何がどう変わるのか!? これで決着 社外アルミホイールの実力と効果

何がどう変わるのか!? これで決着 社外アルミホイールの実力と効果

昔に比べると純正ホイールから社外のアルミホイールに交換することは減っているとはいえ、社外のアルミホイールを装着すると、見映えはいいし、カッコよくなりますよね。

また軽量アルミホイールに代えると、1本あたり2kg軽量化された社外アルミホイールを装着するとしても4本で8kg、その費用は十数万円〜。はたして1.5トンのクルマが、純正より8kg軽い社外アルミホイールに代えたことによって、何がどう変わるのか?

そこで、現在の社外アルミホイールはどれほどの実力があるのか? 最新アルミホイール事情をモータージャーナリストの高根英幸氏が解説します。

文/高根英幸
写真/ベストカーWeb編集部、エンケイ、BBSジャパン、横浜ゴム


■純正アルミホイールも進化してきた

WRX S4 STIスポーツに装着されているダークグレーメタリック塗装の8.5J×18インチの純正アルミホール

愛車のカスタマイズの第一歩として、定番中の定番といえるのがホイール交換だ。純正ホイールをスタッドレスタイヤ用にして、夏タイヤをアフターパーツのアルミホイールと組み合せて履かせるオーナーは多い。

特に純正ホイールがスチールホイール+ホイールキャップの仕様であれば、スタイリッシュなアルミホイールに交換するだけでクルマが見違えてみえるものだ。

アルミホイールは、アルミ合金という軽くて加工性のよい金属を使うことで、スチールホイールより軽量でデザイン性が高いものを作り上げることができる。

社外アルミホイールへの交換というカスタムは、もう半世紀以上の歴史をもつ、自動車趣味の王道中の王道なのである。

ホイールを換えるだけでバネ下重量の軽減になるため、ハンドリングや乗り心地、さらには加速フィールや燃費の向上も期待できる、ドレスアップにもチューニングにも効果があるアイテムなのだ。

だから「純正のアルミホイールは、重たくてデザインも野暮ったい」そんなイメージを持っている人も多いだろうが、そうとは言い切れないスタイリッシュな純正アルミホイールも最近は増えてきた。

それに、意外と知られていないが純正のホイールはタイヤも含めて、乗り心地やハンドリング、燃費などの調整のために活用されている。

純正アルミホイールが重いのは、JWLやVIAといったホイールの安全基準以上に高い強度を確保するよう、社内基準が厳格に定められているからだ。

そして強度や剛性が高いホイールは、そのクルマの乗り味にも影響を与えている。だから新車を開発する過程で乗り心地やハンドリングを仕上げるために、アルミホイールの剛性にまでこだわってデザインや構造をチョイスするマニアックなチーフエンジニアもいるほどだ。

スポーツグレードではホイールのインチアップに伴ってサスペンションのチューニングだけでなくハブベアリングのサイズアップで剛性のバランスを図っている車種もある。純正のアルミホイールにも、開発するスタッフのこだわりが込められているのである。

■社外ホイールのデザイン性、クオリティ向上はそれ以上?

●YOKOHAMA WHEELのデザイン性

2018年8月10日に発売されたADVAN Racing TC-4。 スポークサイドカットは、コンピュータ解析によりスポークの股の部分と先端部分にのみ施し、強度と軽量化のバランスを最適化するとともにデザイン性も十分考慮されている。 サイズは18インチのみで7Jから11Jまでの設定。リム幅とインセットによって、スタンダードデザイン、GTRデザイン、スーパーGTRデザインの3種類のフェイスを設定している

それでも、アフターマーケットのアルミホイールに交換するメリットも見逃せない。ホイールだけでユーザーに訴求できる商品力を備えているのは、それだけホイールという商品に全力を注いで開発しているからだ。

かつてはアルミホイールのブランドも無数に存在したけれど、ドレスアップのブームが一段落した現在では、スタッドレス用の格安アルミホイール以外は、やはり実力のあるブランド、メーカーしか生き残っていない。

例えば横浜ゴムのオリジナルホイールブランド「YOKOHAMA WHEEL」は、元レーシングドライバーの萩原 修氏が、とにかくホイールの美しさにこだわりまくって作り上げたホイールが揃う。

