2期連続赤字の日産は立ち直れるのか!? その起死回生のカギになる新車は?

3期連続赤字の日産は立ち直れるのか!? その起死回生のカギになる新車は?

 日産は6月に行われた株主総会で3期連続赤字は「回避したい」と、内田誠CEOが黒字化の決意を述べた。業績不振に苦しんでいる日産は、今回の難局を乗り越え、立ち直ることはできるのか?

 そして日産の赤字は、これまで年月の経った古いクルマばかりで新型車がなく、北米市場では値引きをせざるを得ない状況があったことが要因のひとつにあったという。そんな日産が今後の起死回生に向けて、期待が持てる新型車とはどれなのか?

 モータージャーナリストの桃田健史氏が解説する。

文/桃田健史  写真/ NISSAN、Ford

【画像ギャラリー】日産ブランドの復活を頼んだぞ内田誠CEO!!「NISSAN NEXT」のクルマを写真でチェック!!


■「NISSAN NEXT」を着実に実行

 「3期連続の赤字はなんとしても回避したい」。2021年6月22日に行われた株主総会で、日産の内田誠CEOは強い決意を示した。

日産自動車 株主総会の内田誠CEO。新型Zの発表会で内田CEOは、かつてZ32を愛車とした自分は「Zファン」だと語った。そんなクルマ好き社長に日産ブランドを復活させてもらいたい

 日産は過去2年度で、6712億円、4487億円の赤字決算となっているが、2020年5月28日に公表した事業構造改革「NISSAN NEXT」を着実に実行することで黒字化に向けた道筋を探ってきた。

 そのなかで、ユーザーとして最も気になるのは「どんな新車が出るのか?」であろう。

 なにせ、ゴーン体制が染みついた”過去の日産”ではFMC(フルモデルチェンジ)までの車歴が10年前後、またはそれ以上に達したモデルが多数あったからだ。

 そんなユーザーの不安を一気に解消しようと、NISSAN NEXT発表時には「今後18カ月で12の新車型を投入する」と発表。「A to Z」というイメージ動画も披露し、新型車の頭文字とそれらのシルエットから、メディア各社がさまざまな予想をする記事が大いに盛り上がったことが記憶に新しい。

 そのうち、すでに国内で発売が始まったのは、「キックスe-POWER」と「ノート」。そして、「ノート オーラ」という隠し玉も登場した。

日産ノートの上級バージョン『オーラ』。「上質をまとったコンパクト」をキャッチコピーにCMで女優の中谷美紀とともにオーラ全開!!

 さらに、A to ZのAである「アリア」とZである「フェアレディZ」が2021年内に市場導入されるため、モデルラインアップで見れば、日産の今期黒字化の可能性は高まっているという見方もあるが、はたしてそうなるだろうか?

2020年9月に公開された『フェアレディZ』 プロトタイプ。はやくも『Zニスモ』追加の情報がでており、来季のGT500はニューZが15年ぶりに復活する!?

 新たなる日産の注目車種の軸足に、日産のこれからを予測してみたい。

■熾烈さを増すEV市場

 まずは、次世代日産のシンボルである「アリア」だ。

2021年6月4日に発表された日本専用の特別限定車『アリア リミテッド』。発売は2021年10月を予定している

 価格はベースモデル「B6 Limited」が税込み660万円という発表を聞いて、筆者は「少し高い」という印象を持った。

 なぜならば、アメリカで先行発売され、アリアのライバルといえるフォード「マスタング マッハE」が4万2895ドル(1ドル110円換算で472万円)だからだ。

フォードのEVスポーツSUVモデルである『マスタング マッハE』。フォードは2030年までに販売車両の電動化率を40%にする計画

 それでも、アリア日本仕様の初期受注が予約発売開始10日間で3936台となり、そのうち45%を占める最販車が最上級グレードの「Limited B9 e-4ORCE」(790万200円)となった。

 日本市場では単純比較できないが、グローバル市場でみれば、テスラ「モデルX」(AWD)のアメリカ価格が8万3190ドル(915万円)であり、アリアはプレミアムEVとしてはリーズナブルだといえるだろう。

 ただし、アリアを取り巻く市場環境は、大手自動車メーカーでは日産が「リーフ」で独り勝ちし、そこに新興勢力のテスラが独自路線を行くという2010年代前半から中盤とは大きく変わっている。

 欧州では、欧州委員会(EC)による世界で最も厳しいとされるCO2規制強化が進むなか、2016年にEVシフトをいち早く打ち出したフォルクスワーゲングループでは、VW、アウディ、そしてポルシェなどで多様はモデルが登場し、またメルセデスベンツとBMWを加えてジャーマン3全体としてEVモデル拡充が進む。

 北米でも、GMがEVプラットフォームのアルティウムによって、GMC「ハマーEV」からホンダと協業する「プロローグ」まで多様なラインアップを揃え、フォードは前出の「マスタングマッハE」に次いで、なんとアメリカの王道フルサイズピックアップトラックF-150を「ライトニング」としてEV化した。

 さらに、中国では政府のNEV(新エネルギー車)政策により多様なEVが続々と登場している状況だ。

 こうしてEV市場での競争が激化するなか、日本でも「アリア」成功を楽観視できる状況ではない。

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