今年注目の新ジャンルバイク「トライク」ってなんだ!?

今年注目の新ジャンルバイク「トライク」ってなんだ!?

 最近何かと注目されているのが〝トライク〟と呼ばれるバイクなどをベースに改造された3輪車。ネットなどで話題になった千葉県のバットマンこと〝千葉ットマン〟が乗っているのもトライクの一種だ。

 そして、今年はアメリカを代表するバイクメーカー〝ハーレーダビッドソン〟が自ら開発したトライクを日本で発売。ますます注目度アップ中の3輪車〝トライク〟の基本のキから最新事情まで迫ります!

 文:西村直人/写真:ベストカー編集部


どんな種類があるの?

 タイヤが3輪ある乗り物のうち、モーターサイクル(バイク)の構造(例:跨がる方式のシート、バーハンドル、ドアがないなど)を踏襲したものを「トライク」という。外観的な特徴は前1輪、後2輪の車体構成で、真上から見るとタイヤが三角形の位置関係で構成されている3ホイーラーであることだ。そうなると「サイドカーだって3輪でしょ」となるが、直進時のタイヤ軌跡が3本となることが「サイドカー」との決定的な違い。

 ならば「宅配ピザ屋の3輪バイクはトライク?」と解釈されてしまいそうだが、じつはこれも違う。「トライク」のもうひとつの特徴は、コーナリング時に車体やタイヤを傾ける(バンクさせる)ことなく走ることにある。この点、宅配用3輪バイク(49㏄)は、コーナリング時に車体を傾けて走り、後輪のトレッドが460㎜未満であることなどから、「トライク」ではなく「原付三輪」に分類されるのだ。

 また、タイヤ軌跡は3本あるものの、「トライク」と違って前2輪、後1輪でコーナリング時にバンクさせない乗り物もある。これは「トライク」を逆にしたような見た目から「逆トライク」「リバーストライク」と呼ばれている。

HARLEY-DAVIDSON FLHTCUTG トライグライド ウルトラ

ハーレダビッドソンのFLHTCUTG トライグライド ウルトラ

どこでも乗れる?

「トライク」は道路交通法上の「3輪の自動車」に分類されるため、ナンバープレートが交付された「トライク」はクルマやバイクと同じように、一般道、高速道路などでの走行が可能。高速自動車国道や自動車専用道路を走る場合、バイクと同じく搭載エンジンが125㏄以上であることが必須。法定速度は80㎞/hとバイクより20㎞/h低いが、料金はバイクと同じ。

何人乗りなの?

 道路運送車両法上、50㏄以上であれば「側車付軽二輪」、250㏄以上であれば「側車付オートバイ」となるので2人乗りも可能。

免許区分は?

 普通免許(自動車免許)が必要。
AT限定普通免許や大型自動二輪免許を含む二輪免許だけでは運転ができないので注意。

ドライブフィールは?

 コーナリング時は3輪車特有の旋回特性を意識する。なかでも低速域での旋回はステアリング操作を積極的に行い、かつダイナミックな体重移動を併用しないと小回りができない。これは上下のサスストローク方向には動くものの、バイクのように内傾しない前輪の機構からくる特性で、たとえば西村が以前試乗した「Can─Am スパイダー」の場合はスノーモービルの旋回特性に近いと感じた。

西村氏が試乗した前2輪、後1輪のCan-Amスパイダー
西村氏が試乗した前2輪、後1輪のCan-Amスパイダー

 高速域になるとバイクでは味わえない重厚な直進安定性が光るが、前輪に適度な荷重の掛かった下り坂での高速コーナーでは微妙な修正舵が必要になる。これは3輪車の特性に加えて適正内圧89〜117kPaという低圧専用タイヤのたわみも関係している。

購入時のポイントは?

 普通車扱いとなるためヘルメットの装着義務はないが、絶対に被るべき。バイクを日常の足としている西村としては、40㎞/h程度でも路面状況によっては飛び石がヘルメットにビシビシ当たることもあるため、ノーヘルでは走る気になれない。

 クルマとバイクのいいとこ取りの「トライク」だが、それだけに法律はふたつにまたがり、また、ライディングスキルも相応に必要なので充分に試乗して、自宅で(車庫証明は不要)駐車できるかを確認しよう!

現在、人気のタイプは?

 トライクといっても大きさやタイプはさまざま。最近話題の千葉ットマンが乗っているのは自作品みたいだけれど、これと同様の前2輪の逆トライクのようなモデルもある。
 
 そんなトライクで現在、人気のモデルタイプはあるのか? 千葉県にあるトライクを扱うバイクショップのべガスモーターサイクルズに聞いてみると……。
 
「お客さんに多いのは、本当は2輪に乗りたいんだけど、自動二輪の免許を取るのも重量のある大型バイクを実際に運転するのも大変だと思われるような人です。タイプ別に人気の傾向というのはあまりなく、好みによるところが大きいですね。まず、小さなモデルから乗って、もっとパワーのある大型に乗り換える人もいれば、最初から最上級モデルに乗る人もいます」。
 
 このショップでは、ホンダのゴールドウイングやハーレーなどの最上級バイクをベースにしたトライクを扱っているため、車両価格は500万円程度が中心。クルマでも高級車クラスの価格とあって購入層は40〜60代で、会社の社長さんなどが多いとのこと。
 
 いっぽうで、別の某ショップに聞いたところ、20〜30代の若い世代に人気なのは100万円以下の中古車だという。安いモノでは50万円程度の中国製もあるというが、「信頼性や車両の出来を考えるとおすすめできるものは少ないです」とのこと。
 
 やはり、多少値が張っても販売とアフターサービスの実績が充分にある専門ショップで買うのが安心といえるだろう。
 

仲間と走るとより楽しい!

「世界で1台しかない自分だけの仕様に作れるのがトライクの一番の魅力ですね。クルマじゃ無理だけど、ポルシェを買う予算があればオリジナルのトライクが作れる」と語るのは、BCでもお世話になっているデザイナーの米津孝徳氏。

 4年前に乗り始めてから現在は3台を乗り換えているホンダゴールドウイングベースのトライクオーナーで、仲間とのツーリングもまた魅力だという。

「今月も120台以上集まって山中湖を走るので、すごく楽しみです。トライク乗りはシャイな変わり者が多いけれど、集まりに参加すると仲良くなる人がまた増えるんです」

 仲間はトライクの系統別に分かれるそうだが、それはマニアックなクルマのオーナー同士が仲良くなるのと同じなのかも?

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