テスラと宇宙だけじゃない!? イーロン・マスクがマジで取り組むビジネスとは?


通信速度「210Mbps以上!?」の「スターリンク」

 マスク氏が民間宇宙開発企業「スペースX」を立ち上げたのは2002年であり、その設立は「テスラ・モーターズ」よりも2年早い。

 当時のロケットは、ペイロード(人工衛星や宇宙船のこと)を切り離したあと、そのまま投棄されることが多かった。しかしそれはマスク氏のモットーである「クリーンエネルギー」に反する行為だ。そのため氏は、自律的に着陸地点に帰還し、垂直に着陸するロケットシステムを完成させた。それがファルコン9であり、ファルコン・ヘビーだ。

 ファルコン9は現在、単体のモデルとしては世界でもっとも打ち上げ回数が多いロケットだが、その再使用型の第一段ロケットは、多いもので計8回、再使用されている。これによって、過去には平均120億円ほどかかっていたロケット打ち上げコストを、50億円まで低減することにスペースX社は成功しているのだ。

 しかし、宇宙開発には莫大なコストがかかる。そのためスペースXはさほど儲かっておらず(非上場のため正確な数字は未定)、常に資金調達に追われている。そんな同社にとってはじめてのドル箱ビジネスが、高速通信サービス「スターリンク」なのだ。

 スターリンクとは、計1万2000機の小型通信衛星を軌道上に打ち上げ、地球上のあらゆる地域に高速通信回線を提供するサービスであり、2021年5月までに計1565機の通信衛星が軌道上に配置されていて、今も月1回(60機)のペースで打ち上げられている。

 2020年10月にはアメリカ北部とカナダ南部、イギリスでのサービスが開始され、今年2月にはオーストラリア、ニュージーランド、メキシコでの予約受付もはじまった。米国での予約料金は99ドルで、それは後日支払う受信機キット600ドルに充当される。2月時点での契約者は1万人程度だが、その数は急増しているという。スペースX は、50Mbpsから150Mbpsのダウンロード速度を約束しているが、ウェブ上では「210Mbps以上!」と報告するユーザーもいるようだ。

 同様の計画は、アマゾンのジェフ・ベゾス氏が主宰するブルー・オリジン社や、ワンウェブ社、イリジウム社などでも進められているが、衛星の数と通信速度の速さ、契約料金の低さでスターリンクは他を圧倒し、ほぼ独壇場。ロケット、EV車に続いて、通信業界の構造をイッキに塗り替えるビジネスになるだろう。マスク氏は今、このスターリンクをスペースXから切り離し、独立企業として上場することを計画している。

テスラと宇宙だけじゃない? イーロン・マスクがマジで取り組むビジネスとは?
スターリンク計画では1万2000機の小型通信衛星が軌道上に投入される予定。それらの衛星の光は地上から肉眼で観察することもできる(写真/スペースX)
テスラと宇宙だけじゃない? イーロン・マスクがマジで取り組むビジネスとは?
常に時代の先を行くイーロン・マスク氏。氏の取り組む技術はテクノロジーの世界を激変させることは間違いないだろう

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