【ペダル踏み間違い事故多発!!】高齢ドライバーへの防止装置装着義務付けの積もる問題点

【ペダル踏み間違い事故多発!!】高齢ドライバーへの防止装置装着義務付けの積もる問題点

 75歳以上の人口に占める免許保有者比率は2017年の31.0%から2020年の32.0%へ伸びる計算で、ここに運転免許保有率が高い「団塊の世代」が加わる2020年代後半には、75歳以上のほぼ2人に1人が運転免許を持っている時代がやってくる。

 そんな”ドライバー”の高齢化社会にあって、最近、社会問題になってきたのが高齢ドライバーによる「ペダル踏み間違い事故」だ。

 こうした事故は年間約5000件も発生しており、事故による死者は51人、負傷者は6700人を超える。

 加害者は20代と70代以上の高齢者ドライバーに多く(2017年、交通事故総合分析センターの交通統計)、1日に13件以上も踏み間違い事故が起きている計算だ。

 急がれるのはやはり、ペダル踏み間違い防止装置の標準装備化だが、新車だけでなく、すでに所有しているクルマを所有する高齢者ドライバーには「後付けペダル踏み間違い防止装置」を義務付けることが必要なのではないだろうか? 

 そのあたりを最新のペダル踏み間違い装置の事情を踏まえ、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。

文/高根英幸
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部 Adobe Stock


■高齢者ドライバーにペダル踏み間違え装置を義務付けるべきか?

アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い事故が急増中。対策が急がれる
アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い事故が急増中。対策が急がれる

 2019年4月19日に発生した東京・池袋での暴走事故は、いろいろな角度から高齢者ドライバー問題を大きくクローズアップさせることになった。

 犠牲者の方々には、ご冥福をお祈りさせていただくしかない。だが、この状況を何とかしないと、このままではこうした悲惨な交通事故が何度も繰り返されることになりかねない。

  交通事故総合分析センターによると、ペダルの踏み違えによる人身事故の割合(平成24~28年調べ)は24歳以下は約1.5%、25~54歳は0.8%、55~64歳は0.9%、65~74歳は1.5%、75歳以上では3.1%。

  ペダル踏み間違いに関しては高齢者ドライバーだけの問題ではない、という意見もある。確かに24歳以下の若年ドライバーにおいても、65~74歳と同程度の割合でペダル踏み間違い事故は起きている。

この年齢別グラフをみると24歳以下も65~74歳と同程度に高い

 しかし重大事故が起こりやすいのは、やはり高齢者ドライバーの方に顕著な傾向がある。

 若年ドライバーは踏み間違いに気付いてすぐに踏み直したり、アクセルを緩めることで被害を軽減することが比較的可能であるのに対し、高齢者ドライバーは自分の想像と違うクルマの動きに驚き、緊張で身体が硬直してしまい、そのままアクセルペダルを強く踏み込んだままになってしまうケースが多いからである。

 前述の池袋で人身事故を起こした高齢者ドライバーの報道を見ても、歩くのが困難なほど足腰が弱っている高齢者が、繊細なペダル操作ができるとは誰も思わないだろう。

 高齢者ドライバーの多くはこれまで日本経済に貢献されてきた方々だけに、不便な思いをされるのは忍びない気持ちもするが、ご自身の安全のためにも運転操作するには「認知、判断、操作」の各要素を確実にこなせる能力が必要だということを再認識してもらうべきなのだ。

 地域によっては他の交通手段がなく、「クルマがなければ生活できない」という方もいるだろう。

 しかし、だからといって「運転するのが危険な状態でも、クルマを運転するのは仕方ない」ということには決してならない。

 一度、悲惨な交通事故が起これば、ドライバーにはその責任が重くのしかかる。取り返しの付かない事態に陥ってからでは遅い。

 自分の親や祖父母が高齢者ドライバーであれば、ひと通りの知識を仕入れ、予防策を講じておくべきだ。

次ページは : ■後付け装置でもペダル踏み間違い事故の対策はできる

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