MIRAI国沢号が新城ラリーに挑戦! FCVの未来を田中義和チーフエンジニアと語る

MIRAI国沢号が新城ラリーに挑戦! FCVの未来を田中義和チーフエンジニアと語る

 2015年のWRCドイツに出走するなど、競技によって鍛えあげてきたMIRAI国沢号が、国内における最大級のラリーイベント「新城ラリー2019」に出場。

 その会場でMIRAIのチーフエンジニアであるトヨタの田中義和氏とFCVの未来についても語り合った。

 以下、その熱いレポートをお届けしたい。

文:国沢光宏 写真:西尾タクト


■国沢MIRAI号が新城ラリー 中部・近畿選手権でクラス優勝

 2015年に全日本ラリーの新城戦に出場し、クラス2位という、燃料電池車じゃFIA公認競技初のリザルトを残したMIRAIながら、率直に書けば上位陣のリタイアなど運に恵まれた結果だったと思う。足回りが煮詰まっていなかったし、タイヤもレギュレーションを満たすのは『ブルーアースA』というECOタイヤ。そもそも初日など最後は水素切れのためゴールに辿り着けない可能性もあった。

 フルアタックには遠い状況、ということです。

高温に悩まされながらも見事クラス優勝を飾った国沢MIRAI号
高温に悩まされながらも見事クラス優勝を飾った国沢MIRAI号

 それから3年。昨シーズンは全開のスペシャルステージ距離が短いGAZOOのラリーチャレンジに出てクルマ作りをしてきた。

 驚くほどハンドリングが向上しています。

 加えてスポーツタイヤの『アドバンA105』という新製品も出てきため、ポテンシャルとしちゃ大幅に上がった感じ。それなら、ってんで久々に全日本で走ってみようということになった次第。

 残念ながら途中で水素の充填が出来ない、ということで、2日間の日程で行われる全日本は断念。

 同じコースを使って日曜日の1日で行われる地方戦にデータ比較のため出場することにした。

 ということで迎えたSS1は新城公園内のコース。スタート直後に直角コーナーあり、直線は比較的短いため、車重1850kgで155馬力というハイエース並のパワーウエイトレシオしかないMIRAIの不利さが出にくい。

■新城名物『雁峰(がんぽう)』にアタック!

 結果はなんと! 驚いたことに出走26台中、総合で8位!

 前はWRXとランエボ、インテグラといったモデルばかり。

 加えてMIRAI以外は筑波サーキットなら1ラップで2秒くらい速い、いわゆる「Sタイヤ」である。「これは相当イケるんじゃないか?」というスケベ心を出して新城ラリーの名物ステージであるSS2の『雁峰(がんぽう)』をアタック開始!

 するとどうよ! 6km走ったところで高温警告灯。

 サスペンションの改良とタイヤのグリップ向上でコーナリング速度上がった結果、アクセル全開率も高まり、燃料電池のスタックが冷却不足になり大幅は出力制限掛かってしまいました~!

 サーキット走行で冷却不足になることはわかっていたのだけれど、ラリーならイケると思っていたのに! 

 これだから実戦は大切だし、いろんな検証が出来る。それでも無事完走し、クラス優勝。JAF公認の楯ももらい、今回も素晴らしい勉強になりました!

国沢MIRAI号の挑戦には有志のみんなが手弁当で駆けつける
国沢MIRAI号の挑戦には有志のみんなが手弁当で駆けつける

MIRAIのチーフエンジニア田中義和氏とFCVの未来を考える

 MIRAIのチーフエンジニア田中義和氏は、時間があれば国沢MIRAIの応援に駆けつけてくれる。

 ここにきて再生可能エネルギーから水素を作りエネルギーとして活用する取り組みが加速している。FCVの未来はどうなるのか? 語り合った(司会はベストカー編集部の本郷)

FCVの未来を語るMIRAIのチーフエンジニア田中義和氏(右)と発売以来MIRAIで競技に出場し続けてきた国沢光宏氏(左)
FCVの未来を語るMIRAIのチーフエンジニア田中義和氏(右)と発売以来MIRAIで競技に出場し続けてきた国沢光宏氏(左)

ベストカー MIRAIが発売して丸4年が経過しましたが、チーフエンジニアとして振り返っていただけますか?

田中義和氏(以下敬称略) 水素に起因する事故は1件も報告されていないことにホッとしています。とにかく初めてのクルマなので販売することで、テストではわからない、さまざまなデータを蓄積することで、今後の開発に生かせることが大きいですね。その一方で、発売当初タイムリーにお客様に商品をお届けできなかったことで、大きなうねりを生むことができなかったことを反省しています。

ベストカー 国沢さんは人類の中で一番激しくMIRAIに乗ってこられましたが、4年間の印象はどうでしょう?

国沢光宏氏(以下敬称略) EVレースやラリーなど競技に出場してわかったことは全開走行を繰り返すと熱の問題が出てパワーダウンしてしまうこと。エンジンモデルは排気ガスとして熱を逃がせるけど、MIRAIはそれができないから、競技車としてはハンデがある。逆にそれでも全開にした時の速さといったら強烈なのでポテンシャルの高さには毎回驚いている。

次ページは : 福島で水素を「地産地消」する動き

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