1億円超が即完売 イタルデザインGT-R50はどのようにして生まれたのか?

1億円超が即完売 イタルデザインGT-R50はどのようにして生まれたのか?

 初代スカイラインGT-Rが誕生したのは、1969年のこと。そこから50年が経った2019年、GT-Rの50周年を記念し、イタリアのカロッツェリア※である「イタルデザイン」との共同プロジェクトによって誕生したのが、「NISSAN GT-R50 byイタルデザイン」だ。

 ※カロッツェリア…イタリア語で馬車や自動車の車体をデザイン製造する業者という意味

 世界限定50台でフルオーダーメイド、価格は99万ユーロ、日本円にすると1億2400万円にもなる。中身も価格も、まさにモンスター級のマシンだ。

 本記事では「NISSAN GT-R50 byイタルデザイン」のあまり知られていない生誕秘話について、ご紹介していく。

文:吉川賢一
写真:NISSAN

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デザインしたのは、日産

 「NISSAN GT-R50 byイタルデザイン」のプロトタイプが初公開されたのは2018年6月、世界初お披露目となったのは2018年7月のことだ。イングランドのウェスト・サセックスで開催されるグッドウッドフェスティバルオブスピードの場で見せた、GT-R50 の迫力ある走行シーンは、大いに話題となった。

2019年12月から予約を開始したGT-R50 byイタルデザインは、2020年1月の東京オートサロンにも出展され注目を集めた

 単にエアロパーツを付けたのではなく、オリジナルのGT-R NISMOからルーフ高を下げ、全幅も97ミリ拡大し、全長も96ミリ延長し、可動式の大きなリアウィングも装備、さらには700ps以上の専用チューニングされたエンジンまで搭載された、スペシャルマシンだ。

ノーマルのGT-R NISMOに比べてスパルタンさが増したリアビュー。拡幅されたフェンダーの迫力や、浮いたように見える丸目四灯のテールランプも独創的だ

 GT-R50の至高のデザインは、イタルデザインによるものだと思われがちだが、実はこれらは、日産によるデザインだという。

イタルデザインはマニュファクチャリングを担当

 ニッサンのグローバルデザインを担当する専務執行役員、アルフォンソ・アルバイザ氏は「何の制約もなくGT-Rを作ったらどうなるのか、と幾度となく考えてきました。それを実現できる日が来ました。」と明かしている。

 あの只者ならぬオーラを放つ、GT-R50の内外装のデザインは、ニッサンデザイン・ヨーロッパとニッサンデザイン・アメリカが担当し、イタルデザインはマニュファクチャリング(製造・設計)を担当していたのだ。

可動式の大型リアウィングも特徴的だ トランクはデザインのために削られている

 「イタルデザイン」は、ジョルジェット・ジウジアーロによって1968年に設立されたメーカーだ。

 ジウジアーロの代表作には、アルファロメオ ジュリア スプリントGT(1963年)や、マセラティ ギブリ(1966年)、デロリアンDMC-12(1981年)、フォルクスワーゲン初代ゴルフ(1974年)などがある。

 日本車メーカーだと、いすゞ 117クーペ(1966年)、スバル日産初代マーチ(1982年)、アルシオーネSVX(1991年)など、日本のメーカーも、結構お世話になっている。イタルデザインが、2018年で50周年、という縁もあり、この共同プロジェクトが実現したようだ。

 もちろん、イタルデザインの「設計図に落とす」力がなければ、GT-R50は完成しなかったであろうし、日産も、イタルデザインのパフォーマンスを期待して、開発を共同で行うことにしたのであろう。しかし、日産のデザインの実力も驚くほどに高いことに気づかされる。

オーナーとなる方の好みのカラーリングを施すため、1台1台は別のカラーリングとなる 写真のようにR34 GT-Rをオマージュしたようなブルーにすることも可能だ

 しかし、残念なことに、このGT-R50のデザインに関して、日本の日産は関与していない。デザインチームに日本人のデザイナーが含まれていたのかまでは定かではないが、少なくとも日本の日産デザインセンターがこのプロジェクトに関わっていた、という公式発表はない。

 いまや世界中にファンのいる、GT-R。特に、R32からR34のスカイラインGT-Rは人気があり、超高値で取引されている。でもGT-Rは日本で生まれたクルマだ。できることならば、GT-Rのふるさとである日本のデザイナーが手掛けたクルマで、50周年を祝いたかった、と思うのは、筆者だけではないだろう。

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