このところ、往年の名車復活のニュースが続々と飛び込んでおり、クルマ好きたちの話題となっている。10月14日まで開催されていたフランス・パリモーターショーでは、プジョーが504クーペをモチーフにしたEVコンセプト「eレジェンドコンセプト」をお披露目した。
ただ、より話題を集めているのは、実際に市販が発表された、この2台。ポルシェのクラブスポーツレーシングカーの「ポルシェ935/78」と「アウトモビリ・アモス」が発表した「ランチア・デルタ・フューチャリスタ」だろう。
本稿では、同じ復刻車ながら実は成り立ちが大きく異なるこの2台にスポットライトを当てつつ、復刻車の背景に迫る。
文:大音安弘
写真:porsche AG、Automobili amos、David Brown Automotive、peugeot、Renault、Nissan
ポルシェ935&ランチアデルタの復刻車は値段もスーパー!
「ポルシェ935/78」は、伝説のレーシングカーである「ポルシェ935」の最終型にあたり、「モビー・デイック」の愛称で親しまれた「935/78」をモチーフにしたもの。
かつて911ターボをベースに開発されたのと同様に、最新型911GT2 RSをベースとしている新型車となる。オリジナルを強く受け継ぐのは特徴的なスタイルだけでなく、同様にトラック専用車となるのが大きな特徴。77台のみ生産され、価格は70万1948ユーロ(税別)と日本円換算で1億近いプライスタグを掲げる。
一方、ロードカーである「ランチア・デルタ・フューチャリスタ」は、ランチア・デルタHFインテグラーレ16Vに徹底したレストアを施し、さらにアップデートを加えたもの。
軽量化やエンジンパワーの向上など戦闘能力が大幅に高められているが、基本的にはオリジナル。生産台数は、情報を総合すると15台~20台に留められるようで、価格は30万ユーロ(約3900万円)という。
2台の復刻車は「似て非なるモノ」
注目したいのは、この2台の復刻車の成り立ちが大きく異なることだ。「ポルシェ935/78」は、オリジナルのオマージュ。つまり、スタイルや思想を受け継ぎながらも、中身は最新世代の新型車であることだ。
身近な例を挙げれば、VW ニュービートルや現行型フォード マスタングなどが挙げられる。最も近い存在といえば、登場ばかりのアルピーヌ A110かもしれない。
しかしながら、デルタ・フューチャリスタを送り出したのは、オリジナルメーカーではなく、小さな自動車工房。すでに市場で活躍していた中古車をベースに仕立てたカスタマイズモデルなのだ。
このため、シャシーなど基本的な部分はベース車と同様。オリジナル同様のディメンジョンとスタイル、独自の雰囲気を持つことが最大の魅力だ。
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