見た目どおりの高性能なスポーツカー、その逆に見た目は凄いけど実際に走らせてみるとショボかったクルマなどがあるいっぽう、昔からクルマ界では、見た目は普通なのに高性能が与えられたクルマに対して、『羊の皮をかぶった狼』とクルマ好きを熱くしてきた。
スポーツカー受難の現在では、見た目は普通なのに高性能というクルマは多く存在する。ミニバンなのにハンドリングがいい、SUVなのに走りが気持ちいいといったものもある。
本企画では、走りに関してスポーツカー顔負けの性能や資質を持った現行国産車を3台、輸入車を1台松田秀士氏が選び、その魅力について考察していく。
文/松田秀士、写真:HONDA、MAZDA、SUBARU、VW、池之平昌信
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ホンダインサイト
価格:335万5000~372万9000円
インサイトはホンダのハイブリッドセダンで、スポーティなエクステリアデザインが与えられているものの、燃費志向の実用セダンというイメージがあるかもしれないが、走らせるとかなりの実力派なのだ。
まずはパワートレインから。
インサイトは実用域をモーターで走るe:HEVが搭載されているが、モーターのスムーズに回る気持ちよさがある。
100%電気自動車の日産リーフのような加速感はないものの、起動トルクが大きく、ストップ&ゴーが続く街中でも気持ちのいい発進加速によってキビキビと走ることができる。
日本も一部の高速道路は最高速度が120km/hになっていて、今後120km/h時代到来となる可能性が高いなか、インサイトは100km/hを超えても加速が伸びるのが気持ちいい。
日産のe-POWERが高速域で燃費が悪化するのに対し、e:HEVは100km/h以上ではエンジンが駆動用にも使われるので高効率。この高速域での効率、気持ちよさが余裕につながり、安全性の向上にも貢献している。
インサイトはe:HEVによる加速感がスポーティで気持ちがいいが、ハンドリングのよさもスポーツカー的と言っていい。
最近のホンダは足回りについて、サスペンションを動かすセッティングを施す方向になってきていて、インサイトのハンドリングもスポーツカーを凌駕するレベル。
ワインディングを走る場合でも、深くロールせずコーナーをうまくトレースし、セダンながら車高も高くないので非常にスタビリティが高い。
インサイトはドライビングポジションもスポーツカー的でその気にさせてくれるのもいい。
販売台数はそれほど多くないこともあり、街中でも目にする機会は少ないかもしれない。ただ、インサイトはエコ環境時代にスポーツできるセダンとして隠れた存在と言えるだろう。
マツダCX-5
価格:342万1000~365万2000円(2.5Lターボ)
今回取り上げるマツダCX-5はミドルクラスSUVなのだが、3列シートモデルのCX-8が登場した今では、全長4545×全幅1840×全高1690mmのボディは、全幅はあるが全長が短いので運転していて非常にコンパクトに感じる。
CX-5には2L、2.5L、2.2Lクリーンディーゼルに加え、2.5Lターボが追加され、合計4種類のエンジンをラインナップ。今のご時世、1車種に4種類のエンジンというのは非常に珍しい。
その中でスポーツカー的と言えば、2.5Lターボにとどめを刺す。
マツダのエンジンは昔からパンチがありながら高回転での気持ちよさも好演出している。
エンジンそのものだけでなく補機類やトランスミッションで工夫しているのが特徴だが、CX-5に搭載されている2.5Lターボは、エンジン単体で真っ向勝負している。
2.2Lのクリーンディーゼルは低速からのビッグトルクにより実用域での優れた加速性能を実現。有り余る余裕のトルクが魅力だが、高速でグイグイ加速するというタイプではない。
それに対し2.5Lターボ搭載モデルは、踏んだら踏んだだけ加速する気持ちのいいフィーリングが魅力。その加速感は暴力的でもあるから凄い。
この2.5LターボはCX-8にも搭載されているが、車重が増えることもあって、CX-5ほどの気持ちよさはない。
現在のターボエンジンはどれもがジェントルでおとなしいフィーリングになっているのとは対照的。こんな尖ったフィーリングのエンジンは今後出てこず最後になるのではないだろうか。そういった意味で貴重種だ。
このエンジンはかなり面白いです。
そして、元気なエンジンが堪能できるサスペンションセッティングが施されていて、ハンドリングもしっかりしている。
スポーツカーのように気ままに突っ走っていく気持ちよさがあると同時に、SUVということでアイポイントが高いため、見下ろして運転する快感もある。
2.5Lターボを搭載したCX-5は相当オモシロい。
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