デザインのためならコストアップとなる新しい工作技術も惜しげもなく投入するほど、センスの高いアイデアを具現化し続け、ホイールのデザイントレンドを常に生み出してきたブランドだ。

しかも一貫して、走りの躍動感を感じさせるダイナミックなデザインのDNAが受け継がれており、クルマに履かせると俄然、精悍な印象になる。スポーツホイールとしての能力も十分に高く、サーキット走行を楽しむユーザーからも支持が厚い。

スタイリッシュなホイールを履かせると、クルマのスタイリングがランクアップしたような印象になるが、高級車に履かせるとなると、その高級感をさらに引き立てられるだけの質感が要求される。そうしたホイールは、やはりこだわりのブランドから作り出されるものだ。

■鍛造ナンバー1ブランドのBBS

アルミホイールの製造法は鋳造と鍛造がある。鍛造は日本刀も同様だが金属を熱し、圧力をかけて鍛えながら成型していく。一般的な金属の製造法である鋳型に熱したアルミを溶かし冷却した後、型から外す鋳造と比べると鍛造は大量生産に向かない。BBSアルミホイールの場合、最大9000トンのプレス機を持ち、ビレットと呼ばれるアルミ素材を約450°前後に加熱し、1平方cmあたり4トン以上の圧力を金型に押しつけ成型を行う。空気の孔ができず、高い強度が得られるというメリットがある

BBSは、昔も今も鍛造製法により強靭で高精度なホイールを作り続けるブランドとしてホイール業界に君臨している。そもそもBBSはドイツのブランドだが、鍛造ホイールは日本の富山県にあるBBSジャパンが手がけており、今やBBSジャパンが本家になってしまった。それだけ、日本のモノづくりのレベルの高さが高いという証明でもある。

鍛造製法によるホイールが珍しくなくなった今でも、BBSは世界屈指の鍛造技術と、それを活かす周辺技術のノウハウで孤高のブランドとなっている。

ところで鍛造ホイールが高性能なのはご存知だろうが、どうして鍛造は強靭になるかは意外と知られていないようだ。鍛造は、鋳造と並んで日本古来の技術だ。

金属は熱したり、外部から力を加えられることで変形するだけでなく、内部の組織が変化する。日本刀が鍛造によって粘り強く強靭な特性を得ることと、全く同じなのである。

溶融したアルミ合金をそのまま凝固させると、粒子の大きさにバラつきが生じ、大きな粒子は脆く強度や剛性が低下しやすい。

鋳造が強度が低く、その分肉厚にするために重くなりがちなのは、このためだ。BBSの鍛造は製造時に9000トンのプレス機を使用して高い圧力を掛ける。これにより、大きな粒子は変形と同時に小さな粒子に分裂するのだ。粒子間の結合が強くなり、粘り強い特性に仕上がるのである。

鍛造を行うにはだいたい450℃前後という高温に加熱する必要があり、微妙な調整は熟練した職人の手による

円筒形のビレットを金型にプレスし、ホイールの形を作る

ちなみにBBSなどが供給しているF1マシンが履いている鍛造ホイールは、ビレット(塊)の状態で分厚いバケツ状に鍛造し、そこから削り出して成形しているのに対し、市販車用の鍛造ホイールはアルミの板を金型に押し付けて潰すことで成形する金型鍛造を採用している。

これにより金型の造形に沿って組織が並ぶ鍛流線と呼ばれる繊維状にアルミ合金が鍛えられ、強靭なホイールへと仕上がるのだ。

レーシングカーのホイールは少量生産なので金型を作っても採算が取れないが、市販車用ホイールは高価な鍛造用の金型を製作することで、高い安全性を確保しながら効率良く高性能なホイールを作り出しているのだ。

また、マグネシウム合金や加工の難しい超々ジュラルミンを素材とした鍛造ホイールを作り出し、ラグジュアリー化が進む一方の高級セダン、4ドアクーペやスーパースポーツの足元に相応しいホイールを作り出しているのもBBSの特徴だ。

焼き入れの後に酸で洗い、工作機械で切削されたホイールは職人の手で寸法、重量、バランスなどをチェック。上の工程はホイールを美しく見せるダイアモンドカットが行われ、職人による仕上げ塗装となる

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