエアコンフィルターが装備されている。

 花粉以外にも、排気ガスや黄砂、ブレーキダストなど、クルマが走行している間には様々な異物が空気中に舞っているので、エアコンの外気導入からそれらの侵入を防ぐのは、健康面と室内の汚れを抑えるのにも効果がある。

 ちなみに中国では都市部での大気汚染問題から、PM2.5を検知するセンサーとそれに対応したフィルターを装備するクルマが標準化しつつある。

 エアコン内部にあるエバポレーターは、その機構上結露する(これによって除湿を実現している)のだが、そこにホコリや砂、PM2.5などの汚れが付着すると、水分を保持しやすくなってカビが発生する原因になり、それがエアコンからの風を悪臭にしてしまう大きな原因となっていた。

 しかし、空気導入のダクト内にフィルターが装備されてからは、そうしたトラブルは少なくなっているのも、エアコンフィルターのメリットだろう。

近年は高機能フィルターが続々登場!! 欧州ホンダからは抗菌剤入りも

 純正でも標準装着されているのは単なる不織布のフィルターも多い。これでも花粉はほぼ100%ブロックできるが、より小さな異物は補集する力は限られる。そのため表面のコーティングにより、静電気でPM2.5などの異物を吸着する効果を持たせたものもある。

 さらに、臭いやさらなる微粒子をキャッチしてくれる活性炭を敷き詰めた層をサンドイッチしたタイプもあるが、最近ではより高機能なフィルターが主流になりつつある。

 これは活性炭の質や量を改善して脱臭効果を高め、ペットの臭いなども気にならなくしてくれるなど、室内をより快適な環境に整えてくれる。

 日産は活性炭による脱臭機能をもつクリーンエアフィルターだけでなく、車種によっては「クリーンエアフィルタープレミアム」を設定して標準装着している。

 これは細菌やウイルスをキャッチして死滅させる抗菌抗ウイルス作用(殺菌はできないが増殖できないため、死滅する)をもつだけでなく、ビタミンCを空気中の水分に含ませて放出する機能をもっている。

 ビタミンCは女性の基礎化粧品にも使われているとおり、肌に良い。エアコンからの風は乾燥しがちだが、多孔性のセラミックに含ませたビタミンCが通過する風に少しずつ含まれることによって、肌を乾燥から守る効果があるそうだ。

ホンダモーターヨーロッパから、ホンダプレミアムキャビンエアフィルターが登場した。フィルターに抗菌剤を塗ることによりウィルスをブロックする仕組みになっている
ホンダモーターヨーロッパから、ホンダプレミアムキャビンエアフィルターが登場した。フィルターに抗菌剤を塗ることによりウィルスをブロックする仕組みになっている

 欧州では、コロナ禍で死者がたくさん出ていることもあって事態はより深刻なことから、ウイルスをブロックするフィルターを備えたクルマも登場している。

 それが何と、ホンダの純正品なのである。ホンダモーターヨーロッパは、従来のエアコンフィルターに、フルーツから抽出したクエン酸をベースとした抗菌剤を塗布することにより、ウイルスを90%以上補集して、そのほぼ100%を不活性化するらしい。

 日本で出回っている高機能フィルターは、1層目か2層目に抗菌抗ウイルス剤をコーティングしているモノが多いが、ホンダモーターヨーロッパのホンダプレミアムキャビンエアフィルターは、4層構造の最下層に抗菌剤を塗布したフィルターを重ねているようだ。こうした仕組みの違いも、知ると面白い。

N-BOXのディーラーオプション エアクリーンフィルター用抗ウイルス用品「くるますく」(価格:税込7,040円)
N-BOXのディーラーオプション エアクリーンフィルター用抗ウイルス用品「くるますく」(価格:税込7,040円)

 国内でもホンダは昨年暮れのN-BOXのマイナーチェンジに合わせて関連会社のホンダアクセスから、エアクリーンフィルター用抗ウイルス用品「くるますく」が発売されている。

 これはアルミメッシュをエアコンフィルターの上に載せて覆うことで、メッシュ表面の微細な突起がウイルスをキャッチして不活性化させる、というもの。フィルターに追加し、さらにフィルターと同期間で交換が必要だが、抗ウイルス機能が追加できるのは嬉しいことだ。

 自分のクルマに装着されているのは、単なる不織布だけのポーレンフィルターだ、というオーナーもガッカリするのはまだ早い。デンソーやボッシュが、日産純正と同じく抗菌抗ウイルス、ビタミンC放出機能を持ったエアコンフィルターを用意している。

 カーメイトもこの3月から抗菌抗ウイルス機能をもつエアコンフィルターを発売している。まだ対応車種は限られるようだが、PIAAも純正同等品から高機能なタイプまで幅広くエアコンフィルターを用意しており、価格や機能などで選択肢が増えている。

 こうした純正フィルターではないアフター品を選ぶことで、車種によっては純正エアコンにはない機能を追加することができるのだ。

次ページは : 高機能フィルターであってもメンテナンスが一番大事

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