86、BRZ、ロードスターをプロ目線で見る「違い」とは? FRの真髄に迫る

86、BRZ、ロードスターをプロ目線で見る「違い」とは? FRの真髄に迫る

 走りを楽しめるスポーツモデルにも今やFF車をベースとしたモデルが多い。しかし、FR(=フロントエンジン・リアドライブ)車ならではのハンドリングには代え難い魅力あり! 

 なかでも国産FRスポーツの代表的車種である、トヨタ 86、スバル BRZ、マツダ ロードスターの3車を、元スーパーGTドライバーの山野哲也氏がじっくり解説。プロの目線からみた走りの違いとは?

文:ベストカー編集部
ベストカー2018年3月10日号


ノーマル以上に優れる86 GRの“安心感”

トヨタ 86 GR/全長×全幅×全高:4290×1790×1320mm、車重:1240kg、最高出力/最大トルク:207ps/21.6kgm、価格:496万8000円
トヨタ 86 GR/全長×全幅×全高:4290×1790×1320mm、車重:1240kg、最高出力/最大トルク:207ps/21.6kgm、価格:496万8000円

 まずはトヨタ 86 GR。スッーと走り出した瞬間から『違い』を感じる。

 ボディがガッチリしていて足がしなやかに動いてくれて、ちょっとした段差を乗り越えた後の収まりがいい。ショートストロークのシフトノブは動きがスムーズで気持ちいい。エンジンに変更はないものの、シフト操作のリズム感がよく、気持ちよく走ることができる。

 低速コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込んだ時のトラクションがよく、しっかりと路面を捉えている。ノーズの入りもよく、プッシングアンダー(アクセルを踏み足した時に発生するアンダーステア)を感じることもない。

 少し速度を上げてスラロームのような左右の切り返しをすると、ノーマルの86で感じた操安性の不安定なところがなく、高いスタビリティで安心して動かすことができる。

 ノーマル86はこのような場面でスピンモードに入りそうな動きを感じ取りながら慎重にコントロールすることが求められるのだが、こちらは圧倒的に安定している。

 ブレーキは初期タッチから制動力がグッと立ち上がる。ブレーキペダルを踏み始めてから実際に効き始めるまでのペダルストロークが小さく、減速Gの立ち上がりもシャープ。これはいいブレーキ。

 どんな速度域からでもイメージした制動力をドライバーの意思でコントロールしやすいブレーキだ。

 パワステの制御もノーマルとは変わっているのだろうか、ステアリングを操作する感覚が“しっとり”としていて上質。

 切り始めは比較的軽いのだが切り込んでいくと重さが増していき、戻しの動きにも適度な重さがある。あたかもステアリングの動きにダンパーが効いているような印象で上質な操舵感だ。

 ちょっとネガを感じたのが発進時のクラッチのつながりとエンジントルクの立ち上がり感のアンマッチ。

 クラッチペダル自体にちょっと引っかかり感があることに加え、ミート時少量のアクセル操作に対しエンジン回転がイメージした以上に上がってしまい、ちょっと過敏な印象だった。

86 GRとは対照的なBRZ STIスポーツ

ああ
スバル BRZ STIスポーツ/全長×全幅×全高:4240×1775×1320mm、車重:1250kg、最高出力/最大トルク:207ps/21.6kgm、価格:353万1600円

 86 GRとはずいぶんと異なるキャラクター。GRで感じた“しっとり感”はない。GRはベースの86とはまったくの別物になっていたけれど、こちらはあくまでもベースのBRZの延長線上のフィーリング。

 車の動きは上下に対しても左右に対してもレスポンスがよく、よく動く印象。ドライバーの操作に対し敏感に反応するので小気味よさを感じる人もいるだろう。

 ブレーキの効きもタッチも両車対照的。86 GRのほうが効きもタッチもレーシングカーのようにシャープで強力。

 BRZ STIスポーツは、ストリートユースをターゲットとしたチューニングで、パッドのミューの立ち上がりが緩やかでペダルを踏み込んだ奥で効きをコントロールするイメージ。強く踏み込んでもロックしにくいブレーキで誰が乗っても制動力コントロールのしやすさを味わえる。

 86 GRはペダルに足を載せた瞬間からググッと制動力が立ち上がり、効きのピークが早い段階で発揮されるので、より追い込んだ走りをするには向いているが、ちょっと制動力コントロールには慣れが必要。

 BRZが踏み込みながら制動力をコントロールするのに対し、86 GRはペダル踏力を抜きながら効きをコントロールするイメージ。

 両車対照的で興味深いところ。ドライバーの好みによって、これはどちらがいいというのではなく『味付け』の領域だ。

次ページは : ロードスターは「派手さはないが真面目に作りこまれている」

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