かつては激しく販売合戦 ライバルが消えカローラだけが残った理由

かつては激しく販売合戦 ライバルが消えカローラだけが残った理由

 海外ではプリウスやアクアより知名度が高く、日本にもファンが多い売れっ子ファミリーカーがトヨタのカローラだ。

 日本ではサニーやファミリアなどのライバルとしのぎを削りながら、長年にわたってベストセラーカーの座を守り通してきた。

 カローラが誕生したのは1966年秋である。宿命のライバルとなる日産のサニーより半年遅れて登場したが、多くの優位性を持っていた。

 その後、マツダファミリア、ホンダシビック、三菱ミラージュといった各メーカーのライバルとしのぎを削ってきたが、ライバルがクラス替え、車名変更、消滅など紆余曲折を経ているのに対し、現在も日本で存在感があるのはカローラだけとなっている。

 ライバルがたどってきた道程を振り返ると、自ずとカローラの強さの要因がわかる。

 本企画では、カローラとかつてのライバルの現状について考察していく。

文:片岡英明/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MAZDA、MITSUBISHI、奥隅圭之

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カローラの最大のライバルだった日産サニーは自滅

初代サニーは1966年4月に2ドアセダンから販売を開始。サニーの車名は一般公募によって決められた
初代サニーは1966年4月に2ドアセダンから販売を開始。サニーの車名は一般公募によって決められた
サニーから遅れること約半年の1966年東京モーターショーで発表された初代カローラ。デビュー時はサニー同様に2ドアセダンのみだった
サニーから遅れること約半年の1966年東京モーターショーで発表された初代カローラ。デビュー時はサニー同様に2ドアセダンのみだった

 前述のとおり、サニーはカローラよりも早くデビューしている。言ってみれば、サニーの対抗馬としてカローラが登場した形となる。

 後発のカローラのアドバンテージのそのひとつが排気量だった。サニーより100cc大きい1100ccとし、トランスミッションもスポーティな4速MTだったから瞬く間にサニーの販売台数を超えた。

 その後もサニーと「CS戦争」と呼ばれる熾烈な販売合戦を繰り広げた。が、圧勝と言える強さを見せ、ベストセラーカーに輝いている。

 歴代のサニーは、カローラよりスポーティな味わいで、運転するのが楽しい。

初代でカローラが「プラス100ccの余裕」というキャッチコピーで挑発したのに対し、日産は2代目サニーでは「隣のクルマが小さく見えます」というキャッチで対抗
初代でカローラが「プラス100ccの余裕」というキャッチコピーで挑発したのに対し、日産は2代目サニーでは「隣のクルマが小さく見えます」というキャッチで対抗

 だが、マーケティング戦略に長け、ユーザーの好みを知り尽くしているトヨタは、カローラをクラス上に見えるように大きく見せたし、インテリアの見栄えもよくしている。

 また、クラスを超えた快適装備も意欲的に採用し、ユーザーを魅了した。

 サニーはカローラに先駆けてFF方式に舵を切ったが、トヨタもすぐに追随している。DOHC戦略やAT戦略でも後れをとったから、昭和の末期からはサニーを大きく引き離し、トップを快走している。

 サニーは安全対策や環境対応にも力を入れ、追いすがった。

最後のサニーとなった9代目は1998~2004年に日本で販売された。ボディタイプは4ドアセダンのみで、歴代サニーで唯一派生車が存在しない。写真はマイチェン後
最後のサニーとなった9代目は1998~2004年に日本で販売された。ボディタイプは4ドアセダンのみで、歴代サニーで唯一派生車が存在しない。写真はマイチェン後

 が、ゴーン体制になってグローバル戦略を取ったから2004年にティーダとティーダラティオに座を譲り、勇退している。9代、37年でクルマ人生に幕を下ろしたのは、日産の経営不振が招いた悲劇だ。

 だが、伝統に縛られ、新しさを出せなかったことも理由のひとつだろう。車名を変えて巻き返しを図ったが、この作戦は失敗し、日本ではコンパクトカーの足場を失った。

2004年にサニーの後継車としてティーダラティオが登場し、2012年にフルモデルチェンジで写真のラティオとなったが、2016年に生産中止
2004年にサニーの後継車としてティーダラティオが登場し、2012年にフルモデルチェンジで写真のラティオとなったが、2016年に生産中止

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