【存在は地味だが確かな効果と安心感】縁の下の力持ち ドライバー支援装置の実力と恩恵

【存在は地味だが確かな効果と安心感】縁の下の力持ち ドライバー支援装置の実力と恩恵

 クルマは性能面で大きく進化していると同時に、操作性や安全性を高めてきた。性能面では頭打ちであっても、使い勝手などが大きく向上しているケースも多い。もしかしたら1990年代以前のクルマと比べて今のクルマが最も進化しているのはこの分野かもしれない。

 特に進化が目覚ましいのがドライバー支援装置で、現在注目度も激列急上昇している。

 ドライバーを支援するものとして早期に登場したのはパワーステアリングだ。油圧アシストにより重かったステアリングが軽くなり、ドライバーの負担が大きく軽減された。

 日本車にパワステが当たり前となって30年強となるが、かつての油圧に代わって現在の主流は緻密な制御が可能な電動アシストで、この分野でも進化している。

 現在のクルマにはドライバー支援装置がたくさんあるが、主役級ではなくわき役系でどんなものがあってどんな効果があるのかを考察していく。

文:ベストカーWeb編集部/写真:SUBARU、ベストカー編集部、池之平昌信、平野学


主役級はそうそうたる顔ぶれ

 ドライバー支援装置の代名詞的存在の衝突被害軽減ブレーキを筆頭に、主役級ドライバー支援装置は以下のとおり。

今や軽自動車にも積極的にドライバー支援装置が拡大採用されている。これと軽自動車の価格上昇は無関係ではないが、安心・安全に運転できるのが大きな魅力だ

【主役級ドライバー支援装置】
■衝突被害軽減ブレーキ
 装着車として世界初ではないが『ぶつからないクルマ』とアピールしたスバルのアイサイトが普及に大貢献。衝突の危険をクルマが検知し、ドライバーに警告してもドライバーが回避行動を起こさなければ自立自動ブレーキを作動させるもので、今では当たり前の装置となっている。

■車間距離制御装置(ACC)
 車間距離を一定に保ち、ドライバーの疲労軽減、安全な車間の確保と同時に、サグでの減速を防ぐことで渋滞回避にも貢献する。

■車線逸脱警報装置
 車線をはみ出しそうになると警告して注意を喚起。安全面に大きく貢献。

■ペダル踏み間違い時加速抑制装置
 今高齢者を中心にペダル踏み間違いによる事故が多発しているが、ブレーキと間違えてアクセルをベタ踏みしても加速しないようにして安全に貢献。

 主役級のドライバー支援装置ほどの華やかさはないものの、わき役的で地味な存在ながら非常に効果的で有用な縁の下の力持ち的装備の実力と恩恵を見ていく。

衝突被害軽減ブレーキはドライバー支援装置でも横綱級の存在感でアイサイトによりユーザーにも認知された。その点でスバルのアイサイトが果たした功績は大きい

オートライト

 暗くなると自動でライトオンしてくれるオートライトは、欧州では2011年から義務化された。それに対し日本では新型の乗用車は2020年4月、継続生産車は2021年10月からロービームの自動点灯が義務化される。

 オートライトはドライバーの操作に関係なく暗さを検知するとロービームを自動点灯するので、ヘッドライトの点灯忘れが激減することは間違いない。

 また、トンネルなどが連続する路線などで点けたり消したりという操作が必要なくなる。

 AUTOのポジションにしておく必要はあるが、クルマに乗ってライトを点ける、消すという概念すらなくなるのかもしれない。

 現在各メーカーとも拡大採用中だが、基準がないため点灯するタイミングはメーカーによってバラバラ。しかし義務化を機に、1000ルクス未満で2秒以内という基準が作られたことで、全車が共通となるのはいいことだ。

 ちなみに1000ルクスは、夕暮れ前の明るさというから、その程度でヘッドライトを点灯する人は現状少ないだろうから、早期点灯でクルマを認識しやすくなるのは大歓迎。

オートライトにようやく基準ができたのは歓迎すべきこと。1000ルクスとは写真程度の明るさとなるが、現状ではこの段階でライトを点灯するドライバーは少ない

ブレーキアシスト

 これを衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)と勘違いしている人が意外に多い。ブレーキアシストはあくまでもブレーキを踏んだ時の踏力をアシストしてくれるもので、緊急時にクルマが自動自律ブレーキをかけるものとは違うので要注意。

 ブレーキアシストは、ブレーキを強く踏めない人が多いことから考案された技術だ。ドライバーが急ブレーキをかけたとクルマが判断した時、またはある一定以上のブレーキ踏力を検知した場合にアシストが働くというのが一般的だ。

 やみくもに踏力を強くすればタイヤがロックするが、ABS(これもドライバー支援装置)が普及したことによりその心配もなくなり商品化された技術で、2018年2月をもって新型車への完全義務化となった。

 よほど古いクルマでないかぎり装着されていて当たり前なので、その恩恵すら意識することもなくなっている。

ブレーキアシストの存在すら知らない人も多いはず。安心して止まれるのは、ブレーキアシストとABSの相乗効果があってこそ。クルマ界の空気のような存在

ヒルディセントコントロール

 あまりなじみはないかもしれないが、ヒルディセントコントロールは、急坂を下る時に自動的にスピードを抑える機能のことで、主にオフロードの走行を視野に入れたSUVに搭載されているドライバー支援装置のひとつだ。

 長い下り坂でブレーキでコントロールしてもスピードが出過ぎて怖い思いをしたとか、ブレーキをかけ過ぎてフェードしたとかという経験を持っている人もいると思うが、ヒルディセントコントロールがあれば完ぺきではないが安心して走れる。

 特に絶大な効果を発揮するのが雪道で、雪に慣れていないドライバーでも安心して運転することができるナイスな装備だ。

 しかし、ヒルスタートアシスト(上り坂でのアシスト)は普及してきているが、前述のとおり搭載車が限られているのが残念。

 この装備は安全性の向上のために軽自動車から高級車まで幅広くラインナップしてほしいひとつだ。そうすればドライバーの精神的負担も大きく軽減できるはず。

高額のSUVの専用装備といった感じのヒルディセントコントロールをジムニーは装備。雪道での安全などを考えるともっと拡大採用してほしいドライバー支援装置だ

タイヤ空気圧モニタリングシステム

 タイヤの空気圧が規定値より低くなったり、何らかの要因で規定値より高くなった場合にドライバーに警告するシステムで、タイヤ空気圧チェック、運行前点検などのわずらわしさから解放される。とても有益な支援装置なのだ。

 しかし、欧州を筆頭に各国で装着の義務化がされているのに日本は出遅れているだけでなく、装着車両も高級車、高額車が中心で安いクルマに非常に少ないというのが現状。

 タイヤのパンクが増えているのもタイヤの空気圧と大きな関係があるため早期の義務化に期待したいドライバー支援装置だ。

タイヤ空気圧モニタリングシステムも現状では高額車専用の感が強い。かつてトヨタは安いカローラスパシオに標準装備していたように安いクルマに拡大採用を願う

次ページは : 番外編/ドライブレコーダーのドライバー支援装置

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