【バスマガジン】バス好き必見!! 沖縄返還の生きる教材”ナナサンマルバス”が引退へカウントダウン!?

 ベストカーの姉妹誌にはバス専門誌『バスマガジン』がある。内容の濃い専門誌ですが、今回バスマガジン編集部から「肝いり」の「特ダネ」があるとのことでベストカーWebに登場!!

 沖縄まで飛び「ナナサンマル」と呼ばれるバスたちを取材してきたというのだ。ご存知の方も多いだろうが沖縄県は1978年7月30日に右側通行から左側通行に変わった。

 その時に 一気に導入された右ハンドルのバスをその日にちなんでナナサンマル(730)バスと呼ぶ。

 歴史的遺産として動態保存されている2台は、現在日曜(祝日)に定期運行されており、沖縄の交通の歴史を知る生き証人である。

 しかし、いつリタイアの案内が出されるかわからない状態となっているため、その2台を直接乗り継いでみた(ダイヤは取材当時のもの)。 

 運行されるとある日曜の朝。まずは浦添市の屋富祖バス停に降り立った。目の前に米軍基地が広がる以外は特に変わった事のない、いわゆる普通の途中バス停だ。

文/写真:湯
バスマガジンvol.98


■沖縄返還を徴象する一大プロジェクト「ナナサンマル」

 ナナサンマルバスは沖縄県の本土復帰を象徴する生き証人といえる。なぜナナサンマルバスが生まれたのか、歴史的背景を沖縄県の現代史と併せて紹介する。

・1945年3月26日
慶良間諸島に米軍が上陸しニミッツ布告を発する。これにより大日本帝国政府の行政圏を停止し南西諸島は米海軍軍政府の管轄下となる。4月 1 日には沖縄本島上陸。

・1945年8月15日
終戦が全土に発表される。9月2日には日本がポツダム宣言に調印し即時発効。11 月には米海軍政府の指令により自動車はアメリカと同じ右側通行に 変更される。49年には沖縄住民に自治権の一部が認められたが、占領状態に変わりはない。

東陽バスで現在も現役運行中の車両(沖22か・906日野自動車RE101 日野車体1978年式)

・1951年9月8日
日本は48カ国とサンフランシスコ講和条約に署名。翌52年4月28日に発効し、連合国による日本占領は終わったが、沖縄(琉球政府)は新憲法などすべて適用外となり正式に日本から分離。

・1969年11月15日
日米共同声明で 沖縄県を3年以内に返還する事が 正式に決定。

・1972 年 5月 15 日
沖縄が日本に返 還され、47番目の県である「沖縄県」となる。アメリカによる統治 は 27 年にも及んだ。

・1978年7月30日
ジュネーブ交通条約(一国一交通制度)を遵守し、沖縄県全域で一斉に左側通行に戻る。この日付からナナサンマル(730)と呼ばれるようになった。

東陽バスの車内2+1列レイアウトのシートが並ぶ。ツーステップ車のため床はフラットだ

 730は沖縄県の交通=生活の一大事業であった。通行方向が変わるというのは家から一歩外に出た後のすべての部分に関わってくる。そんな大事業が今から41年前に行われたのである。

■いよいよ交通法規が180°変わるXデー

 前日の7月29日22時より緊急自動車を除くすべての自動車の通行が禁止され、道路設備の変更を開始。事前に設置されてカバーせかけられていた標識や、路面の車線や標示などのカバーが外された。

 新標識を覆っていたカバーはそのまま旧標識の覆いに使用された。作業完了後は一度規制が解除され、のちの5時30分に再び規制がかかり、翌朝6時に左車線の走行に切り替わった。

料金箱は新型に改められ、ICカードの使用も可能。730の車体に対しここのみ現代風

 ここで一番の問題となるのがバスである。乗用車は少々の不便はあっても走行自体には大きな問題は無く、今でも左ハンドルの輸入車が販売されている。しかしバスの乗降ドアは片側にしかない。通行方法が変わると乗客が乗れないのだ。

 ところが全車のドアと運転席を付け替える工事は8時間ではできない。当時の沖縄県内には左ハンドルのバスが1295台も在籍しており、右ハンドルの新車を1019台、中古車を3台導入、167台は左ハンドルから右ハンドルへ改造する事で対応した。

 沖縄本島では返還された米軍基地跡地に新車のバスを事前に並べて準備した。しかし事前の実地走行は許可されず、公道以外で僅かに実施されたのみであった。

沖縄バスの730車。2枚折り戸の扉を装備するトップドア車(沖22か1064 三菱ふそうMP117K 新呉羽車体1978年式)

 当時の沖縄では、事業者ごとにメーカーで分けられているのも特徴であった。琉球バス は日産ディーゼルと日野、沖縄バスは三菱ふそう、那覇交通(現在の那覇バス)はいすゞ、東陽バスは日野となっていた。

 この膨大な数の新車と改造の費用はどのようにやりくりしたのかが気になるところだが、沖縄県知事と各バス会社社長による政府への陳情により、77年度と78年度の2カ年に渡る国庫補助金と財政投融資で、約156億円が投入された。

■730バスは現在も元気に実用稼動している

 そんな730バスは現在、那覇バスと東陽バスの2社が1台ずつ特別整備を施し動態保存している。製造から実に42年目である。検査などもあるが、毎週日曜の午前中を基本に定期路線で運行されている。これは車両の機能を維持する目的もある(東陽バスは祝日も運行)。

沖縄バス730車の乗車中に東陽バスの730車とのすれ違い。730ファンには最高のタイミングとなった

  730から40周年を記念するイベントで封鎖された海中道路を、旧車と共に沖縄バスの730バスが乗客を乗せて右側通行した事もあるが、730車は新製回送時などでしか右側通行を経験していないので、別の意味で非常に貴重な機会だったのではないかと思われる。

  歴史の生き証人である730バスから見る沖縄の景色や走りっぷりは体験しておいて損はない。新製当初から冷房も搭載されており、蒸し暑い沖縄の夏でも快適に乗車出来る。

 外から見るだけではなく、ぜひとも乗っていただきたい。一度引退した保存車ではない、現役のモノコックバスの走りがそこにはある。

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