■スタリオンの楽しいハンドリング
スタリオンのハンドリングはポルシェのようにスポーツカーらしい緊張感はないが、楽しいものであることは間違いない。この日のようにウエットな状態ではスロットルを踏みすぎても戻してもテールが流れ始める。
ただし、どちらの場合もすべり方が急激なものではなく、コントローラブルなものだった。そのことからスタリオンはオープンロードでは相当に速いゾという感じを受けた。
スタリオンのサスペンションはギャランΛと基本的には同じで、前後ストラットだ。しかし、フロントのジオメトリーはかなり変えられている。
すなわち、キャスター角は5度20分と大きく取り、キャンバーはゼロとしている。これは直進性をよくし、タイヤの性能を有効に生かす(ゼロキャンバー)ためである。
またストラット上部にラバーヘルパーをつけ、大きな荷重の時だけスプリングの補助として作用する。前に21mm、後に16mmとスタビライザーを装着しロールを抑えている。
いっぽうポルシェ924ターボは前ストラット、後セミトレーリングアームである。キャスター角は2度30分とスタリオンとは好対照でスタビライザーは前23mm、後14mmだ。
そしてポルシェ924ターボがスタリオンと決定的に違うのはトランスミッションの配置だ。ポルシェは後部へ持っていき、デファレンシャルと一体となるトランスアクスル式である。
直進安定性となると高速になればなるほどポルシェ924ターボの独壇場だ。まるでタイヤが路面と接触せず、ボディで滑っているかのごとく走るのだ。
このフィールはポルシェ924ターボ独特のものだ。スタリオンも高速域での直進安定性はいいほうだ。国産車のなかではトップレベルといっていいだろう。ただポルシェ924ターボにはまだまだ及ばない。
ポルシェのコーナリングはどうだろう。スタリオンと比べると、ポルシェはもう極めてシビアで、スロットルを戻すと一瞬ノーズが回り込む。
むろん、アンダーも弱くスリッピィな路面ではドライバーは、いつもお尻のセンサーを敏感にしておかなければならない。もちろん、そのコーナリングスピードは相当高い。ただし、ドライバーの腕前しだいであることはいうまでもない。
2台を比較するとスタリオンはポルシェ924ターボの3分の1で買えることが大きな魅力だ。5速で200万円を切る価格は内容と速さを考えると注目に値する。
よりスタビリティの高いEC(英国)仕様サスとLSDのセットをオプション装着すればさらに戦闘力はアップするだろう。しかし、まだまだポルシェ924ターボから学ぶものは多いというべきだろう。
◎スタリオンターボGSR-II 主要諸元
全長:4410mm
全幅:1695mm
全高:1320mm
ホイールベース:2435mm
エンジン:直4SOHCターボ
排気量:1997cc
最高出力:145ps/5500rpm
最大トルク:22.0kgm/3000rpm
車重:1215kg
トランスミッション:5MT
サスペンション:ストラット/ストラット
10モード燃費:11.0km/L
当時の価格:199万5000円
最高速:186.28km/h
0〜400m:16.60秒
0〜100km/h加速:10.86秒
※いずれもウエットでの記録。
◎ポルシェ924ターボ 主要諸元
全長:4185mm
全幅:1685mm
全高:1280mm
ホイールベース:2400mm
エンジン:直4SOHCターボ
排気量:1984cc
最高出力:160ps/5750rpm
最大トルク:21.4kgm/3500rpm
車重:1250kg
トランスミッション:5MT
サスペンション:ストラット/セミトレ
10モード燃費:ー
当時の価格:685万円
最高速:200km/h
0〜400m:16.62秒
0〜100km/h加速:9.39秒
※いずれもウエットでの記録。
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