【いよいよ登場!! 新型フィットの哲学と勝算】ホンダ大黒柱、玉座奪還なるか!!

【いよいよ登場!! 新型フィットの哲学と勝算】ホンダ大黒柱、玉座奪還なるか!!

 第46回東京モーターショー2019のホンダブースに出展され、多くの注目を集めた新型フィット プロトタイプ。本来ならこの時点で受注していていいハズだったのだが、N-WGNの電動パーキングブレーキに不具合が発生、同じユニットを使う新型フィットは発売スケジュールが2020年2月に先送りとなった。

 そんなトラブルがあった新型フィットだが、ついにその走りを体感することができた! コンパクトカー用に新たに開発したi-MMD(名称はe:HEV)など、新技術も搭載された新型を松田秀士氏が徹底チェックした!

 くしくも、12月20日発表、2月中旬発売となる新型ヤリスとタイミングが重なり、ガチンコ対決となる新型フィット。その走りの評価やいかに!?

 正式発表がされておらず、発表日もリリースされていない新型フィット。今回は試乗レポートのみとなるが、新たな情報が入手でき次第お伝えしたい。

文/松田秀士
写真/HONDA

【画像ギャラリー】新型フィットの5つのバリエーションと、その走りをチェック!!


■新型ヤリスとは違う、癒し系女子的なエクステリア

 2020年2月発売となり、新型ヤリスとガチンコ対決となった新型フィット。果たしてその実力はどうかチェックしてみよう。

 新型フィットの試乗会は、2019年9月下旬だった。北海道にあるホンダの鷹栖プルービンググラウンドでの試乗。新型ヤリスは袖ヶ浦フォレストレースウェイでのプロトタイプ試乗だったが、フィットもまたクローズドコースでのプロトタイプ試乗だ。

 まずエクステリアだが、サイズはほとんど現行モデルを踏襲し全長は4mを切る3995mm、全高はマイナス10mmだ。新型ヤリスがスポーティでアグレッシブなデザインを採用しているのに対して、新型フィットではどちらかと言うと癒し系の女性的なデザイン。

 新型フィットのほうが、ユニセックスなエクステリアデザインと言える。エクステリアデザインからも見て取れるように新型フィットが目指したのは「心地よいこと」なのだ。このあたり、新型ヤリスと方向性の違いが明確で面白い。ユーザーはどちらを選ぶだろうか興味深いところだ。

新型では、全体的に「優しい印象」を与えるエクステリアデザインを採用した
SUVテイストのブラックのオーバーフェンダーや、ルーバーデザインのフロントグリルなどの専用エクステリアを採用した「CROSSTER(クロスター)」も設定。人気が出そうだ

 新型フィットで目指したことは原点に返り本田宗一郎氏の言葉を借りている。それは「私の課題は技術ではないですよ。どういうものが人に好かれるかを研究しています」ということ。そこで考えたのが一ミリでも広いことがすべてではない、ということ。超ハイト系ワゴン軽自動車を作るホンダらしからぬ言葉だが、軽自動車全メーカーに聞かせたいぐらい。

「超ハイト系軽ワゴンは発泡酒のようなもの」とジャーナリスト仲間の金子氏の言葉。軽自動車枠であの広さと高さは課税逃れの便宜。ビールのようなんだけどビールじゃない。軽自動車の税金であそこまで広い空間を与えてしまうのは問題である。

 そんなことはさておいて、新型フィットが目指した心地よいこととは「用の美」というテーマに置き換えられている。「用の美」の用は「心地よいこと」と「使えること」の2つ。この2つで人の心地よさを美しくデザインすると言い表わしている。ま、どこのメーカーも哲学的な表現しないといけないのね。大変だぁ!

■ドライバーが気になるドライビングポジションや前方視界は良好

 ということで、ではインテリア。シートに腰掛けてみる。まず小柄大柄に関わらずフィットするドライビングポジション。ステアリング角度が2度起こされテレスコピックも14 mm プラスされている。確かにステアリングの操作フィールが格段に向上している。

 また、ペダルも流行りの踏み間違いを防止できるように、アクセルとブレーキペダルとの最適化が図られていて、今までだと足首あたりの窮屈さを解消するためにシートを後ろにずらしていたことが、ペダル類やステアリング操作の障害となっていたのだけれども、その部分をしっかりと直している。

「心地よい視界」のために、フロントピラーの断面構造を改良して従来よりも細いピラーを実現。また、インパネを水平、直線基調のデザインとして広い視界を確保
使いやすさを追求したインテリア。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトはもちろん健在で、室内の広さと豊富なシートアレンジを踏襲

 特にホンダのシートは、これまで座面が水平すぎたり座り心地と操作系に不安があったけれども、今回のシートは点で支えるバネ構造から面で支えるMAT構造に変更されている。

 さらにフロントシートではクッションの厚みをプラス30 mmとし骨盤からしっかり支える構造となっている。確かにドラポジそしてこのシートも座り心地&サポート性はとてもよくてちょっと上級車っぽいフィーリングだ。

シートの内部構造を全面的に見直し、上級セダンへの搭載も見据えた新開発シートを採用

 さらにリアシートは、プラス24 mmの厚みとなりアコードクラスの乗り心地とのこと。実際に座ってみるとフロントシートとのスペースもこのクラスとしてはしっかりと取られていて、背もたれの角度も適正に寝かされた印象でヘッドクリアランスもあり心地よいがよくわかる。

 ドラポジを決めて前方視界を確認する。これまでよりもかなり視界がよくなった。フロントピラーを細くして90度のパノラマフロントウィンドウにしたという。フロントピラーを細くするために衝突荷重をフロントピラーから Aピラーへと導く構造をとっている新設計。これが新しくてフロントピラーはウィンドウを支えるだけにすることができるので細くすることができたわけだ。従って A ピラーとフロントピラーの隙間があるので斜め方向の視界もドアミラーとの干渉が少なくかなりいい。

 また、ワイパーがドライバーの視界の邪魔にならないように隠れている。そして、インテリアの処理も完全に水平なインパネ上部として見切りが非常にいい。メーター類はバイザーのない7インチ TFT 液晶メーターとしていて、運転に必要な情報だけを表示するようになっている。またホンダセンシング稼働時の情報もここに映し出される。

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