クルマのナンバーを読み取る駐車場ビジネスっていいの?

クルマのナンバーを読み取る駐車場ビジネスっていいの?

 クルマ生活を送っていると、ふと不思議に思うことがある。
 今回は、クルマのナンバー認識&照会についてお届けしたい。


 大型スーパーに行くと、事前精算機で精算すると、駐車場の出口でバーがあがり、便利だなぁと感じた人も多いはず。こうした駐車場がどうなっているかというと、まずクルマが入庫すると駐車券の発券と同時にゲートが開きナンバープレートを撮影。

 管理センターではナンバー情報、車両の登録が管理サーバーに入力され、事前精算機にデータが送信される。ユーザーが事前精算し、出庫すると自動的にゲートが開く仕組み。

 最近急増中のロック板のない駐車場もナンバー認識カメラと埋設されている車両センサーが精算機とつながっており、インターネット回線で管理センターにもつながっている。気になるのはナンバープレートを隠したり、カメラを隠して入庫した場合。なんてことはない。

 すぐに異常信号が出て、警備員が駆け付けるという。アイテックによればうっかりミスを含めた不正出庫はロック板ありの1%に比べ、ロック板なしは0.5%と、やはりカメラが抑止力になっているようだ。

こちらはお馴染みのロック板付きのコインパーキング。
こちらはお馴染みのロック板付きのコインパーキング。
ロック板なしのコインパーキング。ナンバーを認識するカメラが設置されている。
ロック板なしのコインパーキング。ナンバーを認識するカメラが設置されている。

クルマのナンバーからこんなことも

 ここまでは、大半の人は想像がつくはず。しかし、実際はもっとすごいことが行われているのだった。そう、利用客の来場実態の把握である。来場時間、出庫時間、車籍地(品川、練馬など)をもとにした商圏実態の把握はもちろん、過去の入庫履歴の検索やVIPが来店した際にいち早く知らせるなど、さまざまな情報を収集している。

大型ディーラーではユーザー情報の把握に利用が進んでいる。
大型ディーラーではユーザー情報の把握に利用が進んでいる。

 こうしたナンバー認識システムは駐車場だけでなく、大型ディーラーでも採用されている。店舗の入り口付近に設置されたカメラが来店したユーザーの車両ナンバーを読み取ると、顧客管理システムに照会し、専用モニターにユーザー情報を表示。これにより店内の社員がユーザーの来店歴や車検、点検予約などの情報を即座に把握できる。

 大型ディーラーでは休日となれば、営業マンがすでにたくさんのユーザーの対応をしており、気付かれないことも多い。このシステムを導入していれば、いち早く誰が来たか情報がわかるだけでなく、営業マンが素早く対応できるメリットがある。

 さらに踏み込んでいくと、ナンバー認識の商用利用を目的としたビジネスが始まっていることがわかった。駐車場コンサルタントの駐車場綜合研究所が今年4月から発売した「PMOパーキング・アナライザー」は、ナンバープレートを瞬時に認識し記録する車番認識エンジンを搭載し、クルマの入退場を監視するカメラシステムと、車両の入出庫時間、在庫時間、台数、地域別台数などリアルタイムで把握し、帳票出力することも可能な分析の役割を持つクラウドシステムが融合したもの。

 さらに読み取ったナンバーのリストを駐車場綜研が自動車検査登録情報協会(自検協)と全国軽自動車協会連合(全軽自協)に送信すると、車検証に記載された車種とメーカー、町名や大字までの住所が返信される。丁目や番地、氏名は除かれており、個人情報にはあたらないという。このデータを地図やグラフに加工、パーキングアナライザーを導入した企業に提供するという。

そもそもナンバーから住所氏名は調べられる?

 ここまで活用されていたのかと末恐ろしくなってきた。ここで気になるのは、そもそもクルマのナンバーから、所有者の住所氏名が調べられるのかということ。

 ナンバーから自動車登録情報を調べることは、’07年11月19日の道路運送車両法改正で「自動車登録事項等証明書」の交付条件が厳しくなり、ナンバーに加えボンネットを開けないとわからない車体番号が必要になった。「登録内容の確認」といった理由でも受理されていた請求目的も「何のために必要なのか」をより詳しく書くことが求められ、職員が不当な目的と判断した場合は交付を断られる。

 請求者の身元確認も強化する。私有地にクルマを違法放置されている場合にかぎり例外的にナンバー記入だけで請求できるが、その場合でも現場の写真や見取り図など証拠を示さなければならない。

 しかし、これはあくまでも個人が調べた場合。犯罪目的での住所調査など悪用を防ぐためだが一方で、個人の行動に関する情報を活用したい企業は、駐車場綜合研究所のように、’08年から国交省の審査を通れば(1~2カ月)、自検協と全軽自協を通じて、情報が有料提供されている。

 自検協によれば初期登録が864円、1台につき、国と自検協の合算利用料が所有者など情報ありが11.736円、所有者情報なしが8.406円。たったこれだけで車検証に記載されている個人情報が手に入ってしまうのである。

 となると、自動車登録情報は、個人情報保護法が適用されないのか?そう、まさかの適用外である。自動車登録情報は、所有者の住所、氏名に加えて借金の担保に入っているかが記してあり誰でも見られるようになっている「不動産登記簿」と同じ公証制度。

 クルマも借金の担保にすることが法的に認められており、いわば自動車登録はクルマの登記簿でもある。こうした理由で、国土交通省が個人情報の適応外としているのだ。

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