徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回は1982年に行われた三菱スタリオンとポルシェ924ターボの誌上対決を取り上げます。
スタリオンはギャランΛをベースにしたターボGTカー。スター(STAR)とアリオン(ARION=ヘラクレスも乗ったとされる名馬)を組み合わせた名を持つスポーツクーペは、走りも強烈。2Lターボを搭載しての走りはそれまでの三菱のイメージを一新しました。
’82年8月号のポルシェ924との比較試乗記をお届けします。技術力で国産車を引っ張っていた三菱の姿がここにあります。
文:徳大寺有恒
初出:ベストカー2016年6月26日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です
■ウエットとはいえポルシェ924ターボを上回る加速を見せたスタリオンターボ
スタリオンのスタイリングはスポーツクーペだ。Cd値0.35という空力ボディを持ちシャープな面構成としている。ベースとなるギャランΛよりもホイールベースを10mm縮めていてバランスも悪くない。
フロントがややうるさいきらいはあるが、真正面からの断面はなかなかいい。並べてみるとポルシェ924が最もスムーズでムダがない。ムダがなさ過ぎて迫力を欠くということもあるがフェンダーの膨らんだポルシェ944よりはいい。
動力性能はどうだろう? スタリオンの動力性能は、2Lターボとしてはベストに近いものだ。土砂降りのなかで、0~400m加速16.60秒、0~100km/h加速 10.86秒は立派な数字だ。
最近三菱はすっかりターボコントロールを会得したらしく、低速から高速まで淀みなく吹け上がり、ターボのいやらしさを消していることも感心だ。最高速も186.28km/hと、これも充分なスピードだ。
ただし、現状は145psとそれほどターボの恩恵を受けているとはいえず、2L DOHC並みで、もう少しパワーがあってもいい。
この点ポルシェ924はターボは凄い。0~400m加速16.62秒、0~100km/h加速9.39秒であったが、過去のドライ路面でのテストは0~400m加速15.79秒を出しており、最高速も203.67㎞/hを記録している。
ポルシェ924ターボは間違いなく世界一の2Lカーだが、スタリオンもかなりいい線いっていることは確か。ただし、スタリオンの上をいくのがサバンナRX-7だ。
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