あなたのクルマも最新安全装備が装着可能!! 先進安全技術「後付け」最前線事情

あなたのクルマも最新安全装備が装着可能!! 先進安全技術「後付け」最前線事情

 今やクルマはパソコン並みに細かく進化している。特に先進の安全装備などは、ソフトウェアひとつで性能が大きく変わるケースも多い。

 パソコンやスマートフォンでは、OS、アプリなどを新しくなるとその都度アップデートするのは常識となっているが、クルマではまだ普及はしていない。

 日本の自動車メーカーでは、トヨタは既存の自動ブレーキ装着車のソフトウェアのアップデートによる性能向上が可能になっているが、そのほかのメーカーはどうなのか?

 本稿ではトヨタのソフトウェアのアップデートによる自動ブレーキの性能向上の詳細を紹介し、ソフトウェアのアップデートによる安全装備の性能向上も考察していく。

 同時に自動車メーカーが積極展開している、後付け安全装備の現状を通して、どのメーカーが充実しているのかについて見ていく。

文/永田恵一、写真/TOYOTA、HONDA、SUBARU、VOLVO

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トヨタの自動ブレーキのアップデートサービス

アクアは2015年11月にセーフティセンスCが設定された。それ以降、2018年4月までのモデルはアップグレード対象となる
アクアは2015年11月にセーフティセンスCが設定された。それ以降、2018年4月までのモデルはアップグレード対象となる

 アップデートの対象となるのは、以前トヨタセーフティセンスCと呼ばれていた、自動ブレーキを作動させるための情報収集源というハードウェアにレーザーセンサーと単眼カメラを使う比較的シンプル、低コストなものである。

 以前トヨタセーフティセンスCと呼ばれていた自動ブレーキは、自動ブレーキが作動する対象は車両だけで、歩行者にも対応するものが増えている現在においては性能に不満を感じるのは否めない。

 トヨタセーフティセンスCと呼ばれていた自動ブレーキは現在名称をトヨタセーフティセンスと変え、従来同様にアクア、シエンタ、ノア三兄弟などに装備されているのだが、いつの間にかここ2年ほどで昼間に限るものの、歩行者にも対応するようになっている。 

 これはハードウェアはそのままで、ソフトウェアの変更によるものだ。

2010年に北米で「レクサスGX460は横転の危険がある」ということで買ってはいけないクルマの指定を受けたが、VSCのソフトを書き換えることで対処
2010年に北米で「レクサスGX460は横転の危険がある」ということで買ってはいけないクルマの指定を受けたが、VSCのソフトを書き換えることで対処

 現在のクルマはコンピューターが多数使われているため、購入後のサービスキャンペーンなど(国土交通省へ届け出した上での性能や品質改善のための改良、広い意味でのリコールの1つ)で「ソフトウェアのアップデート」が行われることがある。

 その一例として10年ほど前に、アメリカで販売されるレクサスGX460(日本のランドクルーザープラドのレクサス版)のVSCが、「ある条件下で作動しない」という指摘がアメリカで権威あるコンシュマーレポートというメディアのテストで発表され、レクサスGX460のVSCのソフトウェアがリコールでアップデートされたことがある。

ハードが同じならソフトのみでアップデート可能

 今回のトヨタの既存の自動ブレーキ装着車のソフトウェアのアップデート(パソコンのソフトウェアに更新にも近い)による性能向上も同じ話で、簡単に言えば「ハードウェアが同じなら、ソフトウェアの変更で現在売っているものと同等の性能にする」ということだ。

 具体的には前述したように歩行者には対応しなかったのが、ソフトウェアのアップデートにより昼間に限るものの、歩行者にも対応するようになる。

2020年9月10日のアクア、ヴィッツを皮切りに合計11車種がアップグレード対象として予定されている
2020年9月10日のアクア、ヴィッツを皮切りに合計11車種がアップグレード対象として予定されている

 対象となるのは歩行者には対応していないトヨタセーフティセンスCを装着するアクア、ヴィッツ、10月中にアップデートされたソフトウェアが発売されるノア三兄弟、シエンタ、11月にアップデートされたソフトウェアが発売されるポルテ&スペイド、プロボックス&サクシード、ジャパンタクシーだ。

 アップデートにはディーラーでの作業が必要で、費用はアップデートされたソフトウェア代4180円+取り付け工賃だ。

 アップデートされたソフトウェアを持つ旧トヨタセーフティセンスC装着車の歩行者に対応する性能は未知数かもしれない。しかし、昼間に限るとしても歩行者との事故の確率が減少するのは間違いない。

 何よりも前向きな活動であり、それが非常に安い価格で行えることが嬉しい。こんなことも最近元気なトヨタを象徴する動きのようにも感じる。

車両のみの認識から、昼間の歩行者の検知が加わったことにより安全性能は格段にアップし、それに伴い安心感も増す
車両のみの認識から、昼間の歩行者の検知が加わったことにより安全性能は格段にアップし、それに伴い安心感も増す

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