新型エクリプスクロス発表!! 虎の子PHEV投入 三菱RV王国復活の狼煙となれるか

新型エクリプスクロス発表!! 虎の子PHEV投入 三菱RV王国復活の狼煙となれるか

 三菱自動車は2020年9月17日、SUVの「エクリプスクロス」にPHEV(プラグインハイブリッド車)を追加し、デザインを一新した改良モデルを発表した。

 電動化の鍵ともいえるPHEVを、アウトランダーでいち早く実用化し、高い評価を受けていた三菱。新型エクリプスクロスは、このPHEVシステムを搭載し生まれ変わった。

 ただ残念なことに、新型の登場と合わせて、ラインアップからはディーゼルエンジン搭載モデルが消え、ガソリンモデルとPHEVモデルの2本立てとなるという。

 今回は装いも走りも進化した、注目のPHEVモデルのプロトタイプに、富士スピードウェイのショートコースで試乗したので、その詳細をお届けしたい。

文/松田秀士
写真/平野学

【画像ギャラリー】デザイン一新! アウトランダーに続くPHEVモデルを投入した新型エクリプスクロスを詳しくチェック!!


■より洗練された流麗なデザインに進化

 注目はまずそのデザイン。フロントフェイスがかなりアグレッシブに進化している。ターンランプとポジションランプ、そしてデイタイムランニングライトをひとつにまとめて最上段に配置し、その下にLED(M-Lineはハロゲン)メインビームとフォグランプを備えている。上段のターンランプはとても視認性が高く、安全性にも貢献する。

新型エクリプスクロス。スマートなクーペSUVを目指すため、全長を140mm延長。よりスポーティなったダイナミックシールドによって
新型エクリプスクロス。スマートなクーペSUVを目指すため、全長を140mm延長。よりスポーティなったダイナミックシールドによって
左が現行型エクリプスクロス、右が新型エクリプスクロス。新型は上部にデイタイムランニングライトとターンランプ、ポジションランプをまとめ、その下にLED(M-Lineはハロゲン)メインビームとフォグランプを備える
左が現行型エクリプスクロス、右が新型エクリプスクロス。新型は上部にデイタイムランニングライトとターンランプ、ポジションランプをまとめ、その下にLED(M-Lineはハロゲン)メインビームとフォグランプを備える

 さらにリヤにまわれば、リヤゲートのWウィンドウがシングルウィンドウに変更され、ボトムガラスのあった位置が6角形のリヤエンドとなった。これによってハイマウントのリヤコンビネーションランプもデザイン変更されている。

 そして、サイドビューは全長を140mm延長(オーバーハング延長)したことで、旧型の塊り感からクーペSUVらしい流麗な印象になった。インテリアもより機能性と視認性、そしてスポーティな配色を行い、センターディスプレーは7インチから8インチへと大型化されている。

左が現行型エクリプスクロス、右が新型エクリプスクロス。新型は上下方向と内側に広がる新デザインのシグネチャーランプを採用。現行型が採用していたWウィンドウはシングルウィンドウに変更されている
左が現行型エクリプスクロス、右が新型エクリプスクロス。新型は上下方向と内側に広がる新デザインのシグネチャーランプを採用。現行型が採用していたWウィンドウはシングルウィンドウに変更されている
新型エクリプスクロスPHEVのインテリア。センターディスプレーは7インチから8インチへと大型化された
新型エクリプスクロスPHEVのインテリア。センターディスプレーは7インチから8インチへと大型化された

■先進のPHEVシステムと三菱自慢の四駆技術がもたらす走りの進化

 では、その走りの進化に触れていこう。

 エクリプスクロスは基本的に「アウトランダー」をベースとしている。つまりプラットフォームを供用しているのだ。従ってPHEV化はそれほど驚くことではない。逆にアウトランダーPHEVでの実績を継承するのだから安心できるというものだ。

新型エクリプスクロスPHEVが搭載するパワートレーンは、アウトランダーPHEVと全く同じものとなる
新型エクリプスクロスPHEVが搭載するパワートレーンは、アウトランダーPHEVと全く同じものとなる

 筆者はアウトランダーPHEVの2018年マイナーチェンジ試乗会でSPORTモードを体験。エンジン換装による発電能力とリアモーターのパワーアップにより、大幅にファン・ツー・ドライブ化したそのハンドリングに感動したものだ。その後、現行型エクリプスクロスの試乗会で、何故PHEVモデルを追加しないのか? と開発陣に質問したものだった。

