ベストカーといえばどちらかといえば国産車が得意な媒体、と思われがち。そうはいっても輸入車の魅力もよーくわかります。
でも「輸入車」と一括りにするのもなんだか違うなと思いませんか? フェラーリも、ミニクーパーも同じ「輸入車」ですからね。
そんなことを考えつつ、ベストカーのベテラン編集者が「JAIA試乗会」という毎年冬の恒例試乗会にいってきました。輸入車の個性、そして国産車との味わいの違いなどを考えます。
文:ベストカー編集部/写真:平野学
ベストカー2018年3月26日号
■そろそろ「輸入車」で括るのやめませんか!?
今の時代、『国産車』だとか『輸入車』などといってステレオタイプに二分しちゃうことにはかなり抵抗感がある。
だって『日本人』と『外国人』と言っているようなもので、『外国人』って一括りにしちゃうけど、アメリカ人もいればドイツ人もいるし、韓国人だって中国人だってみんな『外国人』。
大きな括りでは、各国独自に発展した文化や風土に根ざした国民性的なモノはあるんだろうけど、やたらと内気で女性に声なんかかけられないイタリア人もいるだろうし、メチャメチャ鈍くさくて足の遅いケニア人だっている。
もう絶望的にリズム感の乏しくてサンバのリズムに乗り遅れるブラジル人だっているワケよ。日本人だって「わびさび」なんてまったく理解できない人もいれば、自由がむしろ息苦しいアメリカ人だっている。
何が言いたいのかというと、『国産車』、『輸入車』とステレオタイプに分類しちゃうのではなく、いろいろな国の文化のバックボーンを感じつつ、各メーカーの「色」を味わいながら、最終的には個々のクルマをしっかりと「感じ」て味わうことがクルマ趣味の醍醐味なんだな、と改めて考えさせられた、という話。
毎年2月上旬に開催されるJAIA試乗会。JAIAは「ジャイア」と読むんだけど、日本自動車輸入組合の略称で、つまりは日本で正規販売される「輸入車」インポーターの組合。
ベンツもBMWもプジョーもアルファロメオも、本国メーカーから直接日本に輸入して直営ディーラーや特約販売店で販売される車両は「正規モノ」などと呼ばれ、このインポーターが取り扱った車両なのだ。
このJAIAに加盟するインポーターが合同で開催する試乗会が前述のそれなのだ。なんたって、一気に各メーカーのニューモデルに試乗できるので我々にとってはとってもありがたいイベント。
会場に到着するとマセラティの甲高いエキゾーストが聞こえてきたり、気分が盛り上がる。
いやいや、皆さまの「ベストカー」としては、やっぱりお手頃なお値段で乗って楽しい、日本のクルマとはちょっと違った異国の文化を味わえるクルマを紹介することが使命だと肝に銘じ、しずしずと走るロールスロイスファントム(6540万円)には目もくれず、会場を練り歩く。
■アルテオンとジュリアの輸入車らしい存在感
VWブースで異彩を放っていたのがアルテオン。いわゆる4ドアクーペってやつで、ベンツCLAやBMW4シリーズグランクーペなど、最新欧州のトレンド。
VWのラインアップでは最上級に位置するモデルでボディサイズは4865×1875×1435mmだからパサートよりも一回り大きく、なかなかの存在感。
エンジンは直4、2Lターボで価格は599万円なので、見た目のイメージよりお安い感じ。
さらに駐車エリアを歩くとアルファロメオのジュリアも大いに気になる存在。レクサスISやマークXに近いサイズ感のまっとうな後輪駆動4ドアセダンなんだけど、ガッチリとした骨太感のあるフォルムで力感を感じるスポーツセダン。
「スーパー」と「ヴェローチェ」には直4、2Lターボが搭載されていて価格も500万円台。ま、現実的にはアルテオン同様、なかなか手を出せない価格なんだけど夢は広がる。
残念ながらこの2モデル、大人気で試乗枠を確保できなかったので鈴木直也さんにインプレを聞いてみた。
「アルテオンはクルマとしての出来は凄くいいんだけど、VWの高級モデルって日本では歴代、不遇なんだよね。
599万円出すんだったらベンツやBMWに目がいっちゃうというのが普通の人の感覚。自動車雑誌的にはバリュー・フォア・マネーの高さをススメたいところなんだけどね。
アルファジュリアはクワドリフォリオのV6ターボが超強烈。このエンジンだけでジュリアの存在感を決定づけている。フェラーリよりも官能的といっていいよね。
いっぽう2ℓLーボはまあ普通によくできたエンジン。ただ、BMW3シリーズとは決定的に異なるキャラのアジャイル性を追求した操安性を作りだしているんだけど、これはインパクトがあっていいね。楽しいよ」
いやぁ、この2台はぜひ乗りたかったです。
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