車の低温時に注意すべき冬対策 マイナス10℃程度でどうなる?

車の低温時に注意すべき冬対策 マイナス10℃程度でどうなる?

 寒い、寒すぎる……。東京では33年ぶりに低温注意報が発令され、都内でも地域により最低気温−7℃と数十年に一度の冷え込みだ。

 雪国ではバッテリーなどを強化した「寒冷地仕様車」があるけれど、“普通の車”はこの寒さで不具合が出るのだろうか? 注意すべきポイントをメンテナンスの専門家に聞いた。

文:ベストカーWeb編集部/写真:JAF、Shutterstock.com


週に1回も動かさない車はバッテリーに注意

特に寒い日はバッテリーの電圧を確かめ、10V以下の場合は新品に交換を
特に寒い日はバッテリーの電圧を確かめ、10V以下の場合は新品に交換を

 まず、低温時に気を付けるポイントとして、一般的に「エンジンオイル」、「バッテリー」、「冷却水」の3つが挙げられることが多い。

 −10℃程度までの状況下で、これらに気を付ける必要はあるのか? 自動車の整備に詳しいジャーナリスト、鈴木伸一氏に聞いた。

 まず、エンジンオイルに関しては、「最近の車は0W-20など“やわらかいもの”を使っていて、5000km程度(距離を)走っても、昔のオイルほど硬くならないなど性能が上がっているので、ほとんど心配する必要はない」という。

 「0W-20」とは、オイルの粘度=粘っこさのこと。最新車種は、ほとんど0W-20か5W-20がメーカーの推奨オイル粘度で、どちらも−25℃程度まで使用可能だ。

 クーラントと呼ばれる冷却水も「車を買った地域で乗っている場合、まず問題ない」という。ただし、「水など不純物が入っている場合は要注意」と鈴木氏は指摘。

 クーラントに漏れが発生して「応急処置で水を入れた」場合、濃度が低下し、凍りやすい状態に。すると、エンジンのオーバーヒートが起きる原因となり得る。

 ちなみに、トヨタ ヴィッツの場合、標準仕様のクーラントは「濃度30%で凍結保証温度は−12℃」。寒冷地仕様では濃度を高め、−35℃まで保証するなど地域の気象条件によって仕様を変えている。

 バッテリーの場合も、交換サイクル(トヨタは2〜3年を推奨)を守っていれば、−10℃程度までの寒さで問題が出るケースはほぼない。ただし、問題は車の「使い方」だ。

 鈴木氏によれば、「週1回以上車を動かしているなら問題ないが、そうでないなら注意が必要」という。

 バッテリーの容量は-10℃で約70%まで低下する。寒さに弱いことに輪を掛けて、長期間車を動かさないと、バッテリーは自然放電するため「寒い日に久々エンジンをかけようとしたら、バッテリーが上がってしまった!」というケースも起こりうる。

 特に「屋外の駐車場は温度変化が激しく、日陰だと気温も低いので注意が必要」だという。ちなみに、2017年12月のJAFロードサービスで、最も多かった出動内容も「過放電バッテリー」によるものだ。

凍結したガラスをエアコンで解かすと割れる恐れも

駐車場が日陰の場合、このように雪などでガラスが凍結したままのケースは多い。出典:JAF
駐車場が日陰の場合、このように雪などでガラスが凍結したままのケースは多い。出典:JAF

 機械的な部分以上に気をつけるべき点はウインドウの凍結だ。

 写真は、JAFが行ったユーザーテストのもの。フロントガラスが雪で凍ったら……これをエアコンで解かそうとすると、思わぬ被害に見舞われるケースがあると鈴木氏は指摘。

 「自動車用の合わせガラスは傷つきやすく、外気が冷えていて、車内が温かい状況だと、場合によってはガラスが割れます。私自身、数年前に東京で雪が降った後、エアコンで雪を解かした際にガラスが割れました。お湯をかけるなどはもってのほかです」

 JAFによるテストでは、エアコンのデフロスター使用で、視界確保までにかかった時間は約10分。ガラスが割れやすいだけでなく、時間もかかってしまう。市販の解氷剤を使えば、フロントガラスの凍結は1分程度で解かせる。

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