 筆者の思いがかない、やっとあのアウトランダーPHEVのベースをそのまま受け継ぐエクリプスクロスPHEVが誕生したわけで、その走りのマインドを確かめられる。しかもサーキットで。

 試乗会当日はかなりの雨! 普段なら「なんだ、雨か!?」となるところだが、エクリプスクロスの場合は恵みの雨! 前後モーターの制御によるPHEV用「S-AWC」の特性をしっかりと確かめられるというものだ。

※編集部注/「PHEV用S-AWC」:三菱が開発した車両運動統合制御システム。前後輪間トルク配分を行うツインモーター4WD、左右輪間トルクベクタリングを行うブレーキAYC、4輪ブレーキ制御を行うABS&ASCを組み合わせ、最適制御することで、意のままの操縦性と卓越した安定性を実現する。

ツインモーター4WDとS-AWCによる優れたハンドリングを実現したエクリプスクロスPHEV。雨のサーキットでも、高い操縦性と卓越した安定性を感じることができた
ツインモーター4WDとS-AWCによる優れたハンドリングを実現したエクリプスクロスPHEV。雨のサーキットでも、高い操縦性と卓越した安定性を感じることができた

 アウトランダーPHEVではドライブモードの切り替えにNORMAL、LOCK(ロック)、SNOW(スノー)の3パターンと、ボタンスイッチ操作によるSPORTモードがあるのだが、これがエクリプスクロスPHEVではNORMAL/ECO(ノーマル/エコ)、SNOW(スノー)、GRAVEL(グラベル)、TARMAC(ターマック)とより細分化されている。つまりガソリンエンジンモデルのフルタイムAWDと同じドライブモードだ。

シフトレバー横にドライブモードの切り替えるダイヤルがある。5つのドライブモードによって、乾燥舗装路、ウェット路面、圧雪路、アイスバーン、雪道、ラフロードというあらゆる路面状況に対応する
シフトレバー横にドライブモードの切り替えるダイヤルがある。5つのドライブモードによって、乾燥舗装路、ウェット路面、圧雪路、アイスバーン、雪道、ラフロードというあらゆる路面状況に対応する

 特に興味深いのはGRAVELとTARMACだ。これはまるでランエボじゃないか! 三菱は「ランサーエボリューションVI」で電子制御システムの「AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」を搭載していた。トミ・マキネン仕様なんてモデルがあったのを覚えているだろうか。あの時、驚くほどシャープでアンダーステア知らずのハンドリングに興奮したことが記憶に刻まれている。

 まさか! SUVであんなことになるのは? と興奮気味にアクセルを踏み込む。ドライブモードはまずはNORMALから走り出す。駆動力はこの大雨の路面でも前後輪の駆動によりしっかりとトラクションを生みホイールスピンもなく加速。やはり大雨でのフル加速でも安心感が高い。

池のような水たまりができるようなサーキットコンディションでも、スピンモードに陥ることない走りをみせた
池のような水たまりができるようなサーキットコンディションでも、スピンモードに陥ることない走りをみせた

 サスペンションは予想以上にソフトで、ステアリングを切り込むとスッとフロントのロールが入る。リヤもすぐに反応して前後のストロークの連携も現行のガソリンモデル同様に素直なホイールストローク。ヨシ、では一気にドライブモードをTARMACにしよう。

 TARMACは後輪へのトルク配分が一番高くなるモード。コース上にはパイロンを並べたスラロームコースが設置されていたのだが、ここでアクセルを踏み込むタイミングを早めるとフロントタイヤを支点にしてリヤが巻き込むようにきれいに旋回する。

 また全開のまま進入する上り坂の右コーナーも、大雨なのにアクセルを踏み込んでいける(この時はESC(横滑り防止装置)をOFFにした)。そしてGRAVELモードでは1コーナーの飛び込みをわざとオーバースピードで試す。

 アクセルOFFでブレーキをハーフにしてステアリングを切り込むと4輪ドリフトでアウトいっぱいまで流れたあとピタリと止めてグリップ走行する。いわゆるS-AWCの統合制御によって、スピンモードに陥ることもないし、極端なアンダーステアで飛び出しそうになることもなかった。

エクリプスクロスPHEVのEV航続距離は、アウトランダーPHEVと同等の57.6km(WLTCモード)。急速充電を標準装備し、充電時間は、普通充電(200V)で約4.5時間(満充電)、急速充電で約25分(80%充電)となる
エクリプスクロスPHEVのEV航続距離は、アウトランダーPHEVと同等の57.6km(WLTCモード)。急速充電を標準装備し、充電時間は、普通充電(200V)で約4.5時間(満充電)、急速充電で約25分(80%充電)となる

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