マツダの超高齢化社会に向けた取り組みを地味だけど紹介したい!!アクセルペダルの踏み間違いを防げ

マツダの超高齢化社会に向けた取り組みを地味だけど紹介したい!!アクセルペダルの踏み間違いを防げ

 アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い事故が増えています。多くの人に長くクルマを楽しんでほしいとは思うけど、高齢化社会に向かっていくなかで、こうした事故は増えていくのでしょうか。

 否、そこは技術でフォローしてほしい! そんなわけで、各メーカーが熱心に取り組む安全技術のなかでも、とりわけマツダの「考え方」が高齢者に優しく、また有効な技術なので、改めてここで紹介いたします。

文&写真:ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年5月26日号


■衝突回避支援・被害軽減技術も大事だけど

 2017年3月、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備「i-ACTIVSENSE」を’17年度中に新世代商品群へ随時標準採用していくことを発表したマツダ。

 その一部をメディアに体験してもらうことを目的に、「安全取材会」が開催されたので報告しよう。

 取材会当日、用意された体験プログラムは衝突回避支援・被害軽減技術の「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」と、「AT誤発進抑制制御」、認知支援技術の「BSM」(ブラインド・スポット・モニタリング)と「RCTA」)(リア・クロス・トラフィック・アラート)、「TSR」(交通標識認識システム)の5つ。

「アドバンストSCBS」(※デミオ、アクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5に採用)は、従来型のSCBSが採用していた赤外線センサーではなく、単眼カメラで歩行者や障害物を検知する。停止時に前方に障害物がある場合、アクセルを踏み込むと警告音とメーター内の表示とともにエンジンパワーを抑えて急発進を抑える
「アドバンストSCBS」(※デミオ、アクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5に採用)は、従来型のSCBSが採用していた赤外線センサーではなく、単眼カメラで歩行者や障害物を検知する。停止時に前方に障害物がある場合、アクセルを踏み込むと警告音とメーター内の表示とともにエンジンパワーを抑えて急発進を抑える

 どの安全装備も非常に重要だし、今後ますますの進化が期待されるところだが、本企画担当が注目したのは、高齢者疑似体験セットを使った高齢者事故ケースの実体験取材。

 現行CX-5をはじめアクセラにデミオ、アテンザなどに採用されている安全装備を、高齢者疑似体験セットを装備しながら順繰りに体験する取材だ。

 高齢者疑似体験セットとは、着けると無理やり前のめりの姿勢になるような「重り」の入ったジャケットとO脚になるサポーター、筋力の低下によって足が上がらないようにした厚みのあるシューズ、膝が曲がりにくくなる膝サポーター、そして視野が極端に狭まるサングラスの一式。これを装着しながら運転する。

 これでペダルレイアウトの異なる現行&先代型デミオとアクセラで試してみたら、「おお、なるほど全然違う」と発見があった。

高齢者疑似体験セット。全部つけるとこんな感じ。なかなかしんどいが、高齢者は常にこんな感じなのか……と思うと優しい運転を心がける気にもなる
高齢者疑似体験セット。全部つけるとこんな感じ。なかなかしんどいが、高齢者は常にこんな感じなのか……と思うと優しい運転を心がける気にもなる

■ポイントは「ペダルの踏み替えやすさ(づらさ)」にあった??

 高齢者の場合、アクセルやブレーキの踏み間違いは膝を内側に向ける時の角度「内旋」が小さくなることが原因といわれる。

 つまりブレーキを踏むべきタイミングで間違えてアクセルを踏んでしまった時に、「あ、ヤバい!」と思ってアクセルペダルからブレーキペダルまで足を置き換えるタイミングが、高齢者の場合は苦労する、という点にマツダは着目した。

(今回の体験セットは高齢者の気持ちがよくわかるような忠実な仕上がりでした。確かにすげえ踏み替えづらい)

 なら踏み替えやすいようにペダルレイアウトを変更したら事故が減るのでは? という取り組みを、近年マツダは続けている。

 で、実際にペダルレイアウトの違う新旧デミオとアクセラで体験すると、アクセルペダルが「吊り下げ式」の先代モデルよりも、「オルガン式」である現行モデルのほうが明らかにブレーキに踏み替えやすかった。

 そのキモはアクセルからブレーキへの踏み替え時のヒール(かかと)部分にある。吊り下げ式だとどうしてもヒールが前に動くのに対し、オルガン式だとヒールを床に固定したままでパパッと踏み替えることが可能だからだ。

 交通事故総合分析センター(ITARDA)によれば、アクセラとアテンザ、デミオの販売台数1万台あたりでのペダルの踏み間違いによる死傷事故件数は、旧型モデルより現行モデルは86%減少しているとのデータが出ている。

 アクセルペダルの吊り下げ式からオルガン式への変更は、コストも増加するが「マツダは高齢者事故への対策としても取り組む」という。

〝老い〟を遅らせるスローエイジングの一歩として車の運転は有効であり、そのためには車自体の高齢化対策は欠かせない。

 そして、決して派手ではないが、こうした細かい技術の積み重ねこそが車社会の根底を支えてくれる。超高齢化社会を見据えた取材会だったと実感した。

高齢者事故ケースの実体験。駐車場でのチケット取り出しで、身体を右側に傾けてペダル操作をした場合を想定。足をねじった状態になるため、ペダルが操作しにくく、アクセルとブレーキの踏み間違えが起こりやすい
高齢者事故ケースの実体験。駐車場でのチケット取り出しで、身体を右側に傾けてペダル操作をした場合を想定。足をねじった状態になるため、ペダルが操作しにくく、アクセルとブレーキの踏み間違えが起こりやすい

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