Gazoo Racingが手掛けたスポーツモデルは、GRMN、GR、GRスポーツといろいろあるが、それぞれ何が違うのかわかりにくい。
さらにGRMNとなるとノーマルモデルの価格の約2倍にもなるモデルもある。GRモデルのヒエラルキーと、どんなチューニングが施されてノーマルとどのように違うのかを考察していく。
文:ベストカーウェブ編集部/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
GRのヒエラルキー
まずはGazoo Racingについて。
Gazoo Racingはワークス活動から普及活動まで幅広くトヨタのモータースポーツ活動を展開している。WRC、WECにはTOYOTA Gazoo Racingとして参戦している。グラスルーツとしては、Gazoo Racingラリーチャレンジなども積極的に展開。
実はモータースポーツだけでなく、トヨタのスポーツ性の高いモデルの開発も手掛けている。
車両開発では2018年5月にデビューしたGRスープラは、初めてGRの名称が車名に組み込まれたモデルとなった(註:国交省への届け出はスープラ)。
その違いを個別に見ていく。
頂点に君臨するのがGRMN
トヨタにはGazoo Racingの頭文字をとったGRモデルをラインナップしているが、チューニングレベルによりヒエラルキーがあり、GRピラミッドの頂点に位置するのがGRMNだ。
ドイツのニュルブルクリンクは車両開発の聖地とも呼ばれていてトヨタもスポーツモデルを開発している。
2007年からニュルブルクリンク24時間レースに参戦、車両開発の一環としていて市販車にもフィードバックされている。
名称のGRはGazoo Racing、MNはマイスター・オブ・ニュルブルクリンク。MNはマスタードライバーの故成瀬弘氏のことで、彼をオマージュしたトヨタにとって特別なスポーツモデルであることを意味している。
トヨタでは『走りの味を追求した究極のスポーツモデル』としていて、これまで市販されたGRMNはすべて台数限定で販売されているのが特徴で、最新のマークX GRMNを含めすべて完売する人気を誇っている。
これまでに日本で販売されたGRMNは表のとおり少数精鋭の全7モデル。
高いが納得の仕上がり
では、ノーマルとどこが違うのか?
その答はすべて。これはまったく別物と言っていいレベルの仕上げとなっている。
86を例に挙げると、エンジンスペックは200ps/205Nmから219ps/217Nmということで大幅なスペックアップではないが、クロスレシオの6MTの採用により走り86のウィークポイントであった中速域のトルクの谷間も消えてストレスなく加速する。
ノーマル86のライト感覚のFRスポーツとは違い本格FRスポーツの走りを実現。走りの質感はケタ違い。
ボディ補強によるねじれ剛性のアップによりコーナリング中のスタビリティも格段に増していて安心してコーナーを攻めることができる。かつてのトヨタのスポーティなアシはガチガチだったが、乗り心地も悪くない。
開発者に聞いたところ、100台限定で1台1台を手組で仕上げているという。
価格はノーマル86の約2倍の648万円。価格だけ見ると高く映るかもしれないが、内容から考えると割安といっていいくらい。ノーマルの86に同じチューニングを施したとしたら、あと150万円程度はかかるのではないだろうか。
ここまで本格的ゆえ万人受けを狙っていないし、価格、限定ゆえに入手困難だ。
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