【新手の車両盗難手口 リレーアタック】犯行の実態と愛車を魔の手から守る秘策とは?

【新手の車両盗難手口 リレーアタック】犯行の実態と愛車を魔の手から守る秘策とは?

 新手の車両盗難手口である「リレーアタック」。2018年末頃からいよいよ、その猛威が本格化しつつあるようだ。

 そこでこのリレーアタック、犯人はどのようにしてクルマを盗むのか? それに対して、自動車メーカー側の対策はされていないのか?

 そして、一番知りたい愛車を盗まれないための「リレーアタックの防止策」を大公開‼

文/ベストカー編集部、ベストカーWEB編集部、国沢光宏
写真/ベストカー編集部
イラスト/大川清介
初出/ベストカー2019年4月10日号


■どのようにして愛車が盗まれたのか?

恐るべき新手の自動車盗難の手口、リレーアタックとは?
恐るべき新手の自動車盗難の手口、リレーアタックとは?

 本題に入る前にまずは自動車盗難をめぐる現状について知っておきたい。
 警察庁が今年2月に発表した自動車盗難認知件数によれば昨年はデータが残されている1959年以来、59年ぶりに1万件を下回り、8628件にとどまったのだという。

 認知件数のピークだった16年前の2003年に記録した6万4223件から約8分の1にまで減ったのだが、これはイモビライザーなど盗難防止装置が標準で装備されるなど市販車での対策が進んだことが背景にありそうだ。

自動車盗難認知件数の推移。出典/警察庁
自動車盗難認知件数の推移。出典/警察庁

 だが、そのいっぽうで普及が進んできていたスマートキーが最近、窃盗団のターゲットになっている。それが「リレーアタック」という手口だ。

 このスマートキー、自分で持っていたり、車内に置いておいたりすることでエンジンスタートやドアの施錠と解錠、トランクのロック解除などが可能な利便性を備えるうえ、自動車盗難にも威力を発揮するということで各メーカーでの採用車種が続々と増えてきていた。

 2017年に生産された国内生産車のうち約570万台がスマートキーを採用していたという。

 警察庁が発表したように、確かに自動車盗難件数そのものは減ってきているのだが、今度はその立役者ともなっていたスマートキーが窃盗団から狙われているというのも皮肉なもの。

  いっぽう、日本損害保険協会が2019年3月20日に発表した「第20回自動車盗難事故実態調査結果」によると、車両本体盗難の車名別盗難状況ではレクサスが各モデル合計ながら前年同期実績比2.6倍の66件に増加し、調査開始以来、初めてワースト1位となっている。

 2017年調査まで4年連続ワースト1位だったトヨタプリウスは41件でワースト2位。ワースト3位が前年ワースト2位のトヨタランドクルーザー、ワースト4位が前年ワースト3位だったトヨタハイエースが入っている。

 車両本体盗難の発生場所は「自宅(屋外)」が前年から8.8ポイントアップして48.4%だった。「契約駐車場(屋外)」も含めると、車両本体盗難の77.6%が屋外で発生していることがわかる。

盗難発生場所は自宅の屋外が48.4%と最も多く、次いで契約駐車場屋外が28.6%と屋外駐車場が狙われやすいことがわかる
盗難発生場所は自宅の屋外が48.4%と最も多く、次いで契約駐車場屋外が28.6%と屋外駐車場が狙われやすいことがわかる
盗難多発している都道府県は2018年11月の支払件数のデータでは1位大阪、2位茨城、3位愛知県、4位埼玉県、5位千葉県<br>
盗難多発している都道府県は2018年11月の支払件数のデータでは1位大阪、2位茨城、3位愛知県、4位埼玉県、5位千葉県

■リレーアタックとはどのような手口なのか?

イラスト/大川清介
イラスト/大川清介

 ここから本題に入るのだが、そもそもリレーアタックとはどのような仕組みの手口なのか。スマートキーはクルマのボディに向け、キーが微弱な電波(LF:長波)を発信し、クルマ側はRF(高周波)と呼ばれる電波をスマートキーに発信することでIDを照合する。

 このシステムを採用することで、車内電波が車外に漏れ、車内のスマートキーが車外にあるとの誤認を防ぐようになっている。

 この電波の及ぶ範囲はおおむね100〜130㎝前後であり、スマートキーとクルマが各々の電波を受信し、電子的な暗号が合うことでドアロックが解除される。こういったシステムの高度性ゆえに、スマートキーは盗難防止策としての有効性が評価されてきたワケだ。

 リレーアタックでは窃盗団の犯行グループのひとりがクルマから離れたドライバーに近づき、特殊な中継装置でドライバーが持つスマートキーの電波を受信。その装置によって増幅された電波を犯人グループのもうひとりに送信し、電波をリレーしながら標的のクルマに近づいていく。

 クルマは車体の近くにスマートキーがあると誤認してしまうのだが、そうなるとドアロックは解除されてエンジンが始動してしまい、クルマは持ち去られてしまう。

 ドライバーがキーを持った状態じゃなく、家にいる場合でも油断はできない。戸建ての家で玄関近くにスマートキーを置いていて、車庫が玄関の前といったケースではリレーアタックの標的になってしまう。

 その後、盗難車は一度エンジンを切ると走行できなくなるはず。だが、一度発進したあとに正規のスマートキー以外でエンジンがかからないことについても、すでに犯行グループ側は対策ずみで、それが無効になるように一度入手した電波を何度でも利用できるようにしているのだとか。

 また、動かなくなったとしてもパーツごとにバラして海外に輸出してしまうケースも多いらしい。

次ページは : ■リレーアタックの犯行グループは2~3人であることが多い!

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