佳き時代の日本に「桁違いプライス」のクルマがいくつか存在した。クラウンが3台買えるといわれたトヨタ2000GTは、特別性能、特別仕立てのスーパーGTだった。
ロータリー・エンジンを引っさげて登場してきたコスモ・スポーツは確かに世界に無二の存在だった。もうひとつの桁違いプライスのクルマ、いすゞ117クーペはイタリアンテイストの手づくりボディが個性を輝かせていた。そんななか、日産が送り出したのは……そう、シルビア。
120万円という価格はセドリックの最上級モデル「カスタム6」よりも20万円高の設定。さて、それをどう考えるか。前二者に較べると価格差はそれほどでもない。特別感が少し足りなかった、と見るのか、「真っ当な」上級車と見るのか。
ともあれ、わが国自動車史の中で、ちょっと気になる存在であることはまちがいない。
いまも熱心な愛好家が存在する。初代シルビアの誕生からその後について紹介しよう。
文、写真/いのうえ・こーいち
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