電気の力で走るSUV e-POWER×プロパイロット
夏の盛り、試乗と撮影という大義名分のもと、話題の日産キックスを近場の自然まで走らせた。オンラインの時代とはいえ、こればっかりは籠もりっきりのデスクワークじゃどうしようもないのだ。気持ちよかったー!
キックスは日産にとって大いなる挑戦となるニューモデル。
ライバルがひしめき、今最も熱いコンパクトSUVカテゴリーに割って入るだけでなく一気に主役に踊り出るため、電動パワートレーンのe-POWER専用モデルとして、また先進運転支援システムのプロパイロットを標準採用して登場した。
どちらも日産の最新にして虎の子のテクノロジーであり、開発陣の鼻息の荒さがわかるというものだ。
文:塩見 智/写真:西尾タクト【PR】
初出:『ベストカー』 2020年10月26日号
■サイズを超えた存在感あるデザイン
キックスはまったく新しい車名を戴いた新型車だが、フロントマスクに新しくなったVモーショングリル(ダブルVモーショングリル)が大きくデザインされているので、ひと目で日産車だとわかる。
止まっていても躍動感があるのは、ピラーがブラックアウトされてルーフが浮いているように見えるフローティングルーフ処理の効果だろうか。
以前より海外市場で広く販売されてきたグローバルカーのキックス。
日本仕様にはフロントグリルに組木細工、リアコンビランプには切子ガラスをモチーフにした専用デザインが散りばめられている。満を持しての〝本国投入〟に際し、大幅に手が加えられたわけだ。
■上質で広いスペースを持つインテリア
分類上コンパクトと書いたものの、乗り込んでびっくり。キックスは広い。
特に後席は足元、頭上ともに空間に余裕がある。ラゲッジルームも天地、左右、奥行きのいずれも充分で、容量423リッターを誇る。単に容量が大きいだけでなく、凹凸が少なくデッドスペースが生まれにくそうなのがよい。
■進化したe-POWER ワンペダル感覚の新鮮さ
日本仕様のキックスは初のe-POWER専用モデルだ。通常のガソリン車にも搭載される1.2リッター3気筒エンジンを発電専用に最適化し、発電した電力を用いて常時モーターで駆動する。
これまでにノートとセレナに採用され、両車をロングセラーたらしめているシリーズハイブリッドシステムだ。
ノートとセレナで体験ずみのe-POWERだが、キックスで味わうそれは、俊足っぷりはそのままに洗練度が増していた。エンジンがかかる頻度が低く、時間も短くなった結果、これまで以上にEVに近いフィーリングとなった。
キックスでは発進からしばらくの間、エンジンはかからず、スーッと静かにスムーズにクルマが進んでいく。
また基本となるエンジン回転数が2400rpmから2000rpmへ下げられたことで、エンジンがかかっている間の静粛性も向上した。これらが相まってEV感が増したのだろう。
エンジニア曰く、過去2車種への採用によって、エンジンをかける頻度と時間をどの程度減らしても大丈夫(電力不足に陥らない)かがわかったのだという。進化するe-POWER、その最新版が採用されたというわけだ。
また、チャージモードとマナーモードが新たに設定され、状況に応じてチャージモードで充電し、マナーモードに切り替えればバッテリー電力だけで静かに走ることも可能だ。
常時モーター駆動ならではのワンペダルドライビングは、一度味わうとクセになる機能だ。
減速の度に必ずアクセルペダルからブレーキペダルに踏み換えるのではなく、アクセルペダルを戻すだけで、その戻し方(戻す速度と量)に応じて減速を得られる(ただしブレーキは確実にすべし)。
新たにオートブレーキホールド機能が備わったことで、ブレーキペダルから足を離しても停車を維持することができるようになった。これが渋滞を伴う長距離、長時間運転時の疲労低減に効くのだ。
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