スズキは2020年3月15日、創業から100年の節目を迎えた。創業者の鈴木道雄は1920年(大正9年)に社名を鈴木式織機株式会社に変更し、今につながるスズキが新たなスタートを切っている。
そこでスズキ100周年企画として、スズキが生み出した、記憶に残る革命車を紹介していきたい。
みなさんにとってスズキの革命車と聞いて、どのクルマを思い浮かべるだろうか?
今回はモータージャーナリストの片岡英明氏自身の記憶に残るスズキの革命車をお送りする。
文/片岡英明
写真/SUZUKI ベストカー編集部 ベストカーWeb編集部
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スズライト 1955年/量産初の軽自動車
自動織機の分野で成功を収め、終戦後は高い技術力を武器にオートバイの生産に乗り出した。
1954年に2輪界の名車、コレダを生み出し、その年の6月には社名を鈴木自動車工業に変更している。これを機に自動車の分野に進出するが、エポックメイキングな傑作車を多く誕生させている。
最初の革命的な自動車が、1955年10月にはスズキ初の自動車として送り出された「スズライト」だ。今の軽自動車の基礎を作ったクルマとして自動車史に深く刻まれている。
セダンのスズライトSSは、驚くほど革新的な軽乗用車だった。注目ポイントは時代に先駆けてFF方式を採用したことだ。
ドライブシャフトに日本初の等速ジョイントを採用し、前輪駆動を実現した。FF方式にこだわったのは、広いキャビンを確保できることに加え、ライトバンのSLとピックアップトラックのSPの荷台を低く設計できるからだ。
エンジンはオートバイ作りの経験を活かして設計された359ccの空冷2サイクル2気筒を搭載する。バックボーン型モノコック構造の2ドアセダンで、4人が無理なく乗れた。
サスペンションはコイルスプリングによる4輪独立懸架、ステアリング形式はラック&ピニオン式と、すべてが進歩的な設計だ。
当時は乗用車に高額の物品税がかけられていたからセダンのスズライトSSは販売が低迷する。だからライトバンのスズライトSL以外は生き延びられなかった。が、今につながる軽自動車の祖と言える偉大なスモールカーだ。
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