日本自動車販売協会連合会では、毎月、小型/普通車の登録台数を集計して発表している。軽自動車については、全国軽自動車協会連合会が、同じように毎月の届け出台数を公表している。
このデータを見ると、1カ月の登録台数がひと桁のクルマもある。生産を終えた車種の在庫車を登録したような場合は、ひと桁になるのも理解できるが、ウェブサイトに新車として掲載されている車種になると不思議だ。
なぜ売れないのか、またなぜ販売を続けているのか。その理由を探ってみたい。
文:渡辺陽一郎/写真:LEXUS、HONDA、MITSUBISHI、DAIHATSU
【画像ギャラリー】2020年3月の販売が前年比アップしたクルマ~販売台数ベスト50&軽乗用車~
レクサスIS350
2月の登録台数:4台(1月を含めて5台)
レクサスISの登録台数は、エンジン別に発表される。2020年2月のデータを見ると、V型6気筒3.5Lエンジンを搭載するIS350は4台、2LターボのIS300(旧200t)は23台、2.5LハイブリッドのIS300hは60台だ。
全グレードを合計して87台だから、IS全体の売れ行きが下がっているが、IS350は特に少ない。
なぜここまでIS350は低調なのか。レクサスの販売店に尋ねると以下のような返答が得られた。
「ISは2020年から2021年に掛けて、規模の大きなマイナーチェンジを予定している。現行型の発売は2013年だが、フルモデルチェンジは行わず、マイナーチェンジになる。そのために今は売れ行きが下がっている」
「GSは2020年6月に受注を締め切り、8月に生産が終わって廃止される。これらのイベントが予定されるものの、ISの受注は今のところ通常通りに行っている」
「新型コロナウイルスの影響で、納期は3~4カ月と長いが、注文を入れることは可能だ。そしてISでは、ハイブリッドを搭載するIS300hの人気が圧倒的に高い。IS350は価格が高いこともあって販売台数が少ない」
レクサスISの価格は、2LターボのIS300が480万1297円、ハイブリッドのIS300hは525万9630円、3.5LのIS350は573万8334円だ。IS350は唯一V型6気筒エンジンを搭載して、ブレーキサイズの拡大など装備も上級化されるが、それにしてもハイブリッドに比べて47万8704円高い。
しかも高価格車だから、購入時に納める税金も高額だ。IS350の環境性能割と自動車重量税を合計すると14万3100円になる。その点でIS300hはハイブリッドとあって非課税だから、支払い総額の差は約62万円に拡大する。
これではV型6気筒エンジンが好きなユーザー以外、ハイブリッドを選ぶだろう。
ホンダクラリティPHEV
2月の登録台数:6台(1月を含めて9台)
クラリティはもともと燃料電池車として設定されたが、その後にPHEV(プラグインハイブリッド)を加えた。この売れ行きは低調で、2020年2月は6台だった。
売れ行きを低迷させたのは価格の高さだ。本革とプライムスムースを使った上級シート表皮、ホンダインターナビ、8スピーカーのオーディオなどを標準装着するものの、価格は598万9500円に達する。
CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金の22万円を差し引いても576万9500円だ。
同じホンダのアコードは、充電機能を備えないハイブリッドだが、価格は465万円になる。従って単純に比べると、クラリティPHEVは、充電機能による補助金の22万円を差し引いてもアコードに比べて111万9500円高い。
クラリティ自体が少量生産車とあって、価格が割高になった。
また燃料電池車のクラリティフューエルセルは、リース車両ではあるが、価格は783万6400円だ。このモデルに交付されるCEV補助金は210万円と高額だから、交付額を差し引くと573万6400円になる。
つまり補助金額を含んだ支払い額は、クラリティPHEVが576万9500円、クラリティフューエルセルは573万6400円になり、プラグインハイブリッドの価格が燃料電池よりも高くなってしまう。
この差額もクラリティPHEVを割高に思わせる理由だ。ホンダの販売店によると、「クラリティPHEVには、環境技術を特徴としている法人のお客様が高い。一般のお客様は少ない」という。
コメント
コメントの使い方