今、大注目の蓄電装置、キャパシタを大研究せよ!!
Research 3 キャパシタを使う理由って?
キャパシタ採用の理由として瞬時にエネルギーを充放電できるという点は前ページで紹介したとおりだが、注目されているキャパシタ採用による燃費への影響はどれほどなのだろうか?
マツダの高橋主幹によるとキャパシタ採用による燃費の変化は「走り方やその時の電気部品の使用、車両の重量等により変化し一概には言えませんが、一般的に弊社テストコースではi─stopと合わせて10%程度燃費が変わるというデータがでています」とのこと。
いっぽう従来のクルマはエンジンを回してオルタネータで発電するため特に夏の夜エアコン、ライトを使用し、さらに車内でオーディオをかけるようなシーンではパワーや加速にも影響があるハズ。
こうしたケースでは「約40Aの消費電流があると思われます。この状況では燃料を約10%消費して電気を発電しているのでパワーや加速には当然影響します」(高橋主幹)
とは言うものの「エアコンのコンプレッサーが動作しているかどうか含め、さまざまな変化点があり具体的にデータで提出できるものはありませんし、通常の運転では差がわかるほどのものではありません」とのこと。
普通に運転していて実感できるか微妙な差とはいえ、たしかにキャパシタの採用でパワーや加速などドライバビリティ悪化を抑えているのは間違いない。
また環境への負荷の低さもキャパシタの特徴のひとつ。実はアテンザに採用されるキャパシタにはヤシの実の内果皮から作る活性炭を使用していて重金属、貴金属を使用していないためリチウムイオンバッテリーや鉛バッテリーより環境負荷が低い。
さらには寿命の長さもキャパシタの強み。キャパシタは100万回以上のサイクル数を誇り、最近ハイブリッド車で主流となっているリチウムイオンバッテリーと比較しても300倍以上の長寿命だ。
このように減速時のエネルギー回生システムにキャパシタを使うことはさまざまなメリットがあるが、現在の採用車種はマツダアテンザ、中国仕様のCX─5の2・5ℓガソリン車。
そしてホンダフィット(1・3ℓのFF、CVT車)のみ。フィットに搭載されるキャパシタのトピックはエンジン始動時、セルモーターを駆動する電力も100%キャパシタから供給する。これは世界初の技術で、アテンザにもない機能だ。
Research4 キャパシタを製作する日本ケミコンを直撃!!
アテンザに搭載する車載用キャパシタを製作しているのは、日本ケミコンという電子部品会社。そこで車載用キャパシタの現状と今後はどうなのか? 同社の広報部に話を聞いた。
「今年のキャパシタの売上高は40億円を見込んでいます。これは一昨年比で10倍ですが、この売上増加分はほぼ自動車向け製品によるものです。また、新たな契約に向けてプレゼンも行なっています」とのこと。
ちなみに同社が出したプレスリリースには「今年9月に発売された新型車向けにも供給を開始」と書かれている。これってフィットのことじゃないすか!? 日本ケミコン広報部は「車名は公表しない約束になっておりますので……。」と言うが、時期から考えても日本ケミコン製であることは間違いない。
次期型アクセラへの搭載など注目度が高いキャパシタは今後も搭載車種を増やしていきそう。その行方から目が離せない!!
(終)
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