徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回は、ホンダ シティターボを取り上げます。
’82年9月、シティにホンダ初となるターボが搭載されました。わずか690kgの車重に対して最高出力は100ps(グロス)と、ノンターボのスカイラインRSやセリカXX2000GTを凌駕するほどの速さは、徳さんも舌を巻くほどでした。
「ベビーギャング」の名を欲しいままにした、ホンダ シティターボの試乗記を振り返ります。
※この原稿は1982年に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
ベストカー2016年4月26日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です
■とにかく速い
シティターボはあの難コース、鈴鹿サーキットで2分56秒を記録したという。ドライバーは津々見友彦君だったが、ストックのクルマでそこを2分56秒で走れる国産スポーツカーが何台あるだろう? 私はせいぜい2、3台だと思う。それくらい速い。
シティのハンドリングは短いホイールベース、よく煮つめられたサスペンションチューニング、そしてラック&ピニオンスティアリング(ただし、こいつは全体のなかで甘いか)によるものだと思う。
■ハンドリングも乗り心地もいい
新しく与えられたプログレッシブコイルスプリングは、ロールに対してただ単に強く頑張るのではなく、文字通り、プログレッシブ(斬新的)にロールする。
すなわちロールスピードとドライバーの予想が合っているのだ。だから、シティターボはロールこそするのだけれど、怖くないのだ。
さらに驚くべきは乗り心地のよさであり、むしろ望外の喜びといっていい。あのすさまじいばかりに硬いツンツンサスペンションを持つシティRを思えば“ウソみたい”というのが正直なところだ。
シティターボの速さは実用域におけるもので、こと日本国内で走るとしたらこれ以上速く走れるクルマを私は知らない。
このクルマがほかのクルマに抜かれるとしたら、 ①ドライバーの力量の差が大きい ②極めて空いている道、主として高速道路 ③命知らずのアホに遭遇した時くらいのものだろう。
そんなワケでシティターボは大いに速く、かつ楽しめるクルマであり、しかも100万円そこそこと破格に安いのであるから、預金通帳と相談している向きも多いことだろう。そこで、シティターボを安全にかつ速く走らせる方法をお教えしよう。
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