【マツダ「魂動デザイン」の長所と短所】美しければ売れる? 見飽きないのか?

【マツダ「魂動デザイン」の長所と短所】美しければ売れる? 見飽きないのか?

 「マツダのデザインにはもう飽きた」という声を耳にすることがある。ラインナップしているマツダ2、マツダ3、マツダ6、CX-3、CX-5、CX-8、CX-30のデザインを見ると、たしかに同じようなヘッドライトやグリルを採用している。

 なぜ、同じようなデザインのクルマを作り続けるのか? という素朴な疑問を抱いている人も多いのではないだろうか?

 そこで、コンセプトの核となる「魂動デザイン」を貫いているマツダはどのように考えているのか? 今後も同じデザインになるのか? モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。

文/岩尾信哉
写真/ベストカーWEB編集部

【画像ギャラリー】マツダ車は同じデザインなのか詳細写真


2010年から始まった魂動デザインに勝算はあるのか?

マツダは2010年より「魂動(こどう)-SOUL of  MOTION」というデザイン哲学のもと、生命感あふれるダイナミックなデザインのクルマを創造。日本の美意識を体現し、マツダらしい「エレガンス」を追求する深化した魂動デザイン。ここから、マツダデザインの新たなステージが始まった。魂動デザインの象徴であるオブジェを「金型と同じ材料の鉄」で再現。マツダは「魂動」の定義を「チーターが獲物を狙って力を溜め、飛びかかる一瞬」の動きと説明している <br>
マツダは2010年より「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」というデザイン哲学のもと、生命感あふれるダイナミックなデザインのクルマを創造。日本の美意識を体現し、マツダらしい「エレガンス」を追求する深化した魂動デザイン。ここから、マツダデザインの新たなステージが始まった。魂動デザインの象徴であるオブジェを「金型と同じ材料の鉄」で再現。マツダは「魂動」の定義を「チーターが獲物を狙って力を溜め、飛びかかる一瞬」の動きと説明している
2019年10月に発売されたマツダの最新モデル、CX-30 。お得意のシグネチャーウイングを採用したフロントフェイス
2019年10月に発売されたマツダの最新モデル、CX-30 。お得意のシグネチャーウイングを採用したフロントフェイス
2019年5月に発売されたマツダ3
2019年5月に発売されたマツダ3
孤高の個性を放つマツダ3のリアデザイン
孤高の個性を放つマツダ3のリアデザイン

 マツダがラインナップのデザインの統一を図るための概念である「魂動デザイン」を打ち出したのは2010年のこと。

 以来、マツダは微妙にニュアンスを変えつつ、各モデルにクラスを問わず共通するデザインコンセプトを与え、少々口悪く言えば「みな同じように見える」モデルをあえて提案し続けている。

 ちなみに、輸入車を見れば、欧州のプレミアムメーカーであるアウディ、メルセデスベンツ、BMWの“ドイツ御三家”が、モデルラインナップ全体の内外装に共通するコンセプトを与えて続けてきた。

 それでは「魂動デザイン」をマツダはどこまで続けていくのだろうか。前述のように、日本メーカーでここまで大胆にデザインの共通化を実行した例は過去になく、「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」のコンセプトを軸として、「飽きが来ない」「賞味期限の長い」デザインを追求しつつ、エクステリアなどの基本構成を「魂動デザイン」に基づいて継続的に採用してきた。

 肝心なのは、このまま「魂動デザイン」のコンセプトをキープし続けてよいのかという問題だ。

 マツダが小規模メーカーとして世界で勝負するために「プレミアムブランドとして上を目指す」という話をよく耳にするが、果たしてブランドの認知度を高めるための手段としてドイツ勢と同じコンセプトを推し進めてよいのだろうか。

 たとえばメルセデスベンツは、伝統に裏打ちされた共通のデザインを各モデルに与えて、古くからのユーザーの求める「らしさ」を保ち続けつつも、新たな表現として内装に大型の液晶パネルを採用するなど、新技術を大胆に採り入れている。

 1990年代の日産は、グリルやエンブレムなどにピンポイントでメーカー(ブランド)としての特徴を与えたうえで、ラインナップ全体のデザインに統一感がなくバラバラなようであっても、各モデルを個性的に仕上げる手法を展開していた。

 むろん、先頃のキューブの生産終了などの例を見ても、デザインのマーケットでの寿命は、発表当時のインパクトの強さと反比例して短くなることを承知の上での戦略といえた。

 いっぽう、日本メーカーの王者たるトヨタのデザインの仕立て方はなかなか巧みだ。

 高級ブランドとしてのレクサスは2012年に逆台形の“スピンドルグリル”をGSに採用、トヨタは“キーンルック”と呼ばれるスタイリングをモデル全般に与えるなど、どちらのブランドもデザインの統一感を生み出すべく努力を続けている。最近、急速に勢力を拡大しているボルボも各車ほぼ同じデザインを採用している。

中国GEELY傘下のもと、ボルボカーズを世界有数のプレミアムカーブランドに作り上げたのは3名のデザイン責任者、トーマス・インゲンラート、ロビン・ペイジ、マクシミリアン・ミッソーニの力、つまりデザイン力によるところが大きい。比較的短期間でブランドイメージを高めるためには”同じ顔”にすることが手っ取り早いのだろうか?
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